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関連図の書き方 慢性腎不全

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は慢性腎不全の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

慢性腎不全とは?(病態)

腎不全とは腎臓の機能が低下し、正常に働かなくなってしまう疾患です。腎臓のろ過機能が正常時の30%以下になり、体内環境を正常に維持できない状態を指します。慢性腎不全は数ヶ月から数十年かけて腎機能が徐々に低下していきます。

慢性腎臓病(CKD)が進行することで発症し、腎機能の回復は見込めません。高度な腎機能低下の場合、多くは末期腎不全(腎臓のろ過機能15%未満)へ進行します。末期腎不全になると生命の危機であり、透析や腎移植が必要です。
慢性腎不全の原因疾患で最も多いのは糖尿病性腎症、次に慢性糸球体腎炎です。

検査から分かる慢性腎不全

  • ・血尿、たんぱく尿(尿検査)
  • ・BUN・カリウムの上昇、クレアチニン値の上昇(血液検査)

慢性腎不全の症状

腎機能 症状
60%
~30%
手足の浮腫
30%
~15%
易疲労性、貧血
15%
以下
嘔気、全身浮腫、全身掻痒感、食欲不振、呼吸困難、高血圧、高度の貧血、心機能低下、視力障碍
10%
以下
尿毒症

患者の情報(事例)

以下の事例をもとに、慢性腎不全患者の看護問題、書き方のポイントを説明していきます。

基本情報 A氏 48歳 男性
診断名 慢性腎不全
家族構成 妻45歳、長女17歳、長男15歳。キーパーソンは妻。
職業 建設業の職人
現病歴 45歳の時、職場の健康診断で尿たんぱく、高血圧を指摘され、A病院へ1ヶ月間入院。先日風邪を引き近くのクリニックを受診したところ、高血圧、下肢の浮腫を認めたため当院を紹介され入院。慢性腎不全と診断され、人工透析の適応になる。
既往歴 なし
生活歴 高校卒業後から建設業で職人として働く。25歳の時に結婚。専業主婦の妻、2人の子どもを養う。健康に対しては無頓着で、食事は仕事柄コンビニや外食で済ませることが多い。毎日500mlのビールを3本ほど飲んでいる。

看護問題(看護診断)

以下の項目から看護診断をしていきます。

  • ・慢性腎不全の病期
  • ・腎臓の機能低下による症状
  • ・検査からみる腎機能の状態
  • ・慢性腎不全の治療と副作用
  • ・透析導入によるライフスタイルの変化
  • ・病識の乏しさによるセルフケアの低下

患者さまの病状や症状によって変わってきます。その方に合わせた看護診断を作成してください。今回の事例での看護診断です。

腎機能低下のため易疲労性、浮腫があり、日常生活に支障がある

A氏は働き盛りの男性ですが、慢性腎不全による易疲労性、痺れによって資材が持てない等仕事にも支障が出ています。また、浮腫があり歩きづらさや体の重さも自覚している状態です。風邪をきっかけに心機能の低下も認め、呼吸器症状や倦怠感も強く出ています。飲酒習慣があり、浮腫の増悪にもつながる危険があるため注意が必要です。

透析導入によりライフスタイルに変化が生じる

慢性腎不全の治療のために透析が適応になります。血液透析の場合、週に2〜3回通院して3時間程度病院で過ごす必要があるため、今まで通りの生活を続けることは困難になります。働き盛りの世代のライフスタイルの変化は心身ともに大きな侵襲をもたらします。

また、シャント造設術を実施すると力を入れすぎないようにしないといけなくなり、今まで通りの仕事をすることは難しいです。

病識が乏しく、塩分制限や水分制限が守れない

自身の健康には無頓着でたんぱく尿や高血圧を放置してきた経緯があります。自身の自覚症状がないと治療へのコンプライアンスは低くなりがちです。自身の病気と向き合うことには勇気も必要です。自覚症状の乏しさや病気の受け入れが難しいことから、食生活の改善や水分制限に対してもなかなか取り組めていない状況が考えられます。

また仕事が今まで通りにできないこと、病気や家族に対しての将来の不安なども重なり、元々飲酒を好んでいたことからストレスで暴飲暴食をしてしまう可能性も否定できません。

書き方のポイント

慢性腎不全の関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 症状を書いて病態とつなげましょう

患者さまに起こっている症状をあげ、その症状がなぜ起こっているのかを考えます。そして、理由を挙げる時には名詞で書くことを意識しましょう。

例)腎臓のろ過機能が低下しているから→腎ろ過機能の低下

A氏は浮腫や易疲労性、倦怠感や息切れなどの呼吸器症状も出現しています。浮腫を例に考えると浮腫がでるということは低アルブミン血症なのではないか→低アルブミン血症になるのはたんぱく尿が出ているからではないかというように考えていきます。慢性腎不全で出る症状として尿毒症症状、食欲低下や尿量減少、高血圧、心不全や呼吸器症状、不整脈など全てが糸球体ろ過機能の低下によって引き起こされていることがわかるでしょう。

症状だけでなく、検査の所見も書きましょう。
患者さまに起きている症状とその病態をわかる限りすべて書き出します。すると最終的に行きつくワードが同じになるので同じものは1つにまとめます。

病態関連図

Point2 原因を書いて病態とつなげましょう

原因として挙げられるものは以下の通りです。

生活習慣

運動習慣、食生活、ストレス、飲酒、喫煙など

加齢

身体機能の低下、認知機能の低下、血管の弾力性の低下など

性別

性ホルモンの低下など

環境

家族構成、住環境、仕事、趣味、人付き合いなど

その他

感染、外傷、遺伝など

原因は複数あり、それぞれ異なる病態につながっていることも多いです。病態と症状をつなげた後に行うことで、原因を病態につなげやすくなります。

慢性腎不全では食生活の乱れや飲酒、加齢による腎機能の低下、感染が原因となりやすいです。高血圧が原因になることも多く、その場合には運動習慣や喫煙、血管の弾力性なども関係してきます。A氏の場合48歳であり高齢とは言えないものの、食事がコンビニや外食中心だったこと、毎日飲酒をしていたことなども体調悪化の原因として考えられるでしょう。また、風邪をひいたことによる感染で腎機能が悪化したとも考えられます。

Point3 治療を原因、病態、症状とつなげましょう

治療は原因、病態、症状のどれかに対して行っています。治療で記載するものを以下にあげます。

  • ・薬と副作用
  • ・手術の合併症や生体反応
  • ・化学療法の副作用
  • ・放射線や酸素療法

A氏の場合、今後の透析治療についての記載が必要です。また、透析を開始することで水分制限やカリウムの制限、塩分制限などの食事制限も必要になります。浮腫や高血圧に対してはそれぞれに使用されている薬を入れておくことで疾患と薬に対しての理解も深まるため、ぜひ入れておきましょう。

Point4 身体面、心理面、社会面から患者さまの全体像を捉えましょう

この項目が個別性の出る関連図のポイントになります。身体面は以下の項目をみていきましょう。

セルフケア
項目
関連する器官
栄養・代謝 消化器
排泄 消化器 腎泌尿器
活動・運動 循環器 呼吸器 運動器 脳神経系
睡眠・休息 さまざまな器官が関わる
認知・知覚 感覚器 脳神経系
セクシュア
リティ・生殖
生殖器

A氏のセルフケアの低下は見られていませんが、活動に対しては低下してくる可能性があり注意してみていく必要があります。また、栄養面についても食欲不振が出てくる可能性を注意しましょう。排泄は腎機能の低下によって尿量減少が見られますが、大きなセルフケアの低下につながっていません。

心理面では以下の項目について考えます。

  • ・自己知覚・自己概念
  • ・コーピング・ストレス耐性
  • ・役割関係
  • ・価値・信念

心理面の反応が以下の何によって影響を受けているのかを考えることも大切です。

  • ・症状や病態
  • ・治療
  • ・加齢
  • ・生活習慣
  • ・元々の考えの傾向、性格

心理面の変化では透析治療に対するストレス反応に目を向ける必要があるでしょう。また、食生活の改善をしなければいけないこともストレスになるため、本人のストレス耐性への配慮やコーピングを行えるかどうかも考える必要があります。

自身の疾患に対しての思いや、病識の有無についてもアセスメントが必要です。A氏は自覚症状が乏しいため、透析の必要性や食事制限の必要性を感じられておらず、食生活の改善ができていません。家族との時間やA氏にとって大切な存在を守るなど、本人が治療をしようと思える目的に対してのアプローチをするために本人の情報をしっかり取っていきましょう。

社会面ではその人を取り巻く環境について取り上げましょう。

  • ・仕事や地位
  • ・利用しているサービス
  • ・経済状況
  • ・家族関係・構成

透析開始にあたり、仕事の調整が必要になるでしょう。また、家族を養っているためA氏が働けなくなると家族の生活が苦しくなる可能性があります。相談員につなぎ、制度を使って助成等を受けられるかどうかも記載しておきましょう。

慢性腎不全の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、慢性腎不全の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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