感想文の例あり!ナイチンゲールの「看護覚え書」レポートの書き方

ナイチンゲールの「看護覚え書」は、看護の本質や哲学を示しており、看護の原点ともいえる非常に重要な書籍です。
本記事では、感想文やレポートを書く際のポイントについて、具体的な例を紹介しながら解説します。
レポート作成に悩んでいる看護学生の皆さんは、ぜひ参考にしてください。
感想や要約が書きやすくなる!「看護覚え書」を読むときのポイント!
各章の要点を押さえておこう
先に各章の要点をしっかり押さえて本を読み込むと、ナイチンゲールの考えが正しく理解でき、論理的なレポートが書きやすくなります。
各章の内容は相互に関連しているため、要点を整理することで全体のつながりが分かりやすくなります。
こうした理解が、説得力のある質の高いレポート作成につながります。
換気と保温 | 新鮮な空気と適切な室温管理が、病人の回復に不可欠である |
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住居の健康 | 清潔で快適な住環境は、健康維持と病気の予防に重要な役割を果たす |
小管理 | 細やかな気配りによって、患者の快適さと回復を促進できる |
物音 | 不要な騒音を避けることで、患者の安静と回復を支える |
変化 | 病人の周囲の変化が負担にならないよう注意を払う |
食事 | 病人に適した食事を提供し、栄養管理を徹底する |
ベッドと寝具類 | 清潔で快適な寝具が、患者の健康維持に不可欠である |
食物の選択 | 病状に適した食品を選び、適切に提供することが重要である |
陽光 | 日光が健康に良い影響を与えるため、適切に取り入れるべきである |
部屋と壁の清潔 | 清潔な環境が感染予防と健康維持に寄与する |
からだの清潔 | 患者の皮膚を清潔に保つことで、感染症を予防できる |
おせっかいな 励ましと忠告 |
患者に適切な声かけを行い、精神的負担を減らす |
病人の観察 | 病状の変化を正確に把握し、適切なケアを提供する |
「現代の看護にどう生かせるか?」の視点を持つ
「看護覚え書」には、現代の看護にも通じる重要な看護理念や看護実践が多く含まれています。例えば、ナイチンゲールが強調した「環境による健康の維持と回復」という考え方は、現代の看護の基本理念と一致し、エビデンスに基づいた看護実践とも深く関係しています。
とくに、患者の生活環境の整備に関する考え方は、現代の感染対策や快適な療養環境の提供に通じています。ナイチンゲールは、換気・清潔・食事・静寂などが患者の健康に大きな影響を与えると指摘し、これは現代の医療施設でも重要視されています。特に新型コロナウイルス感染症の流行以降、適切な換気や衛生管理の重要性は再認識されています。
このように、「看護覚え書」は単なる歴史的な文献にとどまらず、現代の看護にも生かせる普遍的な看護理念や看護実践が記されています。したがって、「現代の看護にどう活かせるか?」という視点を持って読むことが重要です。
「看護覚え書」の感想文や要約を書く際には、この視点が看護の実践的な理解を深め、「看護とは何か」を改めて考える機会になります。 さらに、自分の看護実習での経験や学びと結びつけて考察を行うことで、より深い洞察を得ることができ、文章にも説得力が生まれます。
他の章との関連性を意識する
ナイチンゲールの考えは、各章ごとに完結するものではなく、複数の章にまたがり相互に関連しています。
例えば、環境が患者の回復に与える影響についての記述は、換気や温度管理だけでなく、住環境や食事など、他の章とも密接に関わっています。そのため、各章を読み込む際には、他の章とのつながりを意識することが重要です。
章ごとの要点を理解するだけでなく、その内容がどのように他の章と関連しているのかを意識することによって、ナイチンゲールの看護観をより深く理解することにつながります。
このような視点を持つことで、内容の本質を捉えやすくなり、個々の章がどのように連携し、全体として一貫した理念を形成しているのかが見えてきます。
結果として、より包括的な理解が進み、質の高いレポート作成に役立ちます。
第1章「換気と保温」の感想を実際にレポートにまとめてみよう!
第1章「換気と保温」の感想文の例
ここでは、第1章「換気と保温」の具体的な感想文の例を紹介します。
第1章では、病室の環境管理の重要性について述べられており、とくに換気や温度調整が患者の回復に与える影響について考えさせられた。ナイチンゲールは新鮮な空気の必要性を強調し、病室の清潔な環境が患者の回復を助けると説いている。現代の医療においても、感染対策の観点から換気は重要であり、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、二酸化炭素濃度の測定や空気清浄機の活用が進んでいる。実習先の病棟では、冬場でも定期的に換気を行いつつ、患者の体温低下を防ぐために毛布や加湿器を活用する工夫がされていた。
また、第1章の内容は、第2章の「清潔」との関連性も深いと感じた。湿度が高すぎると細菌やカビが繁殖し、感染リスクが高まるため、適切な湿度管理も重要になる。清潔な環境を維持することは、単に掃除をすることだけではなく、病室の空気や温度、湿度を整えることも含まれるのだと改めて理解した。ナイチンゲールの考えは、現代の看護にも活かされており、今後、看護師として患者にとって最適な療養環境を提供できるよう、環境管理の視点を大切にしていきたい。
「換気と保温」を現代の看護でどのように生かすのか?
感想文の中で、「現代の看護にどう生かすのか」に該当する部分は、以下2つの内容です。
① 「現代の医療においても、感染対策の観点から換気は重要であり、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、二酸化炭素濃度の測定や空気清浄機の活用が進んでいる。実習先の病棟では、冬場でも定期的に換気を行いつつ、患者の体温低下を防ぐために毛布や加湿器を活用する工夫がされていた。」
現代の医療現場において、換気と患者の快適性を両立させるためにどのような工夫が行われているのかが具体的に示されています。これは、ナイチンゲールの環境管理の考え方が、現代でも実際の看護ケアに応用されていることを表しています。
② 「ナイチンゲールの考えは、現代の看護にも生かされており、今後、看護師として患者にとって最適な療養環境を提供できるよう、環境管理の視点を大切にしていきたい。」
今後の実践に向けた学びの姿勢が示されており、環境管理の重要性を意識しながら、看護師として成長していく意欲が述べられています。このように、過去の知識をもとにしつつ、今後の看護実践に生かそうとする姿勢は「現代の看護にどう生かすか」という視点を表しています。
これらの内容には、過去のナイチンゲールの考え方を単に学ぶだけでなく、実際の看護の現場でどのように実践されているかが述べられています。
第1章と関連のある章はどこか?
感想文の中で、「第1章と関連のある章はどこか?」に該当する部分は、以下の内容です。
「また、第1章の内容は、第2章の『清潔』との関連性も深いと感じた。湿度が高すぎると細菌やカビが繁殖し、感染リスクが高まるため、適切な湿度管理も重要になる。清潔な環境を維持することは、単に掃除をすることだけではなく、病室の空気や温度、湿度を整えることも含まれるのだと改めて理解した。」
この部分は、第1章の「病室の換気や温度管理」が、第2章の「清潔」と深く関係していることを述べています。
ナイチンゲールの考えでは、清潔とは単に病室の掃除をすることだけではなく、換気や湿度管理を通じて病原菌の繁殖を防ぎ、患者にとって快適で安全な療養環境を提供することも含まれます。
感想文の中では、第1章の「温度管理・換気」と、第2章の「清潔な環境の維持」を結びつけて考察しており、章ごとの内容を関連づけながら理解を深めていることがわかります。
最後に自分の感想や意見を述べよう
自分の意見や感想を最後に述べるときのポイントを紹介します。
文章全体のまとめを意識
これまで述べてきた内容を簡潔にまとめ、 自分の意見や今後の課題につなげることが大切です。
特に、テーマの重要性や学びを再確認することで感想文全体に一貫性を持たせることができます。
自分の経験や考えを具体的に述べる
単なる感想だけでなく、「自分はどう考えたのか」「なぜそう思ったのか」を具体的に記述すると説得力が増します。
例えば、「ナイチンゲールの考えを学び、実習中に環境管理の重要性を実感した」といった自身の体験と結びつけると、より深い考察になります。
今後の実践にどう活かすかを示す
「この学びを今後の看護にどう生かしていくのか」という視点を持つと、単なる感想にとどまらず、実践的な内容になります。
例えば、「患者の快適な療養環境を意識し、温度管理にも注意を払える看護師になりたい」というような目標を加えると、より良い締めくくりになります。
未来につながる視点を持つ
最後の文章では、「今後の課題」や「より深く考えたいこと」など、未来につながる視点を入れると感想文の印象が強まります。
例えば、「これからも病室の環境管理の重要性を意識し、実習や看護師としての経験を通じて理解を深めていきたい」といった締めくくりが考えられます。
ナイチンゲールの「看護覚え書」レポートを通じて得られるものとは?
『看護覚え書』のレポート課題は、主に看護学生が基礎的な看護観を身につけるために出されることが多く、一般的に1年次の夏季休暇中に課されます。
『看護覚え書』を深く読み込み、自分で要点を整理することで、看護の本質を理解する力が養われます。現代の医療と比較しながら考察することで、より実践的な学びへとつながります。
ナイチンゲールの考えは、医療の進歩によって変化することはあっても、その本質は変わりません。
『看護覚え書』を読むことは、看護師としての基礎を固める大切な一歩となります。最初は、少し難しく感じるかもしれません。しかし、自分なりの考えを持ってレポートをまとめることは、看護の精神を学ぶ道しるべとなり、未来の自分の看護を支える力となります。