急性胆嚢炎とは、胆嚢に炎症が生じる疾患で、主な原因は胆石です。胆石とは、胆汁中の成分(コレステロール・ビリルビン・カルシウムなど)が結晶化してできた固形物で、肥満・高脂肪食・加齢・女性ホルモン・妊娠・急激な体重減少・糖尿病などが形成のリスク因子です。特に中高年の女性に多くみられます。

胆石が胆嚢管に詰まると、胆汁の流れが滞り、胆嚢内に胆汁がうっ滞します。この胆汁うっ滞が細菌感染の温床となり、胆嚢粘膜に炎症を起こして急性胆嚢炎が発症します。

きっかけとしては、脂っこい食事、長期間の絶食や安静、脱水、手術後の胆嚢運動低下などが挙げられます。症状は右上腹部痛・発熱・悪心・嘔吐などで、Murphy徴候(右季肋部を圧迫しながら吸気を促すと痛みで吸気が止まる)が陽性になります。血液検査では白血球増加やCRP上昇がみられます。

治療は絶食・補液・抗菌薬投与が基本ですが、症状が改善しない場合や重症例では腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われます。高齢者や基礎疾患のある患者では重症化しやすいため、早期の診断と全身状態の評価が重要です。