看護学生・新卒看護師のための就活・奨学金情報サイト
看護計画や関連図、行動計画、実習レポートをダウンロードできる!

関連図の書き方 食道がん

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は食道がんの関連図です。関連図の書き方のほか、食道がんの関連図もダウンロードできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

食道がんとは?(病態)

食道がんは、食道の粘膜から発生する悪性腫瘍です。日本では喫煙や飲酒、熱い飲食物の摂取習慣が主なリスク因子となっています。男性に多く、特に長年の喫煙・飲酒歴のある人に発症しやすい疾患です。

食道がんの症状・診断

食道は血管やリンパが豊富なため、進行すると周囲臓器への浸潤やリンパ節転移が起こります。初期には自覚症状が乏しく、「食べ物がつかえる」「飲み込みにくい」程度の違和感から始まり、進行すると体重減少や胸痛、声のかすれなどがみられます。

診断には内視鏡検査や造影検査、CT・PETによる進行度評価が行われます。

食道がんの進行度

食道がんの進行度はT(原発巣の深達度)、N(リンパ節転移)、M(遠隔転移)の組み合わせで評価され、以下の表のようにステージ0~IVに分類されます(TNM分類)。

深達度 N0
リンパ節
転移なし
N1
1~2個の
リンパ節転移
N2~3,M1a
3~6個の
リンパ節転移
M1b
遠隔転移
T0,T1a
結膜にとどまる
0 ⅢA ⅣB
T1b
粘膜下層にとどまる
ⅢA ⅣB
T2
固有筋層にとどまる
ⅢA ⅢA ⅣB
T3r
外膜まで広がるが
切除可能
ⅢA ⅢA ⅣB
T3br
外膜まで広がり
切除可能境界
ⅢB ⅢB ⅢB ⅣB
T4
食道周囲臓器に広がり
切除不可能
ⅣA ⅣA ⅣA ⅣB

T(深達度)

がんが食道の壁にどこまで染み込んでいるかを示しています。

N(リンパ節転移)

がんが周囲のリンパ節ににじむように広がったかを示しています。

M(遠隔転移)

がんが肺や肝臓など、別の臓器に飛び火したかを意味します。

食道がんの治療法

食道がんの治療法は、一般的に進行度によって以下のように整理されます。

進行度 治療
ステージ0
(粘膜内)
内視鏡切除(EMR/ESD)
ステージ
Ⅰ~Ⅱ
胸腔鏡下食道切除術
+ リンパ節郭清
ステージ
術前化学放射線療法
+ 手術
ステージ
化学療法・放射線療法・緩和

がんは粘膜から徐々に奥へ染み込むように広がります。

粘膜内(T1a)にとどまる場合

リンパ節転移の可能性が低いため、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)でがんの部分だけをはぎ取る治療が行われます。

筋層(T1b)まで達する場合

リンパ節へ広がる危険性が高くなるため、食道を切除して胃や腸を引き上げて再建する手術が必要になります。

周囲のリンパ節に転移がある場合(N1以上)

目に見えないがん細胞を叩く目的で抗がん剤を組み合わせます。代表的な化学療法はシスプラチンと5-FU(フルオロウラシル)を用いる FP療法で、手術前に行うことで腫瘍を小さくし、手術後に行うことで再発を防ぎます。

全身状態が良ければ、より効果の高いドセタキセルを加えたDCF療法が選ばれることもあります。

手術が難しい場合や高齢で体力がない場合は、抗がん剤と放射線を同時に行う化学放射線療法で根治を目指します。

他の臓器にまで転移した場合(M1)

がんを完全に取り除くことが難しいため、化学療法を中心とした全身治療で進行を抑えることが目的になります。

患者の情報(事例)

食道がん患者の関連図を書く上での事例を挙げてみます。下記の情報に従って、食道がんの関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 A氏 70歳 男性 妻と二人暮らし。
既往歴 高血圧、脂質異常症。長年の喫煙歴あり(40本/日 × 40年)、焼酎を毎日飲酒。
現病歴

2か月前から食事時のつかえ感と体重減少(−5kg)がみられ受診。

上部消化管内視鏡検査にて中部食道に腫瘍を認め、生検で扁平上皮がんと診断。CTでリンパ節転移(一部)ありステージⅢ相応。胸腔鏡下食道亜全摘術+後縦隔経路胃管再建術が予定され、術前化学療法(FP療法2コース)が施行された。

術後は疼痛コントロールと呼吸リハビリ、早期離床が指示されている。経口摂取はまだ開始されておらず、経腸栄養チューブから栄養管理中。

A氏は「ちゃんと食べられるようになるのか不安」「またタバコ吸いたくなる」と話し、術後の生活や再発への不安・生活習慣改善の継続が課題である。

看護問題(看護診断)

食道がんにおける代表的な看護問題は、以下の通りです。患者さまの症状や背景によって適切に選択し、個別性を意識した看護診断を行いましょう。

  • ・術後侵襲による疼痛および呼吸機能低下
  • ・誤嚥・肺炎・縫合不全などの合併症リスク
  • ・嚥下障害および栄養不足
  • ・身体変化・再発に対する不安と生活習慣改善の困難

今回の事例での看護診断を挙げていきます。

術後侵襲による疼痛および呼吸機能低下

胸腔鏡下食道切除術では胸部に操作が加わるため、術後は胸腔ドレーンが挿入されており、胸部の違和感や疼痛によって深呼吸がしにくい状態となります。ドレーン固定部の牽引痛や体位変換時の痛みも加わることで換気が浅くなり、無気肺や肺炎のリスクが高くなります。

看護では胸腔ドレーンの排液・水封部の観察、屈曲や抜去リスクのない体位調整を行いながら、疼痛コントロール(PCA・硬膜外麻酔など)や呼吸訓練(スパイロメーター・深呼吸・IPPB)を併用し、早期離床を促すことが重要となります。

誤嚥・肺炎・縫合不全などの合併症リスク

術後は反回神経麻痺や嚥下機能低下、胃管再建部の縫合不全の可能性があるため、嚥下時のむせ・痰の性状・発熱・創部の発赤や排液などを観察します。

さらに、術前化学療法による組織の線維化や骨髄抑制、栄養低下の影響により、創部治癒遅延や感染症、出血、全身倦怠感・肺合併症のリスクが高まるため、より慎重な観察と管理が必要です。

必要に応じてNST(栄養サポートチーム)やST(言語聴覚士)との連携が重要です。

嚥下障害および栄養不足

経口摂取再開後も食事形態の工夫・少量頻回摂取・水分のとり方などに配慮が必要です。患者の嗜好や生活背景も踏まえた食支援・栄養指導を行います。

身体変化・再発に対する不安と生活習慣改善の困難

喫煙・飲酒が長年の習慣であるA氏にとって、禁煙・禁酒は大きな心理的負担となります。

「また再発したら…」「ちゃんと食べられるのか」などの不安に寄り添いながら、セルフケアの継続を支援する教育的アプローチが求められます。

書き方のポイント

食道がん患者の関連図の書き方のポイントを説明します。

発症の背景・リスク要因を整理する

まず関連図の上流には、食道がんになった背景を配置します。喫煙・飲酒・熱い飲食物の習慣、低栄養、逆流性食道炎などの粘膜への刺激は重要なリスク因子です。

患者の生活習慣や既往歴から「どんな要因が積み重なって発症したのか」を書き出し、「原因・誘因」として整理しましょう。


腫瘍形成から症状・治療・合併症までの流れを書く

腫瘍発生 → 食道狭窄 → 嚥下困難 → 栄養低下 → 手術・化学療法 → 術後管理 → 合併症リスク、という一連の流れを関連図に落とし込みます。


心理的・社会背景も忘れずに整理する

食道がんは食事に大きく関わる病気であるため、「食べられない不安」「体重減少による自信低下」などの心理変化が起こります。

さらに治療が長期にわたるため、仕事・家族・経済面への影響も考慮が必要です。関連図には「不安・孤独感・支援不足」などの項目も加えましょう。


治療・再発予防・セルフケア支援の視点を入れる

手術や化学放射線療法の後は、呼吸機能低下・栄養管理・疼痛など看護介入の場面が多くあります。

さらに退院後は「禁煙・禁酒」「食事の工夫」「通院継続」などセルフケアが重要となるため、「退院後の生活支援」「再発予防の教育」まで含めると、より実践的な関連図になります。

食道がんの関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、食道がんの関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

友だちにこのページをシェアしよう!

食道がんの関連図はこちらから

実習時に使える!看護計画・関連図など無料ダウンロード
看護実習に強くなるポイント!
実習TOPにもどる

おすすめの関連コンテンツ

看護実習に強くなるポイント