看護学生・新卒看護師のための就活・奨学金情報サイト
看護計画や関連図、行動計画、実習レポートをダウンロードできる!

関連図の書き方 認知症

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は認知症の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

認知症とは?(病態)

認知症とは、通常の日常生活や社会活動が十分に果たせなくなる知的機能の非可逆的低下を特徴とする症候群のことです。加齢に伴う単なる記憶力の低下や忘れやすさとは区別されています。

必ず認められる特徴としては、記憶力、見当識、言語的な疎通機能、要約する能力、学習能力、計算能力などの進行性で非可逆的な喪失となっています。

認知症の種類

代表的な疾患として、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症があります。

脳の解剖図

①アルツハイマー型認知症

脳に特殊なタンパクが蓄積し、記録を司る海馬を中心に、広範囲に萎縮する病態です。中心症状といわれる記憶障害や見当識障害に加え、BPSD(行動・心理症状)といわれる徘徊や興奮、妄想などの症状により周囲とトラブルになることも多くみられます。

②レビー小体型認知症

レビー小体という異常構造物が、脳幹や大脳皮質全体に出現し、認知機能の低下とともに、実際にはないものがみえる幻視や、運動障害が現れ、パーキンソン病との関連が深いとされています。

③脳血管性認知症

脳の血管障害で起こる認知症の総称であり、多くの場合、脳梗塞が原因となっています。まだら認知症とも呼ばれ、梗塞の部位によって症状が異なることが特徴です。

④前頭側頭型認知症

前頭葉と側頭葉前部の神経細胞が編成する疾患群であり、人格変化や反社会的行動が表れることが特徴です。

それぞれ、病態や症状に違いがあり、関連図を作成するためには、その違いを押さえておく必要があります。

患者の情報(事例)

認知症患者の事例を挙げていきます。この情報に従って、認知症の関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 A氏 87歳男性
現病歴 要介護3、アルツハイマー型認知症。認知症症状の悪化によりレスパイトおよび薬剤調整目的にて精神科入院となる。目についたゴミを口に入れるといった異食行為が見られ、トラブルに発展することもあった。日中は、レクリエーションに熱心に取り組んでいる様子が伺えていたが、夜間になると帰宅要求が強く、徘徊する様子も見られている。現在、下肢に浮腫が見られるため、リハビリテーションを実施している。
生活歴 70歳になるまで自営業をしていた。せっかちな性格であり、なんでもすぐにやらないと気が済まないと話す。旅行が趣味。
家族歴 妻と二人暮らしで関係は良好。同じ町内に次男夫婦が住んでおり、次男の嫁は、よく顔を出していた。長男夫婦とは疎遠である。入院までは、キーパーソンである次男の嫁が献身的に介護していたが、介護負担により施設入所を希望している。症状安定後は、施設退院を視野に入れる方向で調整中。
運動機能 身体機能の低下により普段から杖を使用しており、時折振り回す様子あり。
ADLの状態
排泄 排泄動作に介助が必要な状態となっており、リハビリパンツを使用している。
服薬など 妄想発言や暴言暴力行為が見られ、時折頓服薬を使用していた。内服薬を渋る様子もあり。

看護問題(看護診断)

今回は認知症患者の看護診断を、以下に挙げていきます。その患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。

対他者暴力リスク状態

一番わかりやすい認知症の症状による直接的な影響について考えてみましょう。自分自身や他者に対して、何らかの影響が生じていないでしょうか。ここでは、暴言や暴力といった他者への影響を考え、「#対他者暴力リスク状態」を診断してみました。

排泄セルフケア不足

患者自身の入院生活や日常生活上での困りごとはないでしょうか。看護師として援助していかなければならない部分でもあり、患者本人の困りごとに対して、寄り添っていくことも必要です。ここでは、排泄行動に介助が必要なA氏に対し、「#排泄セルフケア不足」を診断してみました。

転倒のリスク

高齢者という年齢による影響や治療による影響など、その他の影響についても考える必要があります。例えば、運動機能も低下していますし、向精神薬の影響もあります。ここではA氏の特徴を踏まえて「#転倒のリスク」を診断してみました。「#転倒のリスク」は、どのような場合においてもあげやすい看護診断ではありますが、その転倒は誰にでも起きるようなものなのか、この患者の現状だから起きやすいものなのかなど、根拠を持ってしっかりと吟味したうえで診断し、計画立案する必要があります。

介護者役割緊張

さらに発展的に考えるのであれば、家族の影響や退院後の生活についても考えてみましょう。A氏のご家族は、入院するまでの間、認知症の介護に苦労してきたことが伺えます。退院後の介護はどうなっているでしょうか。ここでは、「#介護者役割緊張」をあげてみました。実習中でしたら、直接家族と関わることは難しいですが、患者を理解する上ではとても大切な視点となります。

書き方のポイント

認知症患者の関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 患者情報を書く

まずはじめに、中央上部に患者情報(名前、性別、年齢)を書きます。この時、個人情報に注意して、患者の姓名とは別のイニシャルを設定します。※例:田中さんの場合「Tさん」ではなく、「Aさん」とする。年齢は、80歳代(特に60歳や70歳は、前半後半をつけるとよい)とします。

Point2 症状や治療などを記載する

次に、患者情報の下に、主疾患を書きます。そして、患者情報と主疾患を原因や機序でつないでいきます。主疾患の下には、症状やそれに対する治療(手術や薬物療法など)を書きます。その症状や治療によって影響を受けていることがあればどんどん書いていきましょう。また、その症状や影響の間も、機序などを付け加えていくことで、根拠のある関連図に仕上げていきます。

まだ起きていない潜在的な症状や影響があれば、点線でつなぎます。また、その疾患や症状に対して治療を行っているというイメージで記述するので、矢印の向きが逆になります。気をつけましょう。

Point3 精神面や社会面を記載する

おおむね身体面の関連図が書けたら、患者情報の左右に、精神面や社会面を書いていきます。このように、まとまりをもって情報を記載することで、見やすい関連図となります。また、身体面、精神面、社会面がそれぞれ繋がっていくことで、患者を中心に取り巻く関連図が完成します。

Point4 最後に個別性を追記する

仕上げとして、生活面やA氏の発言、数値データなどの、より個別性があるデータを付け足していくことで、関連図が完成します。

実習をしていると、次から次へと新たな情報が得られ、どこまで書いたら良いのだろうかと思うことがあるかもしれません。あくまで、患者の一時点(例えば、入院〇日目)ということを意識しておくことも大切です。

認知症の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、認知症の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

友だちにこのページをシェアしよう!

認知症の関連図はこちらから

実習時に使える!看護計画・関連図など無料ダウンロード
看護実習に強くなるポイント!
実習TOPにもどる

おすすめの関連コンテンツ

看護実習に強くなるポイント