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関連図の書き方 パーキンソン病

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回はパーキンソン病の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修東大和病院

活気あふれる明るい職場!地域に根差した急性期病院です。

パーキンソン病とは?(病態)

パーキンソン病を発症する原因は不明です。発症後は中脳の黒質にあるメラニン細胞に変性が生じます。そのため黒質線条体線維を経て、線条体(尾状核+被殻)、淡蒼球、視床へ送られるドパミンが減少し、神経系の機能障害が起こることで運動が抑制されます。​
パーキンソン病には、安静時振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害といった特徴的な4大症状があります。その他に言語障害、小刻み歩行、仮面様顔貌などがみられます。

ADLを指標としたパーキンソン病の重症度がYahrらにより提唱されており、stageⅠ~Ⅴで分類されよく用いられています。
Hoehn&Yahrの重症度分類は以下の通りです。

症状は一側のみ。日常生活にはほとんど影響なし。
症状が両側にある。日常生活はやや不便だが可能。
姿勢反射障害がみられ、活動が制限される。自力での生活が何とか可能。
重篤な障害がみられるが歩行はどうにか可能。生活に一部介助が必要。
立つことが不可能。ベッド上または車椅子生活。治療は薬物療法を主体に運動療法を並行して行い、適応があれば手術療法も可能。

パーキンソン病の治療

薬物療法

L-ドーパ

脳内で減少したドパミンを補充するため内服する、代表的な治療薬となります。
ドパミン自体は経口的に服用しても脳へ移行せず、ドパミンの前駆物質であるため用いられます。長期間服用すると、up-down現象やon-off現象が生じることもあります。

抗コリン薬

ドパミンの減少に伴いアセチルコリンを含む神経路が強くなり、バランスが失われているのでアセチルコリン神経路の活動を抑えるために用いられます。

この他にドパミン遊離促進薬の塩酸アマンタジン(シンメトレル)なども併用することがあります。

手術療法

脳深部刺激療法(DBS)が代表的です。適応はL-ドーパによる症状の改善がみられる例で、薬物療法がすでに十分に行われたこと、Yahr分類がⅢ以上であること、重篤な認知症、精神症状、全身疾患がないことなどです。

患者の情報(事例)

パーキンソン病患者の関連図を書く上での、事例を挙げてみます。​
この情報に従って、パーキンソン病の関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 P氏 75歳女性
現病歴 65歳から手足のこわばりや、ときどき振戦があり、パーキンソン病と診断され、68歳から薬物療法開始。最近オフの時間増加のため薬を調整している。
既住歴 60歳から2型糖尿病のため内服開始。血糖コントロール不良で67歳からインスリン導入。
生活歴 保育士として60歳まで働いていた。現在は年金生活。
家族歴 80歳の夫と二人暮し。キーパーソンは夫。
認知機能 最近物忘れがひどくなっている。HDS-Rは25点、痴呆性老人日常生活自立度はⅠA。
栄養状態 軽度嚥下障害あり。食事形態はソフト食1500kcal、全粥150gを毎食8~10割摂取できている。
運動機能 Yahr stage Ⅲ。デイサービスで週2回リハビリをしている。「あとどれくらい動けるのかしら」「夫にも迷惑を掛けてしまって」などの発言あり。
ADLの状態
摂食 補助具を使用しセッティングで自己摂取可能。
更衣・整容 タオルを渡せば顔を拭くことは可能。上衣は自己にて着替えられる、ズボンは座りながら足を通せるが上げ下げは介助または見守りが必要。靴はゆっくり自分で履ける。
入浴・清潔 週3回デイザービスで入浴サービスを利用。
排泄 トイレ使用可能。ズボンの上げ下げの見守りか介助が必要。2日に1回は排便あり。
皮膚の状態 乾燥性皮膚炎あり。プロペトを就寝前に塗布している。
服薬など 薬は夫が管理。インスリンは手のこわばりのため自己でできず夫が管理している。

看護問題(看護診断)

パーキンソン病患者の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・転倒転落リスク
  • ・セルフケア不足
  • ・褥瘡リスク
  • ・家庭維持管理障害リスク状態
  • ・誤嚥リスク

その患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。
今回の事例での看護診断を挙げていきます。

転倒転落リスク

この事例の場合、最近薬剤の調製を行っているため症状の変化や観察が重要となってきます。どの薬剤が増量になったのか、それによりどのような症状が起きる可能性があるのか把握しましょう。そうすることで活動時に何を注意して転倒を予防するかの対応が考えられます。

更衣・整容・入浴・清潔・排泄セルフケア不足

この事例の場合、パーキンソン病が進行し、Yahr stage ⅢまでADLが低下しています。自己でできることを継続できるように介入していく必要があります。本人からの不安発言もあることから、看護問題としては重要になっていきます。

褥瘡リスク状態

パーキンソン病Yahr stage ⅢのADLであり、高齢であることなどから褥瘡の発生リスクは高くなります。一度発生してしまうと治療が困難であり、病気の進行により寝たきりとなる可能性を考えると、褥瘡リスクの看護問題は重要となります。

家庭維持管理障害リスク状態

高齢夫がキーパーソンであり、症状の進行により家族機能のバランスが崩れる可能性があります。現在デイサービスを利用していますが、将来的に自宅で看ていくのか、施設も考慮するのか、他の家族の援助があるのかなど情報を得ておく必要があります。

書き方のポイント

パーキンソン病患者の関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 症状や進行具合から、病態を把握する

現在の病気で特に出ている症状や進行具合から、病態の把握をします。
パーキンソン病は進行状況だけでなく、治療薬剤によっても症状が出る可能性があります。患者様のADLの状況と症状、内服薬剤とその副作用がどのように関係しているかを把握することが大切になります。

例えば、一見加齢による変化に見えても、実は薬剤によるものである可能性もあります。
薬剤のコントロールにより症状が改善する可能性があるため、薬剤との関連や副作用の有無などを把握して適切な援助を行えるようにしましょう。​


Point2 症状や看護問題で、個別性を出す

薬剤のコントロールやパーキンソン病の進行具合、ADLがどのような状態か把握したら、それによって生じる問題につなげていきます。
症状や問題はその患者さまの性格や家族状況などによっても影響を受けます。個別性のある関連図を作成することがポイントになります。

例えば、進行性の疾患であるパーキンソン病では、症状の進行や薬剤の副作用により精神症状が出現することがあります。患者さまや家族の方が疾患について正しい知識を持っているのか、家族の負担や社会資源の利用状況などを把握し、必要であれば看護問題としてアプローチする必要があります。

目の前にいる患者さまに合わせた関連図を書いてみましょう。

パーキンソン病の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、パーキンソン病の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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参考文献

  1. The 疾患別病態関連図マップ 2nd ed.(学研メディカル秀潤社)
  2. 病気が見える vol7 脳・神経(メディックメディア)
  3. New 疾患別看護過程の展開(学研メディカル秀潤社)
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