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関連図の書き方 糖尿病

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は糖尿病の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修東大和病院

活気あふれる明るい職場!地域に根差した急性期病院です。

糖尿病とは?(病態)

糖尿病とは、インスリンの作用不足による、慢性の高血糖症状を主徴とする代謝疾患群です。発症機序によって分類すると「1型糖尿病」「2型糖尿病」「その他の疾患によるもの」「妊娠糖尿病」の4つに分類されます。
日本人の糖尿病患者のおよそ9割を2型糖尿病が占めています。

糖尿病の原因

2型糖尿病は、遺伝因子に過食、運動不足、肥満、ストレスなどの環境要因に加齡が加わって発症します。

糖尿病の症状

高血糖による症状には、ロ喝、多飲、多尿、頻尿、易疲労感、倦怠感、体重減少、急性合併症による昏睡があります。

糖尿病の合併症

糖尿病特有の合併症が細小血管症で、代表的な疾患に①糖尿病神経障害、②糖尿病網膜症、③糖尿病腎症があり、三大合併症と呼ばれます。

①糖尿病神経障害

三大合併症の中では、最も早く発症します。末梢神経の代謝異常(神経細胞でのソルビトール蓄積)や血流低下と低酸素が原因と考えられています。知覚障害や自律神経障害も神経障書のひとつです。

②糖尿病網膜症

高血糖によって網膜の微小血管が障害されることで起こります。網膜での微小出血や血管閉塞が多発し、最終的には眼底出血から網膜剥離、そして失明に至ることもあります。

③糖尿病腎症

高血糖による糸球体高血圧などによって発症します。アルブミン尿から蛋白尿へ進行し、腎機能悪化から最終的に腎不全に至ります。

④糖尿病足病変

神経障害と末梢循環障害を有する状態の時に、外的要因として靴擦れ・やけど、胼胝(たこ)・鶏眼(うおのめ)・亀裂・爪病変などからの感染、潰瘍、出血、深部の破壊性病変が発生します。最終的には下肢切断に至ることもあります。

⑤糖尿病大血管症

インスリンの作用不足から脂質代謝異常が生じ、中性脂肪やコレステロールが増加します。脳血管障害や冠動脈疾患を発症しやすくなります。

患者の情報(事例)

糖尿病患者の関連図を書く上での、事例を挙げてみます。
実習では2型糖尿病の患者さまを受け持つことが多いため、事例も2型糖尿病の方で挙げていきます。

基本情報 A氏 73歳男性
現病歴 55歳頃から高血糖を指摘され、60歳から血糖降下薬の内服にて血糖コントロールを図る。昨年、妻が癌で逝去され、お酒がやめられなくなり、血糖コントロールが悪化した。外来受診時、ロ喝、頻尿、倦怠感、体重減少の訴えあり。検査にて、HbA1cが8.5%、空腹時血糖400mg/dl、尿糖3+、尿中ケトン体3+となったため、インスリン療法導入目的にて入院となった。
生活歴 65歳にて会社を退職し、現在は無職。
家族歴 妻が昨年逝去され、現在独り暮らし。子供はいない。
父親が糖尿病だった。
認知・知覚 認知機能は正常。両眼に糖尿病網膜症があり、左はほとんど見えていない。右は視力は弱いが見えている。両下肢のしびれ感あり。両足趾の色調は不良で、やや暗赤色。左足第1趾に爪白癬あり。
栄養状態 自宅では自炊はしない。スーパーで買ってきたものを適当に食べる。妻がいた時は、妻が食事の準備をしていた。お酒が好きで、最近は朝からビールを飲んでいる。元々は標準体型の体重68kgだったが、ここ半年で8kgの体重減少があった。
運動機能 ADLは自立。運動は歩いて近くのスーパーで買い物をしている程度。両下肢のしびれ感あり、長時間の歩行は足が痛いとのこと。
睡眠状態 夜中もトイレに5回は行くため眠れない、とのこと。
精神状態 「かみさんが死んで、なにもできなくなった…。やる気も出ないな…。」という発言あり。元々は元気よく、地域の活動にも積極的に参加していたが、ここ最近はひきこもりがちだった様子。「独りだからインスリンも怖い。これからどうしたらいいのか。」と話されていた。
ADLの状態
排泄 トイレを使用。尿回数20回/日。排便回数1回/日。

看護問題(看護診断)

糖尿病患者の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・非効果的健康管埋
  • ・感染のリスク
  • ・血糖不安定リスク状態
  • ・転倒・転落リスク状態

糖尿病には、血糖コントロールを退院後も続けていく必要があり、患者自身や家族が退院後もコントロールを行えるよう指導していくことが重要になります。よって、非効果的健康管理は必ずといっていいほど、挙がってくる問題です。
感染のリスクは、高血糖による易感染状態になっており、足の感染や尿路感染、歯周病などさまざまな感染症を引き起こすリスクがあるため、感染予防と観察は重要になってきます。

血糖不安定リスクは、血糖コントロール入院ではよく挙がってくる問題です。入院後血糖を下げるための治療が開始になるため、低血糖や高血糖が起こってくる可能性があります。特に低血糖の症状には注意が必要なため、必ず挙がってくる問題です 。
転倒・転落のリスクに関しては、糖尿病の場合、足のしびれから歩行が不安定になっていたり、低血糖を起こすと、ふらつきや場合によっては意識消失などの危険性もあるため、転倒・転落には注意が必要です。

では、今回の事例での看護問題を挙げてみます。

血糖不安定リスク状態

血糖コントロール目的の入院ですので、高血糖になったり低血糖になったりの状態になることが予測されます。特に事例の場合は、入院後にインスリン療法を開始する方向のため、低血糖を起こすリスクが高いです。血糖が下がりすぎると、危険な状態になることも考えられるため、優先度が高くなります。

非効果的健康管理

事例の場合、退院後の生活で、血糖コントロールが取れるよう、療養指導が必要な状態です。糖尿病の療養は、入院中よりもむしろ、退院してからの方が重要です。事例の方もかなり問題が山積みのように思われますので、この看護問題は必須です。

感染のリスク

足のしびれ感があり、足の爪白癬もあります。足病変の有無やフットケアの必要もあるため、感染のリスクは挙がってくる問題です。また、足の病変だけでなく、全身の感染予防も注意が必要です。指導を含めたケアは重要なため、感染のリスクは糖尿病患者の看護問題には、必須の項目になってきます。

転倒・転落のリスク

事例の場合、足のしびれ感があることで、歩行が不安定になることが考えられます。また、インスリン療法の導入から、低血糖症状を起こすリスクがあり、発症時はふらつきなどの危険性があります。転倒・転落には注意が必要です。

書き方のポイント

糖尿病の関連図を書く上でのポイントは、2つあります。

まず、合併症をしっかり書くことです。
糖尿病は、合併症の予防が重要であり、関連図の上でも、合併症の項目がかなり多くなってきます。今ある症状だけでなく、その症状が悪化することで、出現が予測される合併症まで、しっかりと書き出すことが大事です。
よって、他の疾患よりも、合併症の部分がかなり幅を取っていますが、糖尿病の関連図では、この合併症を書くことが大事です。

次に、生活習慣に注意することです。
糖尿病は、入院中よりも退院してからの生活が大事です。自宅での生活に向けて、重要な情報を以下に挙げてみます。

  • ・ご本人の性格
    (几帳面、大ざっぱなど)
  • ・治療に対する受け入れ方
    (前向きか、後ろ向きか)
  • ・家族の状況と協力体制
    (家族の人数、年齢、協力の有無)
  • ・住環境と自宅周辺の環境
    (戸建てか集合住宅か、スーパーやコンビニが近いか遠いか、公園などはあるか)
  • ・趣味や嗜好
    (お酒や喫煙の有無、趣味はあるか)
  • ・生きがい
    (家族やペットがいるかなど)

このような情報を、できるだけしっかりと聞き出し、関連図上にも反映させましょう。すると、自然と問題点が浮かび上がってきます。

糖尿病の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、糖尿病の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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