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関連図の書き方 くも膜下出血

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回はくも膜下出血の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修池上総合病院

急性期~療養まで幅広いニーズに応える総合病院

くも膜下出血とは?(病態)

脳の解剖・生理

頭部の断面を見ると、外側から頭皮、頭蓋骨、髄膜があり、その内側に脳があります。脳を保護している髄膜は3層に分かれており、外側から硬膜、くも膜、軟膜があり、軟膜に脳の表面がくっついています。硬膜とくも膜の間を硬膜下腔といい、くも膜と軟膜の間をくも膜下腔といいます。くも膜下腔は脳脊髄液で満たされ、脳はその髄液のなかに浮かぶように存在し、衝撃や振動などの外部環境から守られています。

脳の解剖図

病態

くも膜下出血は、くも膜下腔で出血が起きた状態をいいます。くも膜下出血の原因の7~8割は脳動脈瘤の破裂です。その他にも、脳腫瘍、頭部外傷、脳動静脈奇形、もやもや病などの原因があります。脳動脈瘤は、血管の分岐部にできることが多く、自然に消失することはありません。好発部位は、前交通動脈、中大脳動脈分岐部、内頚動脈―後交通動脈分岐部、脳底動脈先端部です。

症状

通常、脳動脈瘤があるだけでは無症状ですが、動脈瘤は突然破裂して出血を起こすことがあります。いったん破裂するとくも膜下に出血し、さらに再破裂をきたすと救命できなくなることが多いため、出血源の脳動脈瘤を迅速に特定し治療します。
くも膜下出血の症状は、これまでに体験したことのないような激しい頭痛が突然起こります。嘔気・嘔吐、髄膜刺激症状(項部硬直)も挙げられます。さらに、出血により生じる脳の局所症状として、麻痺や言語障害、意識障害が現れる場合があります。出血量が多く脳圧が高くなった場合には、昏睡状態に陥ります。

患者の情報(事例)

くも膜下出血患者の関連図を書く上での事例を挙げてみます。​
この情報に従って、くも膜下出血の関連図の書き方を説明します。

基本情報 S氏 48歳男性
現病歴 自宅で家族と朝食を食べている際、突然激しい頭痛が生じ、家族が救急車を呼んだ。さらに嘔気・嘔吐が出現し、自宅から車で30分以上かかる救急センターのある病院へ搬送された。
JCSⅡ‐10、血圧188/100mmHg、脈拍100/分、体温36.9℃、SpO2 97%、頭部CT検査でくも膜下出血と診断された。脳血管造影で、前交通動脈の破裂であることがわかったが、その他にも未破裂動脈瘤が指摘された。Hunt and kosnik分類はGradeⅡ。同日コイル塞栓術を行い、SCUに緊急入院となった。
既往歴 特記事項はなし。
生活歴 職業はシステムエンジニア。大きなプロジェクトのリーダーを任され、数ヶ月前から仕事が多忙となり、帰宅できず会社に泊まることが多くなっていた。喫煙歴はない。飲酒歴は週1~2回程度出かけていたが、最近は仕事が忙しくなっているため出かけることもなくなっていた。
家族歴 44歳の妻、10歳・7歳の子どもと4人暮らし。キーパーソンは妻である。
しばらくSCUで経過観察するため、家族面会はできれば控えてほしいという説明を受け、妻は着替えや身の回りのものを届けるために2~3日ごとに病院に通っているが、S氏に会うことなく看護師にことづけて帰っている。
日常生活 点滴チューブやドレーン、尿留置カテーテルが挿入中。自分で体を動かすことができない。血圧を上げないために安静保持。

看護問題(看護診断)

くも膜下出血の血管内術後の看護診断は、代表的なものとしては以下が挙げられます。

  • ・再出血のリスク
  • ・脳血管攣縮に伴う状態悪化
  • ・セルフケア不足
  • ・疾患・今後の生活に対する不安

その患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。
今回の事例での、看護問題を挙げていきます。

再出血のリスク

脳動脈瘤の破裂により発症したくも膜下出血のS氏は、救急搬送後にコイル塞栓術を行っています。コイル塞栓術を行った場合でも、瘤全体の2~3割程度の塞栓となるため、脳動脈瘤が血栓化するまでの再出血には注意が必要です。くも膜下出血は再発する可能性が高く、再発するとさらに脳の障害が重くなり予後が悪くなります。

脳血管攣縮に伴う状態悪化

破裂した動脈瘤の処置が終わったとしても、脳血管が細くなり血流が減るために起こる脳血管攣縮(スパズム)は、くも膜下出血発症後4~14日目に最も多く起こります。早期発見と対応が重要です。その際、脳血管攣縮の症状には傾眠や動作の緩慢の場合もあるため、せん妄や水頭症などとの鑑別も必要です。

セルフケア不足

安静を強いられるための行動制限や、意識障害や苦痛症状に伴いセルフケアに支障をきたします。

疾患・今後の生活に対する不安

急に病状変化が起きている患者・家族は、ともに不安感が高く緊張した状態であるといえます。

書き方のポイント

くも膜下出血の関連図の書き方のポイントを説明します。

くも膜下出血は、出血後の時間の流れによって(搬送直後で手術前の段階か、手術後の段階かによって)起こりやすい症状やリスクが異なってきます。どの段階で考えた関連図かを明確にし、記載していくようにします。

手術前は、脳動脈瘤の再破裂を防止するために、血圧管理することが重要です。その際、血圧を上げないようにする必要がありますが、低くなりすぎても虚血となり脳梗塞のリスクが高まるので、全体のバランスを見ていくことが重要となります。病態の関連性が多く矢印が交差しやすいため、できるだけ見やすく書くよう工夫します。例えば、「原疾患からの変化、治療後の起こりやすい合併症」の部分を大きくわかりやすく記載し、その後に家族背景や生活習慣、入院による変化などを加えていきます。

くも膜下出血の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、くも膜下出血の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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