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関連図の書き方 胃がん

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は胃がんの関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修東大和病院

活気あふれる明るい職場!地域に根差した急性期病院です。

胃がんとは?(病態)

胃がんとは、胃粘腹から発生する悪性腫瘍で、組織型はほとんどが腺がんです。集団検診などによる早期発見により、死亡率は近年減少傾向にありますが、がん死亡のなかでは2番目の多さです。胃がんの発生率は男性が多く、男女比は2:1で、発生年齢は50~60歳代がピークです。

原因

原因については明らかではないですが、塩分の過剰摂取、ヘリコバクター・ピロリ菌、遺伝的要素、喫煙、加齢などの関連が示唆されています。

症状

初期は無症状のことが多いですが、初発症状としては、腹部不快感、腹部膨満感、心窩部痛、胸やけ、悪心、食欲不振、食事と無関係な鈍痛などがあります。潰瘍が胃壁に浸潤すると出血が起こり、出血が持続すると、貧血が起こります。噴門側のがんでは、通過障害により嚥下困難が起こり、つかえ感や胸やけが起こります。幽門側のがんでは、幽門が狭窄することにより、嘔吐が頻発するようになります。

転移

①血行性転移

血行性転移では、胃静脈から門脈を経由するため、肝転移が最も多いです。

②リンパ行性転移

がん細胞が胃壁内のリンパ管に浸潤し、全身のリンパ節に転移します。
左鎖骨上窩リンパ節への転移を、ウィルヒョウ転移といいます。

③腹膜播種

がん細胞が腹膜にこぼれ落ちて散らばった状態です。腹膜播種が広範囲に起こるとがん性腹膜炎が起こり、腹水貯留やイレウスが起こることがあります。
ダグラス窩にがん細胞が定着した状態を、シュニッツラー転移といいます。
また卵巣にがんが転移したものを、クルッケンベルグ腫瘍と呼びます。

患者の情報(事例)

胃がん患者の関連図を書く上での、事例を挙げてみます。
実習では、胃がんの手術前後の患者さまを受け持つことが多いため、今回は胃がん手術後の患者さまを事例に挙げます。
この情報に従って、胃がんの関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 A氏 58歳男性
現病歴 2ヶ月前より、腹部膨満感、心窩部痛、タール便の症状があり受診。内視鏡検査、腹部CT検査、血液検査などを行った結果、胃前庭部小弯に進行胃がん(ボールマン3型の潰瘍浸潤型)の診断だった。左鎖骨上窩リンパ節に転移あり。入院後、幽門側亜全摘術(ビルロートI法)とリンパ節郭清を行い、現在術後5日目である。
生活歴 会社員。現在課長職。
家族歴 4人暮らし。55歳で専業主婦の妻と2人の子供がいる。長女が28歳で会社員、長男は20歳の大学生である。家族仲は良く、「まだ死ぬわけにはいかない。子供の学費があるしな。」と、話していた。
栄養状態 元々食べることは好き。好きな食べ物はラーメン。ややふっくらした体型だったが、ここ半年は食欲が落ち、8kgほど体重が減少した。採血の結果は、貧血があり、Hb値が5.2。外来で輸血を行っている。手術当日から絶食となり、術後3日目から流動食が開始となった。摂取量は5割程度。腹痛などの症状は出ていない。術後5日目より5分粥食が開始となったが、「食べるのが怖いな。」との訴えが聞かれている。
呼吸状態 喫煙歴35年で、一日10本程度は吸っている。手術が決まってからは禁煙し、呼吸訓練を続けていた。手術後は、痰の絡む感じがあるが、うまく喀痰できず、湿性咳嗽がある。SpO2は98~99%。呼吸苦やチアノーゼなどはみられていない。
運動機能 ADLは自立しており、運動機能障害はみられない。
術後は24時間点滴を行っており、腰をかがめて点滴台を押しながらトイレに行っている姿が見かけられたが、トイレ以外の歩行はあまり行っていない様子。「動くと、傷が痛むんだよ。」との訴えが聞かれている。
睡眠状態 術前より「なかなか眠れない」との訴えがあり、眠前に睡眠導入薬の内服が開始となっている。「傷は痛いし、これからのことが心配になって…」との訴えが聞かれている。
排泄状態 手術中より、尿道留置カテーテルが挿入。術後問題なく経過したため、術後1日目に抜去。やや違和感の訴えはあるが、排尿状況は問題ない。手術当日より、排便はみられていない。現在5日目で、やや下腹部の張りを訴えている。
清潔 手術前日にシャワー浴を実施。術後2日目まではべッド上で清拭を行い、術後3日目からはシャワー浴を自力で行っているが、看護師が数回見守りで声をかけている。

看護問題(看護診断)

胃がん患者の看護問題は、一般的に以下のようなものが挙げられます。
治療段階や病期によって、内容は大きく変わってくるので注意が必要です。

  • ・急性疼痛
  • ・感染のリスク
  • ・消化管運動機能障害のリスク
  • ・呼吸器合併症発症のリスク
  • ・低栄養のリスク
  • ・不安
  • ・非効果的健康管理
  • ・転倒のリスク

今回の事例での、看護問題を挙げていきます。

急性疼痛

事例の場合、術後の創部の痛みがあることで、動けない、眠れない、咳もうまくできない状態になっています。術後は痛みのコントロールを図りながら、早期離床を促すことが、合併症の発症を防ぎますので、疼痛の緩和を優先しましよう。

感染のリスク

事例の場合、手術前から食欲不振による体重減少がみられており、貧血もみられます。低栄養状態や貧血があると、術後の感染のリスクが高まります。回復遅延につながるため、感染の問題は優先度が高くなります。

呼吸器合併症のリスク

全身麻酔の気管内挿管の刺激により、術後は気道内分泌物の量が増加し、無気肺や肺炎を発症するリスクが高まります。事例の場合、喫煙歴が長いことや痛みでうまく喀痰できないことから、さらにリスクが高まっています。術後1週間は呼吸器合併症が起きないように、呼吸状態に注意する必要があります。

消化管運動機能障害のリスク状態

手術後は、全身麻酔の使用による麻痺性イレウス、腸管の癒着や閉塞による癒着性イレウスを起こすリスクが高いです。イレウスを起こさないよう、離床を促し、腹部の状態に注意する必要があります。

不安

事例の場合、現役の役職付きの会社員であり、子供の学費もまだかかる状況のようです。今後の仕事のことや、家族のこと、経済的なことなどを考えると、不安が募っている様子がうかがえます。眠れなくなっていることも考慮すると、不安に対するケアも必要であることが考えられます。

非効果的健康管理

事例の場合、胃切後の食事が開始になったばかりの様子です。術後はダンピング症候群を起こす可能性があり、退院後も対処できるよう指導が必要です。

書き方のポイント

実習で胃がんの患者さまを受け持つ場合、術前術後の方を受け持つことが多くなります。胃がんの術前術後の場合、術後の合併症が多いことがポイントとなります。
現在術後何日目で、どの段階の状態にあるのかを把握した上で、関連図を作成し、看護問題を立てましよう。

手術前

手術前の看護は、胃がんによる症状の有無、食事摂取状況の把握と術前の食事管理、服薬管理、呼吸訓練などが必要になってきます。よって、今ある問題と、術後に向けての必要なことを、関連図と看護問題に挙げていきましよう。例えば、喫煙歴や呼吸の状態、食事量や栄養状態、貧血の有無や程度、病識や家族の協力の有無などは、要チェックです。


手術直後~手術2日目

手術直後~2日目は、術後すぐに現れる症状や合併症の観察を主軸にしていきます。全身麻酔の影響もありますので、呼吸器合併症リスク、創部感染のリスクは、関連図と看護問題に挙げるようにしましょう。術後は、創部の疼痛も出現するため、痛みの観察やケアも重要です。


手術3日目~7日目

手術後3日目ごろから、流動食が開始になり、5日目あたりから固形の食事が開始になっていきます。腹部症状の状況とダンピング症候群の観察、そしてダンピング症候群を起こさないようにするための指導を内容に組み込みましよう。


手術後1週間以上経過

手術直後に起こる合併症のリスクは終了となることが多く、退院に向けての観察や指導が主軸になります。関連図でも手術後の問題よりも、退院に向けての内容を充実させるようにしましょう。

胃がんの関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、胃がんの関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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