パーキンソン病を発症する原因は不明です。発症後は中脳の黒質にあるメラニン細胞に変性が生じます。そのため黒質線条体線維を経て、線条体(尾状核+被殻)、淡蒼球、視床へ送られるドパミンが減少し、神経系の機能障害が起こることで運動が抑制されます。
パーキンソン病には、安静時振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害といった特徴的な4大症状があります。その他に言語障害、小刻み歩行、仮面様顔貌などがみられます。
ADLを指標としたパーキンソン病の重症度がYahrらにより提唱されており、stageⅠ~Ⅴで分類されよく用いられています。
Hoehn&Yahrの重症度分類は以下の通りです。
Ⅰ | 症状は一側のみ。日常生活にはほとんど影響なし。 |
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Ⅱ | 症状が両側にある。日常生活はやや不便だが可能。 |
Ⅲ | 姿勢反射障害がみられ、活動が制限される。自力での生活が何とか可能。 |
Ⅳ | 重篤な障害がみられるが歩行はどうにか可能。生活に一部介助が必要。 |
Ⅴ | 立つことが不可能。ベッド上または車椅子生活。治療は薬物療法を主体に運動療法を並行して行い、適応があれば手術療法も可能。 |
薬物療法
L-ドーパ
脳内で減少したドパミンを補充するため内服する、代表的な治療薬となります。
ドパミン自体は経口的に服用しても脳へ移行せず、ドパミンの前駆物質であるため用いられます。長期間服用すると、up-down現象やon-off現象が生じることもあります。
抗コリン薬
ドパミンの減少に伴いアセチルコリンを含む神経路が強くなり、バランスが失われているのでアセチルコリン神経路の活動を抑えるために用いられます。
この他にドパミン遊離促進薬の塩酸アマンタジン(シンメトレル)なども併用することがあります。
手術療法
脳深部刺激療法(DBS)が代表的です。適応はL-ドーパによる症状の改善がみられる例で、薬物療法がすでに十分に行われたこと、Yahr分類がⅢ以上であること、重篤な認知症、精神症状、全身疾患がないことなどです。