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関連図の書き方 脳腫瘍

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は脳腫瘍の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

脳腫瘍とは?(病態)

脳腫瘍とは、脳やその周囲の組織(神経、髄膜、下垂体、脳室など)に発生する腫瘍の総称です。腫瘍には、良性悪性があり、腫瘍の性質や発生部位によって、症状や治療法は大きく異なります。

腫瘍が増大すると、頭蓋内圧亢進による頭痛、嘔吐・意識障害が現れます。また、腫瘍が占拠する部位に応じて、けいれん発作、運動麻痺、視覚・聴覚障害、認知・記憶障害、感情の不安定さなど、さまざまな局所症状が出現します。たとえば、前頭葉に腫瘍があると、意欲低下や注意力障害、性格変化が見られ、頭頂葉では空間認識障害、小脳ではふらつきや運動失調が見られれます。

腫瘍の種類によって、治療方針も大きく異なります。悪性腫瘍である膠芽腫は増殖が早く、周囲の正常組織へ浸潤しやすいため、手術だけでの治療は難しく、放射線治療や化学療法との併用が必要になります。良性腫瘍でも、重要な脳機能の近くに位置する場合は、摘出により後遺症が残る可能性があるため、術前から他職種連携による計画的な支援が重要です。

術後は脳浮腫や出血、感染などの合併症が起こる可能性があるため、慎重な観察と早期対応が求められます。術後早期よりリハビリテーションを導入することで、運動機能や高次脳機能改善、ADLの再獲得を目指します。

脳腫瘍の分類

原発性脳腫瘍

脳組織、髄膜、神経、下垂体などから発生します。

良性腫瘍
髄膜腫、下垂体腺腫、神経鞘腫など
悪性腫瘍
神経膠腫(グリオーマ)、膠芽腫(最も悪性度が高い)

転移性脳腫瘍

他臓器のがん(肺がん、乳がん、大腸がんなど)が血流を通じて脳に転移するものです。通常は多発性であり、再発リスクが高いとされています。

脳腫瘍の主な症状

  • 頭痛・嘔吐・意識障害・視力障害(頭蓋内圧亢進による)
  • けいれん発作、片麻痺、言語・構音障害
  • 認知機能障害(記憶力低下・注意障害)

脳腫瘍の主な治療

  • 手術療法(腫瘍摘出術)
  • 放射線治療(定位放射線治療、全脳照射など)
  • 化学療法
  • 必要に応じて対処療法(抗けいれん薬、脳浮腫予防のステロイド・グリセオール投与など)

患者の情報(事例)

脳腫瘍患者の関連図を書く上での、事例を挙げてみます。
この情報に従って、脳腫瘍の関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 K氏 46歳 男性
会社員(IT系企業での法人営業部)
現病歴 数ヶ月前より頭痛と視野狭窄を自覚。ふらつきや記憶力の低下も出現し、受診となった。MRIにて脳腫瘍(前頭葉グリオーマ)が判明し、開頭摘出手術を受けた。
治療歴 手術翌日より高次脳機能障害の症状(注意力低下、感情の起伏)、軽度の右上下肢麻痺あり。術後3日目に脳室ドレーンが抜去され、脳浮腫予防のためグリセオールが点滴投与されている。
現在は術後4日目。血圧140mmHg以下コントロールの指示であったが経過は安定しており、術後3日目より二カルジピンの持続静脈注射からアムロジピン錠の内服へ切り替わった。
また、抗てんかん薬のバルプロ酸ナトリウム錠内服中、リハビリテーションも開始となる。今後は放射線治療の予定あり。治療やリハビリテーションに対する意欲はあるが、疲労を訴える場面が多い。
家族歴 妻と2人暮らし。妻は不安が強く、面会時に涙を見せることもある。本人も「職場に戻れるのか不安」と発言あり。
ADLの状態
食事 右上肢の巧緻運動に軽度の障害が見られるが、時間をかければ自力での摂取は可能。
排泄 トイレまでの移動に見守りと軽介助が必要。尿意は自覚できるが、便意の感覚が鈍く失禁エピソードあり。
整容 洗顔・髭剃り・歯磨きは指示があれば可能だが、手順を忘れることがある。
移動 病棟内は車椅子で移動。ベッドからの起き上がり・立ち上がりに介助を要する。
更衣 上衣は一部介助にて可能。下衣は困難で、全面介助を要する。

看護問題(看護診断)

脳腫瘍患者の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。その患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。
今回の事例での看護診断を挙げていきます。

術後の脳浮腫・出血・感染症による意識レベルの低下や全身状態の悪化リスク

開頭術後は脳浮腫や出血、感染症(髄膜炎・創部感染など)のリスクが高く、頭蓋内圧亢進によって意識レベルが低下する可能性があります。早期発見のためにバイタルサインや神経学的所見の継続的な観察が重要です。

高次脳機能障害および運動機能障害によるセルフケアの困難と転倒転落リスク

脳腫瘍の部位や術後の後遺症により、片麻痺や感覚障害、協調運動障害、平衡感覚の低下が生じ、移動・更衣・排泄・食事などのセルフケアが困難となる場合があります。これにより転倒・転落のリスクも高まります。個別性のある環境調整や見守り、リハビリとの連携が重要です。

社会復帰に対する不安

脳腫瘍という重篤な病気と治療により、今後の就労や家庭内での役割への復帰に不安を感じやすくなります。身体機能や高次脳機能の障害が社会生活に与える影響を考慮し、心理的サポートと社会資源の紹介が求められます。

書き方のポイント

脳腫瘍の関連図の書き方のポイントを説明します。

脳腫瘍の部位により出現する症状を把握する

腫瘍の部位によって症状は多岐に渡ります。前頭葉では人格変化や感情コントロール障害、後頭葉では視覚障害、小脳では運動失調などの症状が出現します。解剖生理と症状をリンクさせる視点が重要です。


頭蓋内圧亢進症状を中心に、構造化する

脳腫瘍の代表的症状である頭痛・嘔気・意識障害は、頭蓋内圧亢進が原因です。その原因→症状→影響という流れで整理すると理解しやすくなります。


術後合併症やリハビリへの影響を想定する

手術による侵襲、感染リスク、高次脳機能障害や麻痺の影響は看護問題として優先度が高くなります。術後の経過を時系列で捉え、経時的に変化する看護問題も視野に入れましょう。


心理的支援や社会的側面を取り入れる

脳腫瘍は突然の診断で患者・家族ともにショックが大きく、再就職や家庭内の役割変化など、生活面の影響も重大です。心理的ケアと社会資源の活用提案なども関連図に反映させましょう。

脳腫瘍の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、脳腫瘍の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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