筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンが障害される進行性の神経変性疾患で、指定難病の1つです。ALSの原因は分かっておらず、根本的治療はありません。50~70歳代で発症することが多く、血縁者に発病者がいる家族性ALSと血縁者に発病者がいない孤発性ALSがあります。ほとんどが孤発性ALSといわれています。
運動ニューロンには上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの2種類があります。

上位運動ニューロン
脊髄前角細胞に随意運動のために刺激を送る大脳皮質運動神経。
下位運動ニューロン
骨格筋を支配する脊髄前角細胞や脳幹部運動諸核。
運動ニューロンが障害されることにより、手足、のど、舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉が徐々に痩せていき、カがなくなっていきます。その一方、体の感覚、視覚や聴力、内臓機能などはすべて保たれます。
症状は、上肢型の症状、下肢型の症状、進行性球麻痺、仮性球麻痺、呼吸障害などがあります。
上肢型の症状
発症初期に出現する上半身の症状。具体的な症状として指先の麻痺、手の筋委縮、筋のぴくつき、関節の痛みなどがあります。
下肢型の症状
足にみられる症状。初期には、こわばりやつっぱりがみられます。足全体の筋肉反応が低下し、動きにくくなります。また、腱反射の減少、足の麻痺、痛みなどが出て転倒しやすくなります。
進行性球麻痺
顔や舌、のどの麻痺や筋委縮が起こることで出現する症状。話しにくい、咀嚼しづらい、嚥下困難などがあります。
呼吸障害
ALSの進行期によって呼吸障害の症状は異なります。初期では、大声を出しにくい、動くと息切れがする、会話が難しくなる、肺活量の低下、酸素飽和度の低下などがみられます。進行期には呼吸不全となり、人工呼吸器を用いなければ死に至ります。