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関連図の書き方 うつ病

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回はうつ病の関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

監修武蔵野中央病院

幅広い年齢層の新卒看護師が活躍しています

うつ病とは?(病態)

気分障害は気分の変調の程度や持続時間(期間)により日常生活に支障をきたします。うつ病と双極性障害に分けられ、うつ病の期間以外に躁状態となっていることもあるため、診断治療の参考として本人および家族からの聴取も重要となります。疫学的に、男女比1:2といわれ、年齢的には若年層と中高年層の2つの層に分かれています。

うつ病の原因

解雇・離婚・死別・喪失体験といったようなネガティブなことだけでなく、結婚・出産・進学・昇進・転居など一見ポジティブなライフイベントでもうつ病を発症することがあります。

うつ病の症状

うつ病は、2大症状の「抑うつ気分」と「興味や喜びの消失」がみられます。他に身体症状(食欲変化、睡眠障害、疲労感、気力低下、焦燥感、精神運動静止、無価値感・罪悪感、思考集中の低下、自殺念慮・自殺企図)、認知機能や行動面の変化がみられます。
病態生理的には、モノアミン仮説、BDNF仮説、生物リズム仮説などのいくつかの仮説があります。しかし特に抑うつ状態に関しては、身体疾患やそれらの薬物療法の影響もあるため、鑑別が必要となります。

うつ病の治療法

社会的には自殺が大きな問題となっており、年間3万人を超えています。うつ病が自殺の原因・動機となったのは約3割といわれています。(厚労省HP:H27年)
治療は症状により、抗うつ薬・睡眠薬・抗精神病薬などの薬物療法や時に電気けいれん療法(ECT:Electroconvulsive Therapy)を行うこともあります。自殺念慮や自殺企図に対しては、行動制限(隔離拘束)、その他にも支持的精神療法や認知療法・心理教育、作業療法、光療法などがあります。

患者の情報(事例)

うつ病患者の関連図を書く上での、事例を挙げてみます。この情報に従って、うつ病の関連図の書き方を説明していきます。

基本情報 T氏 42歳女性 夫と2人暮らし
医療職教育分野に就いている。
生活歴 夫のモラハラを受け、役所に相談したものの就業している女性への支援がないことに失望していた。職場では慣れない事務仕事のプレッシャーと先輩からのパワハラにより、常に動悸を感じていた。疲れやすさ、断眠、過眠、身体が鉛のように重い、何をしても楽しくない、感情失禁と意欲低下が続いていた。休まず出勤していたが、手に届く服を着て、やっとの思いで出掛けていた。
現病歴 ある日、出張のため電車を待っていたところ『電車に飛び込んでしまえば楽になるだろう』と思い浮かんだ。乗車できないで数十分立っていたところ、駅係員に声を掛けられ泣き崩れてしまい、その足で精神科受診。希死念慮があることなどから入院を勧められ、任意入院となった。夫は驚き、「なぜ何も言わなかったんだ」と責める発言があった。
日常生活

入院中、眠前薬にリフレックスを服用していた。薬物療法の他に作業療法(OT)とカウンセリングを受けた。OTでは、ヨガの時間に「自分の身体に集中していることと仕事や夫のことを考えていない自分に気づけた。」と主治医に話した。

感情失禁や過眠、疲れやすさはしばらく続いたが、「駅員に声を掛けられ命拾いした。怖いことを考えていた。」「入院前、毎日通勤していたものの、洗顔とシャワーで洗髪・陰部洗浄しかできていなかった。」とカウンセリングで話していた。

看護問題(看護診断)

今回のうつ病患者の看護診断を以下に挙げていきます。その患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。

慣れない仕事やパワハラ、夫からの
モラハラによる反応性うつ状態

職場では事務仕事に慣れず、先輩からのパワハラの他に、家庭では夫からのモラハラが重なり、動悸や易疲労感、体の重さ、睡眠障害などのうつ病の症状である身体反応が出現していました。自殺願望とまではいかないが、「電車へ投身すれば楽になる」という思いが湧いていたため、自殺リスクも念頭においた観察が必要となります。

セルフケア不足(清潔保持・更衣)

「休まず出勤していたが、手に届く服を着て、やっとの思いで出掛けていた」
「洗顔とシャワーで洗髪・陰部洗浄しかできていなかった」という発言から、うつ状態により、清潔や更衣への影響が出ていたと考えらます。うつ状態による身体的反応が治療によって変化していくか観察する必要があります。体力回復の援助・観察と体力に合わせた清潔行為の頻度を検討し実施していきます。必要に応じて洗体の一部介助も必要かもしれません。

サポートシステム不足

→環境調整(職場・家庭)

夫からのモラハラに対して役所へ相談するという対処をしたものの、公的な支援がないことに失望。希死念慮により任意入院となったのを知った夫は驚き、患者を責める発言があった。併せて、職場では事務仕事に慣れず、先輩からのパワハラを受けている。
休まず出勤していることからも、頑張りすぎてしまう傾向があり、入院中の精神療法やカウンセリングでうつ状態の改善と他者からの支援を受けながら患者自身のコーピングが適切にできるようにしていく必要があります。

書き方のポイント

看護師の役割は、診療科を問わず「医療と生活をつなげる」ことです。様々な症状により患者の「生活」の、どの部分に支障をきたしているのかを観察していく必要があります。
うつ病だったとしても、できているだろうということでも、実はつらさを周囲に見せないようにしているかもしれません。話ができる状態であれば、負担のない範囲で元気だったころと、症状が出てからのADLの変化について差があるかどうかを聞いてみても良いでしょう。ただし、聞くことにより症状への影響がでるかもしれないため、必ず主治医や担当看護師に相談してみましょう。

うつ病の関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、うつ病の関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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参考文献

  1. 川野雅資(編著)エビデンスに基づく精神科看護ケア関連図 改訂版
    中央法規出版2021.7 p162~169
  2. American Psychiatric Association DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル
    日本語版用語監修 日本精神神経学会 監訳:髙橋三郎 大野裕
    訳:染矢俊幸 神庭重信 尾崎紀夫 三村將 村井俊哉
    医学書院2014.6
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