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関連図の書き方 脳梗塞

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は脳梗塞の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修鎌ケ谷総合病院

新人ナースに優しいアットホームな急性期病院

脳梗塞とは?(病態)

脳梗塞とは、何らかの原因によって脳の動脈が閉塞し、血流が減少または途絶えて血行不良になることで、脳組織の機能が一過性あるいは永続的に低下してしまう病気です。​
これまで脳梗塞は、「脳血栓」と「脳塞栓」に分けられていましたが、最近では発症の原因によって以下の3つのタイプに分けるようになりました。

アテローム血栓性脳梗塞

動脈硬化、特にアテローム硬化による脳動脈の閉塞が原因です。徐々に血管内腔が狭くなり、最終的に閉塞します。発作の多くは、睡眠中あるいは起床後に起こります。​

ラクナ梗塞

高血圧による細動脈硬化が主な原因です。小さな梗塞が多発することが多く、症状は軽いことが多いですが、再発を繰り返すと認知症や言語障害などの症状を引き起こすリスクが高まります。

心原性脳塞栓症

心臓内に生じた塞栓子により、脳血管が急激に閉塞することで起こります。発症は急激で、進行すると重篤となります。発作は昼夜を問わず起こります。

脳梗塞の内訳

患者の情報(事例)

脳梗塞患者の関連図を書く上での、事例を挙げてみます。​
この情報に従って、脳梗塞の関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 T氏 77歳女性
現病歴 H22年3月11日、心原性脳塞栓症を発症。重度の右片麻痺と軽度の嚥下障害、構音障害が残る。H22年7月20日、T病院からN病院へ転院となる。​
既住歴 20歳代に腰椎ヘルニアで手術。左下肢不全麻痺、60歳から杖歩行となる。H21年、緑内障でキサラタン点眼治療中。70歳、高血圧症。現在は服薬なしで血圧120前後。
生活歴 公務員として定年まで勤める。現在は年金生活。介護保険は要介護4の判定。本人は「家に帰りたい、特養は嫌だ」とのこと。
家族歴 結婚歴はなく、独居。キーパーソンは甥。同居の意思はなく、退院後は特養に入所してもらうことを希望。外泊はできるようになってほしいとのこと。
認知機能 脳血管性認知症あり。短期記憶障害、妄想の症状が見られる。HDS-Rは19/30、痴呆性老人日常生活自立度はⅢa。
栄養状態 9月21日、軽度嚥下障害あり。食事形態は白飯120g、軟菜食1300~1400kcalのうち8割ほど摂取。採血の結果、Alb3.6/dl、Hb12.7g/dl。9月9日の測定時、BMIは17.0のやせ型だった。
運動機能 重度の右片麻痺があり、左下肢は元々軽度の麻痺あり。自力での体位変換、起き上がり、立位保持は不可。座位保持は支えが必要。OTによるリハビリを40分/週1回行っている。本人は「麻痺は一時的で治る」「身体が思うようにならなくてもどかしい」との発言あり。
ADLの状態
摂食 左上肢を使い摂食可能。エプロン装着、テーブルセッティングは介助が必要。
更衣・整容 左上肢を使い、タオルで顔を拭くことは可能。上衣の左袖口に上肢を通すことは可能。ズボン、靴は全介助。
入浴・清潔 全介助。臥位でのミスト浴を週2回行っている。
排泄 尿意・便意は曖昧。トイレ・尿便器の認識は可能。トイレへの移動、衣服の着脱、後始末などは全介助。尿失禁あり、オムツ着用中。排便は3~4日に1回で、酸化マグネシウムを内服している。
皮膚の状態 乾燥性皮膚掻痒感あり、レスタミンとプロペト軟膏使用中。身体はやせ型で、仙骨部に病的骨突出がある。
服薬など 内服はバイアスピリンとワーファリンを内服中。看護師が服薬管理を行っている。

看護問題(看護診断)

脳梗塞患者の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・セルフケア不足
  • ・褥瘡のリスク
  • ・再梗塞のリスク
  • ・便秘
  • ・転倒・転落のリスク
  • ・出血のリスク(抗凝固剤の内服などによる)
  • ・誤嚥のリスク

その患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。
今回の事例での看護診断を挙げていきます。

更衣・整容・入浴・清潔・
排泄セルフケア不足

この事例の場合、リハビリ期に入っているため、一番の問題は運動麻痺によるセルフケア不足になります。リハビリを行い、退院後の生活に向けて援助を行うことが重要になります。

褥瘡のリスク状態​

ADLの低下、オムツ使用、高齢、病的骨突出があることなどから、褥瘡の発生リスクは高くなります。一度発生してしまうと治癒が困難なため、褥瘡のリスクの看護問題は重要になっていきます。

再梗塞のリスク

高齢で認知症もあり、健康障害に対する認識不足もあることから、再梗塞を起こす可能性は高くなります。本人や家族に対する指導を行っていく必要もあるため、再梗塞の看護問題が挙がってきます。

便秘

運動障害から活動量も減少し、便秘が発生しています。排便コントロールの援助は必要になります。

書き方のポイント

脳梗塞患者の関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 どこの部位が障害を受けているか把握する

脳梗塞は、発症した部位によって現れる症状が様々です。目の前の患者さまが、どこの部位に障害を受け、どんな症状があって、どのような後遺症が残っているのかを、しっかり把握しましょう。

例えば、​言語障害も、構音障害なのか失語症なのかによって症状が分かれます。さらに、失語症も障害された部位によって、運動性失語(左前頭葉のブローカ野の障害)と感覚性失語(左側頭葉のウェルニッケ野の障害)に分かれます。患者さまに言語障害がある場合、どのタイプなのかを把握することで、アプローチが変わっていきますね。​


Point2 症状や看護問題で、個別性を出す

どこに障害を受けて、どんな症状が出ているのかを把握したら、それによって生じる問題につなげていきます。症状や問題はその患者さまの性格、社会性、家族状況などによっても影響を受けます。人によって違う、個別性のある関連図を作成することがポイントになります。

例えば、同じような右半身麻痺がある人でも、ADL低下や転倒のリスクを導くまでの過程は異なります。過程に認知機能低下が入ったり、同名半盲(視野が半分欠ける)があったり、「自分で動くのが怖い。」と発言していたり、失行(いつも行っていた動作ができない)があったり…と人それぞれです。目の前の患者さまに合わせた関連図を書いてみましょう。

脳梗塞の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、脳梗塞の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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