看護学生・新卒看護師のための就活・奨学金情報サイト
看護計画や関連図、行動計画、実習レポートをダウンロードできる!

関連図の書き方 急性胆嚢炎

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は急性胆嚢炎の関連図です。関連図の書き方のほか、急性胆嚢炎の関連図もダウンロードできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

急性胆嚢炎とは?(病態)

急性胆嚢炎とは、胆嚢に炎症が生じる疾患で、主な原因は胆石です。胆石とは、胆汁中の成分(コレステロール・ビリルビン・カルシウムなど)が結晶化してできた固形物で、肥満・高脂肪食・加齢・女性ホルモン・妊娠・急激な体重減少・糖尿病などが形成のリスク因子です。特に中高年の女性に多くみられます。​

胆石が胆嚢管に詰まると、胆汁の流れが滞り、胆嚢内に胆汁がうっ滞します。この胆汁うっ滞が細菌感染の温床となり、胆嚢粘膜に炎症を起こして急性胆嚢炎が発症します。

きっかけとしては、脂っこい食事、長期間の絶食や安静、脱水、手術後の胆嚢運動低下などが挙げられます。症状は右上腹部痛・発熱・悪心・嘔吐などで、Murphy徴候(右季肋部を圧迫しながら吸気を促すと痛みで吸気が止まる)が陽性になります。血液検査では白血球増加やCRP上昇がみられます。

治療は絶食・補液・抗菌薬投与が基本ですが、症状が改善しない場合や重症例では腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われます。高齢者や基礎疾患のある患者では重症化しやすいため、早期の診断と全身状態の評価が重要です。

患者の情報(事例)

以下の事例をもとに、急性胆嚢炎患者の看護問題、書き方のポイントを説明していきます。

基本情報 A氏 70歳女性
家族構成 独居
既往歴 2型糖尿病と高血圧あり。
現病歴 BMIは29で肥満傾向。3日前から右上腹部の鈍痛と食欲不振がみられ、市販薬を服用するも改善せず、発熱と嘔吐が加わり受診。血液検査で白血球増加・CRP高値を認め、腹部エコーにて胆石と胆嚢壁の肥厚、胆嚢内胆汁のうっ滞像あり、急性胆嚢炎と診断され入院。​
治療経過 入院後は絶食管理、補液、抗菌薬投与を開始。腹部の膨満感と圧痛が続き、発熱による全身倦怠感も強く、ベッド上での安静を余儀なくされている。糖尿病のため感染悪化のリスクも高く、血糖コントロールを含めた全身管理が必要な状況である。​​
精神面 本人は治療に対して理解を示しているが、「一人暮らしだから退院後の食事や通院が心配」と話しており、社会的支援の必要性も示唆される。​​

看護問題(看護診断)

急性胆嚢炎の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・疼痛および嘔気、発熱による苦痛​
  • ・糖尿病による感染増悪と全身状態悪化のリスク​
  • ・急性胆嚢炎の再発リスク​​
  • ・退院後の生活・社会的支援の不安​​

今回の事例での看護診断を挙げていきます。

疼痛および嘔気、発熱による苦痛

右上腹部の鈍痛に加え、嘔気・嘔吐や発熱による全身倦怠感が強く、患者は身体的苦痛を強く感じています。これらの症状に対して適切なケアを行い、不快感を軽減し、できる限り安楽な状態で過ごせるよう支援していく必要があります。​​

糖尿病による感染増悪と全身状態悪化のリスク

糖尿病により免疫力が低下しているため、感染が悪化しやすい状態にあります。その結果、胆嚢炎の炎症が進行し、胆嚢の壊死や穿孔を引き起こすリスクが高まります。腹膜炎や敗血症などの重篤な合併症を招く可能性があるため、血糖管理を含めた全身管理が重要です。​

急性胆嚢炎の再発リスク​​

胆石を有する患者さまでは、胆嚢炎が一度治っても再発する可能性が高いです。特に肥満や糖尿病、高脂肪食の習慣がある場合は、胆汁のうっ滞や胆石形成が続き、再発リスクが高まります。退院後は生活習慣の見直しや定期的な検査が重要となります。​

退院後の生活・社会的支援の不安​​

独居のため、退院後の食事や通院に不安を感じており、社会資源の活用や支援体制の調整が必要です。また、不安を軽減するための心理的ケアも重要となります。​

書き方のポイント

急性胆嚢炎の関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 発症のリスク要因や背景疾患を整理する

急性胆嚢炎は胆石が主な原因ですが、その背景には加齢、女性、肥満、高脂肪食、糖尿病、妊娠、既往歴(胆石症や肝疾患)などのリスク因子が関与しています。患者個人の生活習慣や病歴、身体状況を把握し、関連図の「原因・誘因」として整理しましょう。


Point2 病態の進行過程と症状を明確に描写する​

胆嚢管閉塞 → 胆汁うっ滞 → 細菌感染 → 炎症 → 壁肥厚・浮腫・壊死 といった一連の流れを理解し、各段階で現れる症状(右上腹部痛、嘔気、発熱、白血球増加など)と対応させながら図に落とし込みます。​


Point3 合併症や重症化リスクを視野に入れる​

壊疽性胆嚢炎や胆嚢穿孔、腹膜炎、敗血症といった重篤な合併症が起こるリスクを明示し、全身状態の悪化につながる要因として記載します。特に糖尿病を持つ患者では進行が早いため、注意が必要です。


Point4 心理的・社会的側面も整理する

独居や高齢、通院困難、退院後の生活不安など、社会的要因や心理状態も看護に影響します。患者の発言や態度から心理的ニーズを拾い、支援体制(訪問看護、ケアマネージャー連携など)も含めて整理します。


Point5 再発予防や生活指導の視点を加える​

胆石を有する限り再発のリスクがあり、退院後は生活習慣の見直し(食事、体重管理)や定期的な受診が必要です。セルフケア継続の視点も関連図に含め、看護の方向性を明確にしていきましょう。

急性胆嚢炎の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、急性胆嚢炎の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

友だちにこのページをシェアしよう!

急性胆嚢炎の関連図はこちらから

実習時に使える!看護計画・関連図など無料ダウンロード
看護実習に強くなるポイント!
実習TOPにもどる

おすすめの関連コンテンツ

看護実習に強くなるポイント