看護学生・新卒看護師のための就活・奨学金情報サイト
看護計画や関連図、行動計画、実習レポートをダウンロードできる!

関連図の書き方 直腸がん

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は直腸がんの関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

直腸がんとは?(病態)

直腸がんは、大腸がんの一種であり、直腸(S状結腸の末端から肛門までの約15cmの範囲)に発生する悪性腫瘍です。がんの進行に伴い、便通異常(下痢・便秘)、血便、排便時の違和感などがみられます。

大腸のイメージ

直腸がんの進行

初期のがんは粘膜にとどまりますが、進行すると筋層や漿膜(しょうまく)、さらには周囲の臓器やリンパ節、遠隔臓器(肝臓、肺など)へ転移します。治療には外科的切除が基本となり、ステージに応じて化学療法や放射線療法が併用されます。肛門に近い部位にがんがある場合は人工肛門(ストーマ)の造設が必要となることもあります。

直腸がんの原因

発症のリスク因子には、高脂肪・低繊維の食生活、肥満、喫煙、アルコール、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)や家族歴などが挙げられます。進行度に応じて術前・術後での看護の視点も大きく異なるため、個別性を重視した看護が求められます。

患者の情報(事例)

以下の事例をもとに、直腸がん患者の看護問題、書き方のポイントを説明していきます。

基本情報 A氏 60歳 男性
職業 タクシードライバー(夜勤あり)
現病歴 1ヶ月前より便に血液が混じる。近医での精査で直腸がん(ステージⅢb)と診断され、外科的切除(低位前方切除術)と人工肛門造設術を施行された。
既往歴 高血圧、脂質異常症(内服加療中)
生活歴 喫煙歴30年以上(1日20本)、飲酒は週5日程度。野菜摂取は少なく、外食中心の食生活。運動習慣なし。
家族構成 妻(専業主婦)と二人暮らし。子どもは独立済み。妻が術後のストーマ管理に不安を抱えている。
術後経過 術後3日目、バイタルサイン安定。ストーマ周囲の皮膚に軽度の発赤あり。ソルデム3A500ml/日。
創部痛の状態 創部痛に対しての訴えは安静時NRS0〜2、体動時NRS3〜4程度。体動時に違和感を訴え、 ADLへの影響はあるものの毎食後にロキソニンを内服しており、安静時の疼痛はコントロールされている様子である。起立や歩行は看護師の介助により可能。
セルフケア獲得状況 排泄の自己管理は不安が強く、装具交換や皮膚の観察には看護師に全面的に依存。見学には応じているが、手技の実践には消極的で「失敗が怖い」と話す。
食事 術後3日目より5部粥から開始するも、食欲の低下がみられ摂取量は3割程度。
精神面 術後の身体機能の変化やストーマの存在、病気の再発に対する不安を口にしており、夜間の不眠の訴えも聞かれている。

看護問題(看護診断)

直腸がんの看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・ストーマ造設後の早期合併症のリスク
  • ・ストーマ管理に対するセルフケア不足
  • ・創部痛による日常生活動作の制限
  • ・食欲低下による栄養状態の悪化リスク
  • ・疾患・治療に伴う再発への不安

患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。今回の事例での看護診断を挙げていきます。

ストーマ造設後の早期合併症のリスク

術後は、出血・感染・壊死などの早期合併症に加えて、排泄物による皮膚への化学的刺激により皮膚炎が生じやすいです。現在ストーマ周辺に発赤も見られており、適切なスキンケアや継続した皮膚状態・ストーマの観察が重要です。

ストーマ管理に対するセルフケア不足

術後間もないため、ストーマの装具交換や皮膚ケアに対する知識・技術が未習得であり、看護師への依存が強い状態。継続的な指導と成功体験の積み重ねが必要です。

創部痛による日常生活動作の制限

創部の痛みによりADL(特に移動や更衣)が制限されており、術後の回復遅延が懸念されます。疼痛管理とともに、無理のない活動範囲の拡大が必要です。

食欲低下による栄養状態の悪化リスク

術後の倦怠感や不安などからも食欲が低下していると考えられ、栄養不足が進行するリスクがあります。食事内容の工夫や段階的な摂取の促進が求められます。

疾患・治療に伴う再発への不安

ストーマ造設による身体機能の変化や、がんの再発・予後に対する不安が強く、夜間の不眠の訴えも聞かれています。傾聴を通じた心理的サポートや情報提供が大切です。

書き方のポイント

直腸がんの関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 疾患のリスク要因や背景疾患を明確にする

直腸がんの発症には、加齢、食生活(高脂肪・低繊維)、喫煙、アルコール、家族歴、炎症性腸疾患などが関与しています。患者の生活習慣や既往歴を把握し、個別のリスクを整理しましょう。


Point2 がんの進行度と治療方針を正確に捉える

直腸がんのステージによって治療内容や看護の視点が異なります。がんの深達度、他臓器への転移の有無、術式、ストーマの有無などを明確にし、反映させます。


Point3 治療に伴う経過とADLの変化を観察する

手術や化学療法、放射線療法により、創部痛、排便機能障害、下痢・便秘、ストーマ管理などのさまざまな身体的変化が生じます。活動レベルや食事摂取量の変化も含め、問題点を可視化します。


Point4 患者と家族の心理面・社会的背景にも注目する

ストーマ造設や排泄の問題は、患者の自尊心やQOLに大きく影響します。家族の介護力や支援体制を含め、精神的・社会的側面の変化や支援ニーズを整理しましょう。


Point5 再発・転移やセルフケア継続の視点を加える

退院後もストーマ管理や再発リスクへの不安が続くため、段階的な指導と継続的なフォローが必要です。患者が安心して自己管理できるよう支援する視点を盛り込むことで、関連図に深みが出ます。

直腸がんの関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、直腸がんの関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

友だちにこのページをシェアしよう!

直腸がんの関連図はこちらから

実習時に使える!看護計画・関連図など無料ダウンロード
看護実習に強くなるポイント!
実習TOPにもどる

おすすめの関連コンテンツ

看護実習に強くなるポイント