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関連図の書き方 統合失調症

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は統合失調症の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修武蔵野中央病院

幅広い年齢層の新卒看護師が活躍しています

統合失調症とは?(病態)

統合失調症は、症状や経過が様々で知覚・思考・感情・認知・行動の変化が現われます。前駆症状として、身体的不調や漠然とした不安感や集中力低下、仕事や学業の不振、人付き合いの減少などが起こる場合もあります。

典型的な症状

陽性症状

幻覚妄想や滅裂思考といった通常にない体験がみられる。(発症早期や再燃時に多い)

陰性症状

感情鈍麻、感情の平板化や思考・会話の乏しさ、意欲低下、引きこもりなどがある。(発症後しばらく経過してから多くみられる)

DSM-5で病型分類では廃止されているが、ICD-10では妄想型・破瓜型・緊張型などに分類され、それぞれ好発年齢や経過が異なる。

治療としては、精神療法・薬物療法・電気けいれん療法(ECT:Electroconvulsive Therapy)、作業療法、認知行動療法(CBT:Cognitive Behavior Therapy)や社会生活技能訓練(SST:Social Skills Training)などを症状や病期で適切に選択していく。陽性症状の強い場合は、これらの治療に行動制限(隔離拘束)を実施する場合もある。

患者の情報(事例)

統合失調症患者の関連図を書く上での、事例を挙げてみます。
この情報に従って、統合失調症の関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 A氏 64歳男性
現病歴 高校3年生頃から「悪口を言われている」感じがしていた。大学入学を機に一人暮らしを始める。「誰かに覗かれている」とすべての窓に目張りをし、恐怖で外出できなくなる。大学から「まったく連絡がつかない」と実家に連絡があり母親が訪ねると憔悴した本人が出てきた。話の辻褄が合わず怒り出し、暴力を受けた母親が逃げ出したところを隣家の住人が警察へ連絡し、措置入院となる。大学中退後は実家に戻り、医療保護入院(3~5年)での入退院を数回繰り返す。
生活歴 親の仕事を手伝っていたが、不安が強くなると怒りっぽくなる。夜眠れない時は不眠時薬を飲み、その場合は昼頃まで寝てしまい昼夜逆転となる。日中に飲んでいた薬は合わない、病気ではないと自己調整(時に怠薬)し、「悪口を言われている」「誰かに覗かれている」と混乱することがあった。
家族歴 50代で父が他界。現在、母は認知症を発症し施設入所しており、本人の世話ができない。姉はいるが、結婚後遠方に住んでおり、関わりたくないと言う。本人は、精神科病院に姉同意の医療保護入院から任意入院に変更して計3年経過している。最近本人は母のことが心配であることや病棟内で親しくしていた患者が退院したことがきっかけで、一人暮らしをしたいと考えている。しかし「どうしたらいいかわからない」と看護師に話すことがあった。
現在の処方 レボトミン(5)3T 分3(朝・昼・夕)
セロクエル(25)2T 分2(朝・夕)
セロクエル(100)1T 分1(寝る前)
エバミール(1)1T 分1(寝る前)

看護問題(ゴードン看護診断)

※統合失調症に適合した看護診断が存在しないためゴードンを使用

病識欠如、服薬自己調整による非効果的自己健康管理

統合失調症は「病感」はあっても「病識」が欠如していることがしばしばみられます。様々な要因で正しい情報入力、正しい解釈(現実検討)、正しい出力(言動)が困難で、まさに統合が失調されています。Aさんは退院したいと希望しているので、退院するにあたり必要となる行動として、特に定期的な受診、内服継続、生活リズムの維持などを検討し、実行可能かどうかのアセスメントが必要となります。疾病に関する教育が可能か、ADLに関して患者の実行可能なこと、到達していないことを観察や情報収集し、多職種で検討することが必要となります。

薬の自己調整や怠薬による思考過程混乱

統合失調症は慢性疾患のひとつであることから、継続した服薬が必須となります。退院を視野に入れるのであれば、内服以外の方法として、定期的な注射薬使用も検討した方がよいでしょう。#1非効果的自己健康管理にも関連しますが、生活をする上で患者が困っていること(例:よく眠れない、イライラするなど)がないか、それを解決するにはどうしたらいいか、病識よりも病感に関連付けて共に考える姿勢が重要となります。

知識不足によるサポートシステム不足

親しくしていた患者が退院したことがきっかけとなり、「退院したい」気持ちになったAさん。現在64歳であることは介護保険を視野に入れていく必要があります。Aさんの母は認知症でAさんの世話ができないこと、遠方にいる姉はAさんにあまり関わりたくないこともあり、Aさんが地域移行支援していくために利用可能な社会資源を探索していく必要があります。PSWと様々な支援について検討が必要です。

書き方のポイント

今回は、実習で出会うであろう慢性期の統合失調症患者の事例です。情報量の少ない中で、看護的視点(病気や症状と生活を結びつける視点)が必要となります。Aさんの病棟生活を起床から就寝まで困ったことはないか情報収集をするだけでなく、行動や思いを観察することが大切です。

疾患に関すること

  • 病気や症状についてどう思っているか
  • 精神療法、薬物療法、作業療法に関する取り組み方はどうか
  • 疾病教育を受けているか
  • 内服に関してどう感じているか
  • 頓服薬使用はしているか
  • どのような症状が出たら頓服薬を使用するか
  • 自身で医療者に症状について相談できるか

「一人暮らしをしたい」という希望に関すること

  • 症状や年齢的観点から一人暮らしは可能かどうか
  • 一人暮らしに必要なスキルはあるか(食事に関する準備から片付け・身辺整理・整容・金銭管理・火気管理・清掃やゴミ出し・近隣との付き合い・緊急連絡のとれる人はいるか)
  • どのような社会福祉資源・医療資源が活用可能か
  • 多職種の活用は可能か
  • 家族の協力は得られるか

本人の得意・不得意とすることは、作業療法や心理検査の結果などでも観察できます。看護師やPSWからの情報も地域移行への関わりのヒントとなることもあります。

統合失調症の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、統合失調症の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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参考文献

  1. 川野雅資(編著)エビデンスに基づく精神科看護ケア関連図 改訂版
    中央法規出版2021.7 p152~159
  2. アセスメント覚え書 ゴードン機能的健康パターンと看護診断 マジョリー・ゴードン 上鶴重美(訳)
    医学書院 2019.11
  3. ゴードン看護診断マニュアル原版第11版 看護アセスメント研究会(訳)江川隆子(翻訳協力)
    医学書院 2020.11
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