直腸がんは、大腸がんの一種であり、直腸(S状結腸の末端から肛門までの約15cmの範囲)に発生する悪性腫瘍です。がんの進行に伴い、便通異常(下痢・便秘)、血便、排便時の違和感などがみられます。

初期のがんは粘膜にとどまりますが、進行すると筋層や漿膜(しょうまく)、さらには周囲の臓器やリンパ節、遠隔臓器(肝臓、肺など)へ転移します。治療には外科的切除が基本となり、ステージに応じて化学療法や放射線療法が併用されます。肛門に近い部位にがんがある場合は人工肛門(ストーマ)の造設が必要となることもあります。
発症のリスク因子には、高脂肪・低繊維の食生活、肥満、喫煙、アルコール、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)や家族歴などが挙げられます。進行度に応じて術前・術後での看護の視点も大きく異なるため、個別性を重視した看護が求められます。