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関連図の書き方 心不全

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は心不全の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修東大和病院

活気あふれる明るい職場!地域に根差した急性期病院です。

心不全とは?(病態)

心不全とは、「心臓に何らかの異常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態」をいいます(日本心臓財団)。
その原因疾患は多岐に渡り、①心筋の異常、②血行動態の異常、③不整脈によるものの3つに大別されます。

①心筋の異常

虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症)、薬剤、感染症(ウイルス性心筋炎)、免疫疾患(関節リウマチ)、妊娠など

②血行動態の異常

高血圧や弁膜症(先天性弁膜症、心室中隔欠損症)、腎不全などによる体液増加など

③不整脈

心房細動、洞不全症候群など

上記のように心臓疾患以外にも様々な要因があることを知っておく必要があります。

臨床症状としては左心室の機能低下による左心不全と右心室の機能低下による右心不全に分類され、それぞれ違った症状がみられます。ただし、右心不全については、左心不全に続発することが多いです。

左心不全・右心不全

左心不全症状

心拍出量低下による全身倦怠感、易疲労感、動悸、血圧低下、頻脈、冷汗、四肢冷感、チアノーゼ、チェーンストークス呼吸。肺循環のうっ血による息切れ、起坐呼吸、夜間呼吸困難、肺水腫による水泡音・喘鳴聴取、ピンク色の泡沫状喀痰

右心不全症状

体静脈のうっ血による急激な体重増加、四肢末梢の浮腫、頸静脈怒張。腹部臓器のうっ血による肝腫大とそれに伴う右季助部痛、腹部膨満感、悪心・嘔吐、胸水・腹水の貯留

患者の情報(事例)

心不全患者の関連図を書く上での事例を挙げてみます。​
この情報に従って、心不全の関連図の書き方を説明します。

基本情報 A氏 70歳男性
既住歴 5年前に心筋梗塞、糖尿病、高血圧、脂質異常症
家族歴 父 虚血性心疾患
家族構成 遠方に長男家族がいる。妻は死去しており現在独居。
キーパーソン 長男
現病歴 A氏は、5年前に心筋梗塞を発症し、2年前に慢性心不全と診断されていた。しかし「俺の親父も同じ病気で70歳で死んだ」「残りの人生はおまけのようなものだから好きに生きる」と述べ、1日ビール2L、タバコ20本を続けていた。1週間前からトイレ歩行時に息苦しさが出現し、4日前から息苦しくなり食事が摂れなくなった。次第に両下肢の浮腫が目立ち始め、体重も1週間で5kg増えた。このため心不全の増悪と診断され入院した。
入院時、体温36.3℃、呼吸数24/分、脈拍90/分(脈不整なし)、血圧124/72mmHgであった。
ADLの状態
安静度 ベッド上でのみ行動可。車椅子移動可。
食事摂取 配膳下膳のみ介助で自立。
口腔ケア 車椅子移乗にて洗面台へ移動介助すれば自立。
排泄 車椅子移乗しトイレへ、ややふらつきあり。
更衣・整容 全身清拭軽介助で可能。
服薬 看護師全管理にて服薬。

看護問題(看護診断)

今回の事例での看護診断を挙げていきます。

心拍出量低下

心不全や合併症増悪のリスクがあるため、頻回なバイタルサイン・循環器症状・検査データ・水分のIN・OUTの確認、モニター管理等がとても大切になっていきます。命に直結しますので重要な看護診断です。

活動耐性低下

心不全により呼吸苦、両下肢の浮腫が出現しておりADL低下がみられています。心臓疾患の場合、医師からの安静度指示の範囲でADL低下を防ぐ必要があります。臥床状態が長くなると塞栓症や褥瘡などのリスクも高くなります。

身体損傷リスク状態

心拍出量低下により眩量・意識障害などの症状がでやすい状態です。さらに、下肢浮腫があり歩きづらく、離床時に転倒のリスクが高いと考えられます。安静度やバイタルサインの確認をし、本人に必ずナースコールを押してもらうなど教育的な関わりも必要です。

非効果的健康管理

A氏は心不全に対する治療行動が正しくできず症状が悪化したため管理入院となりました。治療に対して消極的な言動があり、医師の指示を守れない可能性があります。その場合、心不全症状のさらなる悪化や合併症を引き起こしかねませんので重要な視点です。

他にも、

  • ・栄養摂取消費バランス異常:必要量以下
  • ・皮膚統合性障害リスク状態
  • ・睡眠パターン混乱

などが看護診断としてあげられる可能性があります。

書き方のポイント

心不全の関連図の書き方のポイントを説明します。

病態の整理が必要

まず、どのような原因で心不全になり、それが現在の症状にどう関連しているか病態の整理が必要です。

前述の通り、右心不全なのか、左心不全なのかで症状に違いがでてきますし起因となった病気によっても違いがあります。
病態を整理したあと、①患者の命の危機に直結すること②特に苦痛や困難に感じていること③転倒・塞栓症・褥瘡などの2次障害のリスクが高いこと④退院後困ることを順に考えていきます。

今回の事例の場合、①に対応する看護診断は「心拍出量低下」、②は「活動耐性低下」、③は「身体損傷リスク状態」、④は「非効果的健康管理」になります。

病態の整理の流れ

基本的にはこの優先順位となりますが、退院の目途がたっていたり、安静度の指示が守れないことが問題になっていたり、その時々の状況で重要な診断は変動します。

患者さんが入院した時点で、退院後の生活を想定していくことも重要です。年齢、生活歴、人生観、家族構成や家屋の状態を含めて関連図へ記載し個別性を出していきましょう。

心不全の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、心不全の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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引用・参考文献

  1. 急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
    https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2017/06/JCS2017_tsutsui_h.pdf
  2. 著 リンダJ・カルペニート 監訳 黒沢ゆり子 看護診断ハンドブック 第11版
  3. 公益財団法人 日本心臓財団「心不全とはなにか?」
    https://www.jhf.or.jp/check/heart_failure/02/
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