心不全とは、「心臓に何らかの異常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態」をいいます(日本心臓財団)。
その原因疾患は多岐に渡り、①心筋の異常、②血行動態の異常、③不整脈によるものの3つに大別されます。
①心筋の異常
虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症)、薬剤、感染症(ウイルス性心筋炎)、免疫疾患(関節リウマチ)、妊娠など
②血行動態の異常
高血圧や弁膜症(先天性弁膜症、心室中隔欠損症)、腎不全などによる体液増加など
③不整脈
心房細動、洞不全症候群など
上記のように心臓疾患以外にも様々な要因があることを知っておく必要があります。
臨床症状としては左心室の機能低下による左心不全と右心室の機能低下による右心不全に分類され、それぞれ違った症状がみられます。ただし、右心不全については、左心不全に続発することが多いです。
心拍出量低下による全身倦怠感、易疲労感、動悸、血圧低下、頻脈、冷汗、四肢冷感、チアノーゼ、チェーンストークス呼吸。肺循環のうっ血による息切れ、起坐呼吸、夜間呼吸困難、肺水腫による水泡音・喘鳴聴取、ピンク色の泡沫状喀痰
体静脈のうっ血による急激な体重増加、四肢末梢の浮腫、頸静脈怒張。腹部臓器のうっ血による肝腫大とそれに伴う右季助部痛、腹部膨満感、悪心・嘔吐、胸水・腹水の貯留