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関連図の書き方 尿路感染症

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は尿路感染症の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

尿路感染症とは?(病態)

尿路感染症は、尿路系(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に細菌が感染することで発症します。最も多いのは膀胱に感染が起こる膀胱炎で、女性に多くみられます。原因菌の多くは大腸菌であり、肛門から尿道を通じて侵入します。

感染が尿道や腎盂に及ぶと腎盂腎炎となり、熱発や全身倦怠感、悪寒戦慄などの全身症状を伴います。尿閉や排尿障害、長期臥床、免疫低下がある患者では重症化しやすく、特に高齢者では注意が必要です。

細菌感染のイメージ

細菌感染のイメージ

尿路感染症の主な原因

解剖学的要因

女性は尿道が短く、感染が起こりやすい。

排尿障害

前立腺肥大症や、神経因性膀胱など。

膀胱留置カテーテル

尿路への直接的な感染リスクが高まる。

衛生状態不良

排泄後の拭き取り方、手指衛生の不徹底。

全身状態

糖尿病や加齢による免疫機能低下、ステロイド薬や免疫抑制薬の服用、妊娠中。

尿路感染症は再発しやすい疾患でもあり、原因を把握し、予防策を立てることが重要です。

患者の情報(事例)

以下の事例をもとに、尿路感染症患者の看護問題、書き方のポイントを説明していきます。

基本情報 S氏 72歳 女性 独居
現病歴 2日前から排尿時痛と頻尿が出現。昨夕より発熱(38.5度)と寒気を自覚し、救急外来を受診、腎盂腎炎と診断され入院となる。
既往歴 Ⅱ型糖尿病(Hb A1c7.8%)、高血圧症
生活歴

5年前に夫が他界してから独居。近所に住む長女が週1〜2回訪問し入浴介助や身の回りのお世話をしている。

長女より、「最近はトイレが間に合わず尿失禁することが増えていた。夜間も3〜4回トイレに起きている。尿失禁してしまうことを恐れ、水分摂取を控えてしまっていた。昨日からご飯を食べられていない。」と情報あり。コーヒーや緑茶を好む。

現在の症状 発熱、腰背部痛、悪寒戦慄、頻尿、排尿時痛、肉眼的血尿、混濁尿
入院時バイタルサイン 体温38.7℃、心拍数102回/分、血圧138/86mmHg、SpO296%、呼吸数20回/分
検査所見 尿検査(スティック):白血球(Leu):2+(白血球尿あり)、蛋白:±、亜硝酸塩:陽性、尿潜血:1+(軽度血尿)、尿沈渣:白血球 20/HPF、赤血球 10/HPF、尿培養:大腸菌検出中、採血:白血球数12,300/μL、CRP8.2mg/dL
治療内容
  • ・スルバシリン1.5g +生理食塩水100mlを1日3回投与
  • ・ソルデム3A 持続点滴50ml/h
  • ・水分摂取励行
  • ・安静指示
  • ・尿回数・尿量測定、尿性状の観察指示

看護問題(看護診断)

尿路感染症の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・感染による体温上昇
  • ・排尿時の疼痛や不快感に伴う苦痛
  • ・水分摂取不足による脱水のリスク
  • ・高齢者におけるセルフケアの困難
  • ・疾患再発に関する健康管理知識の不足

今回の事例での看護診断を挙げていきます。

発熱、全身倦怠感による安静の必要および脱水のリスク

腎盂腎炎により高熱や悪寒、全身倦怠感がみられ、体力の消耗が著しい状態であると考えられます。

安静を保つ必要性がある一方で、発熱に伴う発汗や基礎疾患(糖尿病)、高齢による体液調整機能のていかにより脱水を招きやすく、特に水分摂取が不十分な場合には、循環動態や腎機能への影響も懸念されます。

全身状態の観察(体温・脈拍・呼吸・血圧・意識レベル・尿量など)を継続的に観察しながら、安静確保とともに経口や点滴での適切な水分補給が重要です。

腰背部痛や排尿時痛、頻尿に関連した苦痛と転倒転落のリスク

排尿時に疼痛があり、頻尿も認められることから、排尿に対する不安や恐怖感が生じており、自発的な排尿行動が抑制されている可能性があります。

また、水分を摂ると排尿回数が増えることを懸念し、水分摂取を控える傾向もみられています。

加えて、頻回のトイレ移動により身体的負担が大きく、特に高齢で筋力低下がある場合には転倒リスクも高まるため、安全な移動支援や排泄環境の整備が必要です。

独居高齢者における感染管理に関するセルフケアの困難

独居であることから、日常生活において体調変化に気づきにくく、発熱や排尿の異常など感染兆候の見逃しが懸念されます。

また、高齢であることや糖尿病の既往から、疾患に対する理解や感染予防行動(陰部洗浄、手洗い、水分摂取など)に対する認識が不十分な可能性があります。

再発を防ぐために、感染初期症状への気づきや感染予防対策の教育に対する支援が必要です。さらに、地域支援(訪問看護・ヘルパーなど)の活用も含めた継続的支援体制の整備が求められます。

書き方のポイント

尿路感染症の関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 感染のリスク要因を明確にする

排尿障害(前立腺肥大症・神経因膀胱性など)、糖尿病、長期臥床、カテーテル留置歴などは発症や悪化に深く関与しますので、要因をしっかりと抑えましょう。


Point2 高齢者特有のリスクを意識する

上記に加えて、脱水やセルフケア能力の低下など、年齢に応じたリスク要素を加えましょう。


Point3 症状の出現と疾患の進行過程を関連づける

排尿時痛や頻尿といった初期症状から始まり、膀胱炎を経て、腎盂腎炎に至る経過を図示することで理解が深まります。


Point4 患者さまの生活背景を取り入れる

独居や水分摂取状況、排尿行動など患者さまの生活背景が感染管理に影響することを示します。


Point5 再発予防の視点を取り入れる

疾患教育や生活指導までつなげると、より実践的かつ個別性のある関連図になります。

尿路感染の関連図では、「感染がどこから起きて」「どのように広がっているか」「何に注意すべきか」を視覚的に整理することがポイントです。個別の生活背景が症状や治療に影響しているため、関連図には生活習慣理解度、支援体制なども盛り込むと良いでしょう。

尿路感染症の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、尿路感染症の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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