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関連図の書き方 筋萎縮性側索硬化症(ALS)

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修東大和病院

活気あふれる明るい職場!地域に根差した急性期病院です。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは?(病態)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンが障害される進行性の神経変性疾患で、指定難病の1つです。ALSの原因は分かっておらず、根本的治療はありません。50~70歳代で発症することが多く、血縁者に発病者がいる家族性ALSと血縁者に発病者がいない孤発性ALSがあります。ほとんどが孤発性ALSといわれています。
運動ニューロンには上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの2種類があります。

上位運動ニューロン

脊髄前角細胞に随意運動のために刺激を送る大脳皮質運動神経。

下位運動ニューロン

骨格筋を支配する脊髄前角細胞や脳幹部運動諸核。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状

運動ニューロンが障害されることにより、手足、のど、舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々に痩せていき、カがなくなっていきます。その一方、体の感覚、視覚や聴力、内臓機能などはすべて保たれます。
症状は、上肢型の症状、下肢型の症状、進行性球麻痺、仮性球麻痺、呼吸障害などがあります。

上肢型の症状

発症初期に出現する上半身の症状。具体的な症状として指先の麻痺、手の筋委縮、筋のぴくつき、関節の痛みなどがあります。

下肢型の症状

足にみられる症状。初期には、こわばりやつっぱりがみられます。足全体の筋肉反応が低下し、動きにくくなります。また、腱反射の減少、足の麻痺、痛みなどが出て転倒しやすくなります。

進行性球麻痺

顔や舌、のどの麻痺や筋委縮が起こることで出現する症状。話しにくい、咀嚼しづらい、嚥下困難などがあります。

呼吸障害

ALSの進行期によって呼吸障害の症状は異なります。初期では、大声を出しにくい、動くと息切れがする、会話が難しくなる、肺活量の低下、酸素飽和度の低下などがみられます。進行期には呼吸不全となり、人工呼吸器を用いなければ死に至ります。

患者の情報(事例)

ALS患者の関連図を書く上での、事例を挙げてみます。
この情報に従って、ALSの関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 A氏 67歳男性
現病歴 R4年1月に手先のしびれ感、動作時の息苦しさ、下肢筋力低下による歩行困難が出現したため受診。ALSと診断された。筋力低下の予防のためリハビリと薬物治療を開始。常時酸素投与を行うようになった。日中は酸素0.5L/分で投与。夜間はBIPAP使用。その後、一旦自宅退院した。同年4月に嚥下困難になり、今回胃ろうを造設するために再入院となった。胃ろう造設後、本人の希望により自宅退院することになった。最近は、言葉を発することも難しく、筆談をすることもある。言葉がでないことでイライラした様子を見せることもある。
生活歴 65歳で40年務めた会社を退職。退職後は、趣味の読書や釣りをしようと楽しみにしていた。「第2の人生を楽しみにしていたのにこんなことになって…。」と落胆した言葉あり。
家族歴 妻と二人暮らし。キーパーソンは妻。今後は妻が介護をする。妻も65歳。近くに娘が住んでいる。
認知機能 低下なし。
運動機能 下肢筋力低下はあるが、見守りで歩くことはできる。長距離移動時は車いすを使用。
ADLの状態
摂食 胃ろうからの栄養剤注入。
更衣・整容 一部介助が必要。
排泄 トイレ歩行、トイレ動作は自立。ときどき間に合わないことがあるためリハビリパンツを着用。
シャワー浴 シャワーチェアを使用。妻の介助が必要。
服薬など もともとは自己管理をしていた。胃ろうから注入するため妻にも服薬指導をしている。

看護問題(看護診断)

ALS患者の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・セルフケア不足のシンドローム
  • ・栄養摂取消費バランス異常(必要以下)
  • ・非効果的呼吸パターン
  • ・非効果的ストレスコーピング
  • ・家族介護者役割緊張のリスク状態
  • ・廃用症候群のリスク状態

その患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。
今回の事例での看護診断を挙げていきます。

セルフケア不足のシンドローム

ALSにより、ADLの低下は進みます。可能な限りADLの維持に努める必要があります。

栄養摂取消費バランス異常(必要以下)

球麻痺による嚥下困難から経ロ摂取は難しくなります。適切な胃ろうの管理をしながら、十分な栄養摂取をしていくことが大切です。

非効果的呼吸パターン

呼吸筋の障害により、酸素投与が必要です。また、呼吸困難は不安や、恐怖感につながります。適正な酸素化を維持しなければなりません。

非効果的ストレスコーピング

落胆した言葉が聞かれることや言語コミュニケーション障害、胃ろうによるボディイメージの混乱など、精神的ストレスが多い状態です。精神面の看護も大切です。

家族介護者役割緊張のリスク状態

A氏は自宅退院を希望しています。妻に介護負担がかからないよう妻へのサポートも視野に入れておきましょう。

廃用症候群のリスク状態

ALSは進行性の疾患です。転倒のリスク、褥瘡、便秘、感染症など、今後起こり得る状態を想定して看護計画を立てることが大切です。

書き方のポイント

ALSの関連図の書き方のポイントを説明します。

ALSの病態・進行度、精神的状態を把握する

まず、ALSの病態を理解しておきましょう。そのうえで、患者さまの症状がどこまで進行しているのかを把握します。そして、今後起こり得る問題を予測しましょう。また、今起こっている患者さまの状態に伴う精神的状態を把握することも大切です。今、起こっている問題、今後起こり得る問題を身体的なもの、精神的なもの、家族関連のものなどにグループ分けして考えるとアセスメントしやすくなります。

今起こっている問題

身体的な間題
  • セルフケア不足のシンドローム
  • 栄養摂取消費バランス異常(必要以下)
  • 非効果的呼吸パターン
精神的間題
  • 非効果的ストレスコーピング

今後起こり得る問題

家族関連
  • 家族介護者役割緊張のリスク状態
身体的間題
  • 廃用症候群のリスク状態

#5、6は今後起こり得る問題なので「リスク状態」であり、今起こっている#1~#4が関連しています。今起こっている問題にしっかりと取り組むことで、今後起こり得る問題の発生を遅らせることが可能になります。


患者さま意思決定と家族の生活状況を把握する

ALSの患者さまには、家族や医療者などサポートする人が必要となります。患者さまの病気の進行や身体症状だけにとらわれず、生活状況にも注目しましょう。家族構成や家族の背景なども把握しておくことが大切です。その患者さまと家族の個別性を見出し、社会資源なども視野に入れて関連図を書くことがポイントです。

今は、ALSの在宅医療も多様化しています。例えば、呼吸器をつけない選択をする患者さまも増えています。患者さまが、どういう医療を望むのかを把握し、その希望をかなえられるサポート体制を整える必要があります。相談できるクリニックの選定をする際に、クリニックの治療方針を知っておくと良いでしょう。

また、介護保険も申請できます。40歳以上65歳未満の方でも第2号被保険者として申請することが可能です。ケアマネジャーと連携を図り、利用する社会資源を決める必要があります。また、キーパーソンの妻の年齡やサポートしてくれる子供や親せき、友人は近くに住んでいるのかなども把握しておきましょう。妻の生活リズムも踏まえたうえで訪問看護や訪問介護などを導入すると妻の介護負担の軽減にもつながります。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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