気分障害は気分の変調の程度や持続時間(期間)により日常生活に支障をきたします。うつ病と双極性障害に分けられ、うつ病の期間以外に躁状態となっていることもあるため、診断治療の参考として本人および家族からの聴取も重要となります。疫学的に、男女比1:2といわれ、年齢的には若年層と中高年層の2つの層に分かれています。

解雇・離婚・死別・喪失体験といったようなネガティブなことだけでなく、結婚・出産・進学・昇進・転居など一見ポジティブなライフイベントでもうつ病を発症することがあります。
うつ病は、2大症状の「抑うつ気分」と「興味や喜びの消失」がみられます。他に身体症状(食欲変化、睡眠障害、疲労感、気力低下、焦燥感、精神運動静止、無価値感・罪悪感、思考集中の低下、自殺念慮・自殺企図)、認知機能や行動面の変化がみられます。
病態生理的には、モノアミン仮説、BDNF仮説、生物リズム仮説などのいくつかの仮説があります。しかし特に抑うつ状態に関しては、身体疾患やそれらの薬物療法の影響もあるため、鑑別が必要となります。
社会的には自殺が大きな問題となっており、年間3万人を超えています。うつ病が自殺の原因・動機となったのは約3割といわれています。(厚労省HP:H27年)
治療は症状により、抗うつ薬・睡眠薬・抗精神病薬などの薬物療法や時に電気けいれん療法(ECT:Electroconvulsive Therapy)を行うこともあります。自殺念慮や自殺企図に対しては、行動制限(隔離拘束)、その他にも支持的精神療法や認知療法・心理教育、作業療法、光療法などがあります。
