看護学生・新卒看護師のための就活・奨学金情報サイト
看護計画や関連図、行動計画、実習レポートをダウンロードできる!

関連図の書き方 ネフローゼ症候群

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回はネフローゼ症候群の関連図です。関連図の書き方のほか、ネフローゼ症候群の関連図もダウンロードできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

ネフローゼ症候群とは?(病態)

ネフローゼ症候群とは、腎臓の糸球体という血液をろ過する部分に障害が生じることで、大量のタンパク質が尿中に漏れ出す病態です。これにより、血液中のアルブミン濃度が著しく低下(低アルブミン血症)し、血管内の浸透圧が下がることで、水分が血管外へ移行しやすくなり、顔や四肢、腹部、さらには全身に浮腫が現れます。また、血液中のアルブミンが減ると、体はその不足を補おうと肝臓でアルブミンや脂質を合成します。その結果、高脂血症(血中コレステロールや中性脂肪の上昇)も合併するのが特徴です。

ネフローゼ症候群の原因

ネフローゼ症候群の原因は、大きく分けて原発性(一次性)と続発性(二次性)に分けられます。

原発性(一次性)

小児に多い微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)、膜性腎症(MN)、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)などがあり、腎臓の病変が主体となります。微小変化型では、かぜなどのウイルス感染がきっかけで発症することが多く、MNやFSGSにおいても一部の症例でウイルス感染が誘因となる可能性が指摘されています。

続発性(二次性)

全身性エリテマトーデス(SLE)、糖尿病性腎症、B型肝炎や梅毒などの感染症、悪性腫瘍、薬剤性などが原因となります。

ネフローゼ症候群の治療

治療の第一選択はステロイド薬で、特に微小変化型では高い効果が期待できます。しかし、ステロイドに反応しにくい場合や再発を繰り返す場合には、免疫抑制剤の併用や支持療法(利尿薬、アルブミン製剤、高血圧治療薬など)が必要になります。また、ステロイド使用に伴う副作用(ムーンフェイス、骨粗鬆症、感染症など)への注意も欠かせません。
再発しやすい疾患であるため、長期的な治療と生活管理、感染予防、栄養管理などの包括的なケアが必要となります。

患者の情報(事例)

以下の事例をもとに、ネフローゼ症候群患者の看護問題、書き方のポイントを説明していきます。

基本情報 Tくん 10歳男児
家族構成 両親と弟の4人家族。
生活歴 これまで特に大きな病歴はなく、活発で元気な性格。現在は小学校4年生で、友人ともよく遊び、学業にも特に問題はない。
現病歴 1週間前より鼻水・咳などのかぜ症状があり、市販薬を使用して経過観察していた。かぜ症状は数日で軽快したが、その数日後から顔や足のむくみを訴え、近医を受診。尿検査でタンパク尿(3+)を認め、精査目的で入院となった。入院時、体重は5kg増加しており、顔面や下肢に著明な浮腫、腹部膨満がみられた。血液検査では血清アルブミン2.0g/dL、総コレステロール310mg/dLと低アルブミン血症および高脂血症を認めた。尿量は減少傾向で、1日当たり300ml以下となっている。医師より「微小変化型ネフローゼ症候群」と診断され、ステロイド(プレドニゾロン)投与のほか、安静の保持や食塩・脂質制限を中心とした食事療法やその栄養指導も行われている。
治療経過 入院初期はむくみや体のだるさから活動量が低下しており、食欲もやや低下していた。ステロイド治療開始後、徐々に尿量が増え始め、浮腫の改善がみられている。
精神面 初めての入院や点滴、服薬などの治療に対して「いつ退院できるの?」「この病気は治るの?」といった不安を訴えており、日常とは異なる環境に対しても落ち着かない様子がある。また、学校を休んでいることへの戸惑いや、友達に病気のことを知られるのが恥ずかしいという様子もみられている。母親は付き添いで入院中であるが、食事の面など退院後の生活に対して不安を感じている。

看護問題(看護診断)

ネフローゼ症候群の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・浮腫・腹水による苦痛
  • ・ステロイド療法による代謝異常および免疫抑制に伴う高血糖・感染リスク状態
  • ・入院生活や治療に対する不安やストレス

今回の事例での看護診断を挙げていきます。

浮腫・腹水による苦痛

ネフローゼ症候群により低アルブミン血症が生じ、血漿膠質浸透圧が低下したことで体液が血管外に漏出し、全身に浮腫や腹水が出現しています。
尿量も減少し、体重増加や倦怠感など日常生活への影響が大きいため、安静の援助と水分出納の管理が重要です。

ステロイド療法による代謝異常および免疫抑制に伴う高血糖・感染リスク状態

ステロイド治療により、糖新生の促進やインスリン抵抗性が生じることで、高血糖を引き起こすリスクがあります。また、免疫抑制作用に加えて、ネフローゼの病態による免疫グロブリンの喪失も感染抵抗力の低下につながります。現在は高血糖の症状はみられていませんが、今後も体調変化に注意が必要です。特に小児では気道感染や尿路感染などに注意し、環境整備や体温・バイタルサインの変化に加え、高血糖に関連する症状の早期発見と予防的な対応を行います。

入院生活や治療に対する不安やストレス

初めての入院や点滴、服薬などの治療に対して不安を訴えており、日常とは異なる環境にも落ち着かない様子がみられています。また、学校を休んでいることや、友人に病気のことを知られることへの不安も感じています。こうした状況が心理的ストレスとなり、睡眠や食欲への影響も懸念されます。さらに、顔面浮腫やムーンフェイスといった外見の変化により、今後自己の身体への違和感や、他者との比較によるストレスを感じる可能性が高いです。成長期の子どもは外見に対する感受性が高く、ストレスへの対処力も未熟であるため、受容的な関わりや、治療内容の説明、心理的サポートが重要となります。

書き方のポイント

ネフローゼ症候群の関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 原発性か続発性かを明確にする

小児のネフローゼ症候群は多くが原発性であり、特に微小変化型が主です。原発性の場合は明確な原因が特定できないことが多いため、関連図では疾患分類や病型を整理することが重要です。一方、続発性の場合は膠原病や感染症、薬剤など明確な原因があるため、発症の経緯や因果関係を可視化するようにしましょう。


Point2 病期と治療内容を反映する

寛解導入期・維持期・再発期など、病期に応じて症状やケアの視点が変化します。ステロイド治療や再発の有無なども関連図に取り入れます。寛解導入期・維持期・再発期など、病期に応じて症状やケアの視点が変化します。ステロイド治療の内容や再発の有無、さらには治療に伴う副作用(ムーンフェイス、情緒不安定、感染リスク)なども関連図に取り入れ、心身両面からの支援につなげます。


Point3 身体症状と生活の変化をつなぐ

浮腫、体重増加、尿量減少、ムーンフェイスなどの変化が日常生活に与える影響を明確にし、ADLや学校生活への影響も含めて整理します。


Point4 心理・社会的側面に注目する

入院や外見の変化に不安を抱くことが多く、年齢発達に応じた心理的支援が必要です。家族の不安や支援体制も含めて視野に入れましょう。


Point5 再発予防と継続的支援を意識する

ネフローゼ症候群は再発しやすいため、退院後の安静・服薬・感染予防などの生活管理支援も関連図に盛り込みます。

ネフローゼ症候群の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、ネフローゼ症候群の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

友だちにこのページをシェアしよう!

ネフローゼ症候群の関連図はこちらから

実習時に使える!看護計画・関連図など無料ダウンロード
看護実習に強くなるポイント!
実習TOPにもどる

おすすめの関連コンテンツ

看護実習に強くなるポイント