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関連図の書き方 気管支喘息(成人看護)

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は気管支喘息(成人看護)の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

気管支喘息とは?(病態)

気管支喘息とは、空気の通り道である気管支が慢性的に炎症を繰り返すことで狭くなり、呼吸時にヒューヒューやゼーゼーといった異常音が発生する喘鳴や、呼吸困難などの発作が生じる病気です。

気管支喘息の原因

成人では40~50代での発症が多く、発病する要因は遺伝因子と環境因子が関与しています。

遺伝因子

家族に気管支喘息やアレルギー体質の人がいる場合、発病する確率が高くなります。

環境因子

アレルギーの原因物質であるアレルゲンのダニ、ほこり、花粉、カビ、ペットの毛の吸入やウイルス感染症のほか、大気汚染、喫煙、食品添加物、薬物、アルコールなども原因となることがあります。そのほかにも低気圧や刺激臭、過労やストレスなどは症状を悪化させます。

気管支喘息の治療

気管支喘息の治療では、気道の炎症を抑えて、発作が起きないようにコントロールすることが重要です。発作を繰り返すと気道粘膜が肥厚し、狭窄した気道が戻らなくなってしまう可能性があります。

喘息の治療薬は、発作が起きないようコントロールする長期管理薬と、発作が起きた時に緊急的に使用する発作治療薬の2つに分類されます。

長期管理薬

気道過敏性を抑え、喘息発作が生じないように気管支の状態を保つことを目的とした薬剤です。主に気道の炎症を抑える作用のあるステロイド吸入薬が使用されます。状態に応じて、抗ロイコトリエン薬やテオフィリン製剤、長時間作用型β2刺激薬などが組み合わされます。

発作治療薬

実際に喘息発作が起きた時に使用し、症状を改善させる薬です。喘息の発作が起きた場合は、即効性のある短時間作用型β2刺激薬を吸入し、狭窄した気管支を広げて症状を抑えます。強い発作が持続する場合は、テオフィリン製剤やステロイド薬の点滴、アドレナリン皮下注射なども使用されます。

患者の情報(事例)

以下の事例をもとに、気管支喘息患者の看護問題、書き方のポイントを説明していきます。

基本情報 T氏 51歳 男性
現病歴 50歳で初発作。気管支喘息の診断あり。小児喘息の既往はない。今回5回目の発作で、入院は2回目。
既往歴 49歳から毎年、会社の健康診断で空腹時血糖、HbA1c値を指摘されているが、二次検査へ行っていない。
生活歴 土木作業の現場監督をしている。10年前から単身赴任。休みは不定期で夜勤あり。食事はコンビニや外食で済ませることが多く、自炊はしない。ほぼ毎日ビール350ml、2缶を摂取。
以前まで紙タバコを吸っており、喘息発作を機に禁煙を試みるも成功せず。「電子タバコに切り替えたよ。煙が出ないからいいと思って。同僚もみんな吸っているからなかなかやめられない。」と話す。自宅の掃除は「妻が来てやってくれている。普段はしない。」と話す。
家族歴 他県にキーパーソンの妻と高校3年生、中学2年生の子どもがいる。月に1~2回妻が来て、自宅の掃除をしている。
外来での治療 レルベア吸入薬 1日1回 朝吸入。オノン4カプセル分2 朝夕内服。3ヶ月ごとに外来受診の予約をしているが、予約日に来院せず薬が切れてしばらく経ってから受診することが多い。「仕事が忙しくてなかなか受診できない。不規則な生活だから吸入も時々忘れてしまう。」と話す。
入院時の症状 呼気時と吸気時に喘鳴、会話不可、歩行困難。血圧 146/90、HR 121回/分、呼吸回数 30回/分、体温 37.0度、SpO2 90%。検査データ: %PEF 59%、PaO2 60mmHg、PaCO2 45mmHg。
現在の治療 酸素マスク 5L送気、ベネトリン吸入液 0.4ml+生食 2ml 1日4回吸入、デカドロン 3.3mg2A+生食 100ml 1日4回6時間ごと点滴、アミノフィリン 250mg+生食 100ml 1日2回点滴、ソルデム3A 500ml 2袋/日。

看護問題(看護診断)

成人気管支喘息患者の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・喘息発作による呼吸困難感
  • ・多量の発汗や喀痰による脱水のリスク
  • ・喘息発作の再発リスク
  • ・不眠や活動制限によるストレス
  • ・ステロイド薬による副作用出現のリスク

今回の事例での看護診断を挙げていきます。

喘息発作による呼吸困難感

この事例の場合、喘息発作による喘鳴や会話が困難なほどの呼吸困難感が生じており、呼吸状態を改善させ、苦痛を取り除く援助が最も重要です。

脱水のリスク

T氏は大発作を起こしており、食事や水分が十分に摂れていない状態です。多呼吸による発汗や不感蒸泄も多くなっていることが予測され、適切な水分管理が必要となります。

知識不足やコンプライアンス不良による再発のリスク

喘息発作を引き起こしている原因を把握し、再発予防に対する援助が必要です。患者さまが置かれている社会環境に合わせたアプローチが必要です。

具体的には、T氏は仕事が忙しく不規則な生活であり、予約日になかなか受診ができず、長期管理薬が切れてしまう状態を繰り返しています。長期管理薬は喘息発作予防に欠かせない治療であり、本人がどの程度その重要性を理解しているかを把握することが重要です。

また、多忙なT氏にとって、3ヶ月ごとの受診が妥当なのか、T氏本人と主治医を含めて一緒に検討する必要があります。受診間隔を伸ばしたり、薬剤を多めに処方したりすることでT氏の負担を軽減でき、適切に治療を継続できる可能性があります。

患者さま本人の社会生活に合わせ、一緒に対応策を考えていくことが大切です。

ステロイドの全身投与による副作用出現のリスク

ステロイド薬は血糖値を上昇させる作用をもつため、高血糖をきたし、糖尿病を悪化させる可能性があります。糖尿病の既往がある患者さまがステロイド薬を全身投与する際は、血糖値の変動に注意する必要があります。

書き方のポイント

気管支喘息の関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 喘息発作出現の原因を把握する

喘息発作はウイルス感染などによる風邪、運動、アレルゲンの吸引、気温や気圧の変化、タバコや大気汚染など、さまざまな刺激が誘因となります。原因を把握することが発作の予防につながります。
本人や家族の生活習慣、社会生活を含めた周囲の環境状況を把握し原因を特定することが大切です。

例えば、成人期は仕事や家庭での社会的役割を担っている時期であるため、自分自身でコントロールできない状況が多くあります。仕事が休めず通院できない、ストレスが多い職場環境などといった情報も重要であり、個別性に合わせたアプローチが必要となります。

T氏の場合、単身赴任中であり、仕事が多忙で不規則な生活のため、自身で家事を行えていません。喘息発作の予防として、ダニ、カビ、ほこりなどのアレルゲンを避けるために自宅内を清潔に保つことはとても重要です。
本人や妻の理解度に合わせ、無理なく取り入れられる具体的な掃除方法の指導が有効かもしれません。毎日のこまめな掃除が難しくても、換気をする、カーペットや布製ソファを使用しないなども喘息発作予防に効果的であり、T氏の自宅環境がどういったものか把握することが大切です。

また、T氏の仕事柄、外での作業が多いと考えられます。喘息発作は気温や湿度の影響も受けます。黄砂や花粉なども症状を悪化させるため、仕事中のマスクの着用やこまめなうがいの指導なども有効と考えられます。


Point2 疾患の理解度や、薬剤が正しく使用できているかを把握する

喘息発作を予防するためには生活習慣を整え、自宅で長期管理薬を正しく使用することが重要となります。
例えば、近年広く普及している電子タバコは、吸っても煙が出ないので無害であると思っている患者さまがみられます。しかし、電子タバコには、気道の刺激や炎症を誘発する化学物質が多く含まれており、紙タバコと同様に喘息発作を誘発するため、禁煙が重要です。

長期管理薬であるステロイド吸入薬は喘息治療には欠かせないものですが、即効性があるものではなく、ゆっくりじわじわと効果を発揮するものです。そのため、患者さま自身は効果を感じにくく、症状が良くなったからもういいだろうと自己中断する人も少なくなりません。

発作を予防するためには長期間、毎日継続して使用しなければいけません。患者さま本人が発作の予防方法や薬剤の正しい知識を持ち、しっかりと治療が継続できるよう支援しましょう。

気管支喘息(成人看護)の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、気管支喘息の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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