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関連図の書き方 肝硬変

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は肝硬変の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修東大和病院

活気あふれる明るい職場!地域に根差した急性期病院です。

肝硬変とは?(病態)

肝硬変は肝炎によって肝細胞の破壊と修復が繰り返され、肝臓内に線維組織が増えていき肝臓が硬くなっていく病気です。肝硬変の原因にはB型肝炎やC型肝炎の肝炎ウイルス、脂肪肝、アルコール性肝障害などがあります。肝硬変には身体症状がない代償期と症状が現れる非代償期があります。非代償性肝硬変になると腹水や黄疸、肝性脳症、食道静脈瘤などの症状が出現します。さらに進行すると肝細胞癌へと移行していきます。

B型肝硬変

感染源は、B型肝炎ウイルスに感染した母親から子どもへの感染、不衛生な器具による医療行為、刺青を作る際の器具からの感染、傷のある皮膚へ体液が付着する、B型肝炎ウイルス感染者との性的接触が挙げられます。症状としては倦怠感、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などがあります。治療としては抗ウイルス薬の投与や肝庇護治療法を行っていきます。​

C型肝硬変

感染源は、C型肝炎ウイルスに感染した血液による輸血やウイルスで汚染された医療器材(注射針等)を使用することが挙げられます。感染率は低いですがB型肝硬変と同様に母子感染やC型肝炎ウイルス感染者との性的接触も挙げられます。

脂肪肝

中性脂肪が肝臓に蓄積する病気です。食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足、肥満が原因として挙げられます。脂肪肝がある方は糖尿病や高血圧などの疾患を併発している方が多い傾向にあります。

アルコール肝障害

連日飲酒を続けているとアルコール性脂肪肝となり、また、一気に大量のアルコールを摂取すると急激に肝臓の状態が悪化し肝細胞が破壊され肝障害が起こります。

患者の情報(事例)

肝硬変患者の関連図を書く上での、事例を挙げてみます。​
この情報に従って、肝硬変の関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 A氏 75歳男性
現病歴 H25年C型肝炎を発症。外来受診で経過を見ていたがR4年から肝機能の低下により腹水、胸水が増加し、腹部膨満感、呼吸困難感の出現が見られたため、症状改善目的で入院となる。​
既住歴 71歳、高アンモニア血症。73歳、腹水貯蓄。74歳、黄疸。
生活歴 タクシー運転手として勤務し、現在は退職して年金生活。
家族歴 妻と2人暮らし。キーパーソンは妻。子は2人いるが遠方に住んでいる。
認知機能 病識があまり理解できていない。自宅では食事にあまり気を使っておらず、お酒も摂取している。
栄養状態 腹部膨満により食欲不振がみられる。食事形態は白飯100g、軟採食1,400kcalで2割ほど摂取している。
運動機能 腹部膨満や下肢浮腫が見られており、「浮腫んで歩きづらくなった」「お腹が膨らんでいるから足元が見えづらい」という発言が聞かれている。起き上がる時や座位になる際は支える介助が必要。
ADLの状態
摂食 ベッドを起こして長座位にし、食事をセッティングする介助が必要。
更衣・整容 腹部膨満により体動が困難なため、袖を通す、パンツやズボンを履かせる介助を行っている。整容は道具を準備すれば自分で行っている。
入浴・清潔 週に2回シャワーを浴びており一部介助をしている。シャワー室までの移動介助や更衣の着脱、自分で手が行き届かない部分の清潔援助を行っている。
排泄 尿意・便意はあるが時々間に合わず失禁することがありオムツ着用中。トイレへの移動は歩行の見守りを行っている。排便は1日5回でラクツロースシロップを1日3回内服している。
皮膚の状態 黄疸による皮膚掻痒感あり、レスタミン軟膏使用中。身体はやせ型で、仙骨部に病的骨突出がある。また下肢浮腫で皮膚の脆弱性が見られる。
服薬 サムスカ、ポルトラック、リーバクト、ラクツロースシロップ、ウルソを内服している。看護師が服薬管理を行っている。

看護問題(看護診断)

肝硬変患者の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・セルフケア不足
  • ・褥瘡のリスク
  • ・肝性脳症のリスク
  • ・黄疸による掻痒感、倦怠感の出現リスク
  • ・転倒・転落のリスク
  • ・腹水による食欲不振で低栄養状態のリスク

その患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。
今回の事例での看護診断を挙げていきます。

腹部膨満感、下肢浮腫による
セルフケア不足

この事例の場合、肝硬変の非代償性に入っており、腹水貯留で腹部膨満感や下肢浮腫によるADLの低下から、一番の問題はセルフケア不足になります。体動が困難になってきているため安楽に過ごせるような体位保持のほか、浮腫による皮膚の脆弱性や乾燥のため身体の保清などの援助も必要になってきます。

褥瘡のリスク状態​

ADLの低下、オムツ使用、高齢、腹水貯留、下肢浮腫があることなどから、褥瘡の発生リスクは高くなります。一度発生してしまうと治癒が困難なため、褥瘡のリスクの看護問題は重要になっていきます。

転倒・転落のリスク

腹部膨満や下肢浮腫があり高齢であることから、転倒・転落をする可能性は高くなります。本人に転倒・転落のリスクが高いことを伝え、移動する際は看護師が介助することを説明します。

食欲不振

腹水貯留による腹部膨満感のため食欲が低下する可能性があります。食事量の観察を行い、摂取量が少ない場合は患者の嗜好物や食べやすい物を取り入れた食事を提供し、栄養状態の低下を防いでいく必要があります。

書き方のポイント

肝硬変患者の関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 どのような症状が出ているのかを把握する

肝硬変は、進行していくと現れる症状が様々です。目の前の患者さまが、どんな症状・状態にあって、どのような苦痛があるのかしっかり把握しましょう。腹水の増加、胆汁の合成や排泄機能の低下、肝性脳症や食道静脈瘤など、出ている症状によって、アプローチが変わっていきます。


Point2 症状や看護問題で、個別性を出す

肝硬変によりどのような症状が出ているのかを把握したら、症状によって生じる問題につなげていきます。症状や問題は患者さまの性格、社会性、家族状況などによっても影響を受けます。人によって違う、個別性のある関連図を作成することがポイントになります。

例えば、自宅退院に伴う食事療法の説明では、独居の患者さまであれば本人に説明を行い理解していただく必要がありますが、主にご家族が食事を作るという患者さまでは、ご家族にも同席してもらい一緒に説明を聞いてもらうと、家庭での遵守率が上がる傾向にあるなどです。

肝硬変の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、肝硬変の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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