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関連図の書き方 骨粗鬆症

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は骨粗鬆症の関連図です。関連図の書き方のほか、骨粗鬆症の関連図もダウンロードできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

骨粗鬆症とは?(病態)

骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減少し、骨の微細構造が劣化することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患です。特に閉経後の女性や高齢者に多くみられます。
骨は常に「骨吸収(古い骨を壊す働き)」と「骨形成(新しい骨を作る働き)」を繰り返していますが、骨粗鬆症では骨吸収が骨形成を上回ることで骨量が低下します。

リスク因子には、以下が挙げられます。

  • 加齢
  • 閉経後の女性ホルモン低下
  • 運動不足
  • 栄養不良(カルシウムやビタミンD不足)
  • 喫煙・過度の飲酒
  • ステロイド薬の長期使用
  • 低体重や遺伝的要因

骨粗鬆症の進行は自覚症状に乏しいため、「いつの間にか骨折(椎体骨折)」で発見されることが多いのが特徴です。背中や腰の痛み、身長の低下、円背(背中が丸くなる)なども症状としてみられます。

骨粗鬆症の診断には、一般的に骨密度検査(DXA法)が用いられ、測定した骨密度を若年成人平均値(YAM)と比較して評価し、その値がYAMの70%未満であれば骨粗鬆症と診断されます。

治療には、破骨細胞による骨吸収を抑制するビスホスホネート製剤やSERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)、強力に骨吸収を抑制するデノスマブ(抗RANKL抗体)、骨芽細胞の働きを高めて骨形成を促進するPTH製剤などが用いられます。また、薬物療法に加えて、バランスの良い食事や適度な運動、禁煙・禁酒といった生活習慣の改善も重要です。
さらに、転倒は骨折に直結するため、転倒予防が看護の大切な視点となります。

患者の情報(事例)

以下の事例をもとに、骨粗鬆症患者の看護問題、書き方のポイントを説明していきます。

基本情報 B氏 75歳女性
家族構成 独居
既往歴 高血圧、変形性膝関節症。
現病歴 閉経は50歳。数年前から「腰が曲がってきた」と感じていたが受診していなかった。最近、掃除中に尻もちをつき腰痛が出現。整形外科を受診し、腰椎圧迫骨折および骨粗鬆症と診断された。骨密度は若年成人平均(YAM)の65%で低下あり。もともと食生活は1日2食と偏りがあり、乳製品はほとんど摂取していない。運動習慣もなく、膝の痛みから歩行が不安定で外出が減っている。入院後は疼痛コントロールと安静が指示され、今後はコルセットを作成したうえでのリハビリ、薬物療法と生活習慣改善が必要とされている。
精神面 本人は「一人暮らしだから転んだら怖い」「薬はずっと必要なの?」と話しており、身体的な問題に加えて心理的・社会的支援、そして疾病・治療に関する教育的支援が重要です。

看護問題(看護診断)

骨粗鬆症患者の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・腰椎圧迫骨折による疼痛とセルフケア困難
  • ・転倒・転落による骨折リスクの増大
  • ・骨折や身体変に対する不安および自己肯定感の低下
  • ・退院後の生活習慣改善と教育的支援の必要性

今回の事例での、看護診断を挙げていきます。

腰椎圧迫骨折による疼痛とセルフケア困難

B氏は腰椎圧迫骨折により骨折部位の疼痛が強く、起き上がりや歩行、衣服の着脱、排泄などの日常生活動作が困難な状態です。急性期には安静が必要なため、患者は自力での動作が制限され、身の回りの介助が必要となります。疼痛緩和や安楽な体位保持を支援し、必要に応じて日常生活動作の介助や環境調整を行うことで、患者が安全かつ安楽に過ごせるよう支援します。また、コルセットの完成後は装着をしながら、リハビリによって無理のない範囲での離床練習・筋力維持運動を導入し、日常生活への早期復帰をサポートしていくことが重要です。

転倒・転落リスクによる骨折リスクの増大

B氏は骨粗鬆症を背景に腰椎圧迫骨折を発症しており、骨密度の低下により骨折のリスクが高い状態です。疼痛や安静による活動制限で筋力低下やバランス能力の低下が生じると、転倒・転落の危険性がさらに増大します。看護では、環境整備や歩行・移動時の介助を行い、安全確保を図ることが重要です。

骨折や身体変化に対する不安および自己効力感の低下

B氏は一人暮らしであり、腰椎圧迫骨折や骨粗鬆症による身体の変化から「転んだらどうしよう」と強い不安を抱えています。疼痛や安静により自力での行動が制限されることで、自己効力感も低下しやすい状態です。情報提供や心理的支援、可能な範囲での自立支援を行い、不安の軽減と自己効力感の維持を図ることが重要です。

退院後の生活習慣改善と教育的支援の必要性

B氏はもともと1日2食で食事が偏っており、乳製品の摂取はほとんどありません。また、運動習慣がなく、膝の痛みから外出を控えている状態です。骨粗鬆症治療においては長期的な薬物療法と生活習慣改善(食事・運動)が重要ですが「薬はずっと必要なの?」と不安を抱えており、服薬に関する教育的支援やアドヒアランス向上の工夫、栄養・運動指導、地域資源との連携による生活支援が必要です。

書き方のポイント

骨粗鬆症の関連図の書き方のポイントを説明します。

発症のリスク要因や背景疾患を整理する

骨粗鬆症は加齢、閉経後の女性ホルモン低下、運動不足、低栄養、喫煙・飲酒、ステロイド薬の使用など多くのリスク因子が関与しています。患者の生活習慣や既往歴を把握し、関連図の「原因・誘因」として整理しましょう。


骨量減少から骨折に至る病態を描写する

骨吸収の亢進 → 骨量減少 → 骨脆弱性 → 軽微な外力で骨折 という流れを理解し、各段階で現れる症状(腰痛、円背、身長低下、骨折)を関連図に落とし込むことが大切です。


心理的・社会的側面も整理する

「転んだら怖い」「薬はずっと必要なの?」といった心理的要素や、独居による生活支援の不足は看護に大きく影響します。退院後の生活を見据え、地域包括支援センターや訪問看護などの社会資源との連携も含めて整理します。


再発予防やセルフケア支援の視点を加える

骨粗鬆症は慢性的に進行する疾患であり、再発予防・進行予防のためには食事・運動・服薬継続が不可欠です。患者がセルフケアを実践し継続できるよう、教育・指導の視点を関連図に含めましょう。

骨粗鬆症の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、骨粗鬆症の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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骨粗鬆症の関連図はこちらから

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