胃がんとは、胃粘腹から発生する悪性腫瘍で、組織型はほとんどが腺がんです。集団検診などによる早期発見により、死亡率は近年減少傾向にありますが、がん死亡のなかでは2番目の多さです。胃がんの発生率は男性が多く、男女比は2:1で、発生年齢は50~60歳代がピークです。

原因
原因については明らかではないですが、塩分の過剰摂取、ヘリコバクター・ピロリ菌、遺伝的要素、喫煙、加齢などの関連が示唆されています。
症状
初期は無症状のことが多いですが、初発症状としては、腹部不快感、腹部膨満感、心窩部痛、胸やけ、悪心、食欲不振、食事と無関係な鈍痛などがあります。潰瘍が胃壁に浸潤すると出血が起こり、出血が持続すると、貧血が起こります。噴門側のがんでは、通過障害により嚥下困難が起こり、つかえ感や胸やけが起こります。幽門側のがんでは、幽門が狭窄することにより、嘔吐が頻発するようになります。
転移
①血行性転移
血行性転移では、胃静脈から門脈を経由するため、肝転移が最も多いです。
②リンパ行性転移
がん細胞が胃壁内のリンパ管に浸潤し、全身のリンパ節に転移します。
左鎖骨上窩リンパ節への転移を、ウィルヒョウ転移といいます。
③腹膜播種
がん細胞が腹膜にこぼれ落ちて散らばった状態です。腹膜播種が広範囲に起こるとがん性腹膜炎が起こり、腹水貯留やイレウスが起こることがあります。
ダグラス窩にがん細胞が定着した状態を、シュニッツラー転移といいます。
また卵巣にがんが転移したものを、クルッケンベルグ腫瘍と呼びます。