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関連図の書き方 膵臓がん

疾患別で関連図の書き方をご紹介しています。今回は膵臓がんの関連図です。関連図の書き方のほか、関連図のダウンロードもできますので、どんどん参考にして実習を乗り切りましょう。

膵臓がんとは?(病態)

膵臓がんとは膵臓に発生する悪性腫瘍のことです。通常膵臓がんとは転移・浸潤しやすい膵管がんのことを指します。膵臓の周りにあるリンパ節や肝臓に転移しやすく、腹部にがん細胞が散らばって腹膜播種がみられる場合も多いです。

膵臓は内臓の最も背中側にあるため、膵臓がんは早期発見が難しく病状が進行した状態で発見されることがほとんどです。
そのため他のがんと比べて予後が悪く、発生率が少ない割にがんによる死亡原因は国内第4位を示しています。
年齢は60歳代から高齢になるほど多くなり、性別はやや男性に多い傾向があります。

膵臓がんの原因

原因としては、膵臓がんの家族歴、膵臓の合併疾患(糖尿病、慢性膵炎)、嗜好品(喫煙、飲酒)などです。糖尿病は膵臓がんに罹患した人の半数以上にみられます。

膵臓がんの症状

主な症状は腹痛や腰背部痛、食欲不振や体重減少、黄疸などです。糖尿病を発症することや、急な悪化がきっかけで発見されることもあります。

腫瘍ができた部位によっても症状は異なります。膵頭部にできたがんは胆管が狭くなるため、黄疸が現れやすくなることが特徴です。さらにがんが進行している場合は腹水がみられることもあります。
一方、膵体部や尾部のがんは胆管に影響が及びにくいため黄疸は現れにくいです。そのため、膵頭部にできたがんよりもさらに発見が遅くなる場合があります。

患者の情報(事例)

以下の事例をもとに、膵臓がん患者の看護問題、書き方のポイントを説明していきます。

基本情報 Y氏 54歳 男性
現病歴 R5年1月頃より食欲低下、腹部・背部の痛みあり。同年4月に近医受診し膵頭部がんのステージⅣと診断された。入院後は胆管閉塞に対しERCP施行、胆管ステントを留置した。その後、化学療法を開始するが2コース終了の時点で腫瘍増大、腹膜播種を認めた。二次治療を開始するも胆管炎を発症したため治療中断、腹水やがん性疼痛の増強も認め、医師より「これ以上治療は難しい。今後は自宅で緩和ケアに専念しましょう。」と話があった。
既往歴 3年前より糖尿病
生活歴 会社員(管理職)
家族歴 妻、大学生の長男と同居。キーパーソンの妻は「つらくて眠れない」と話している。
認知機能 認知機能の低下なし。病状に対し「熱が下がれば、治療できるのでは。」と話している。
栄養状態 軟菜食(1600Kcal)を2割程度摂取。Alb1.8g/dl
運動機能 下肢浮腫のため歩行時にふらつきあり。疼痛のため仰臥位がとれない。
ADLの状態
摂食 自立。
更衣・整容 自立。
入浴・清潔 入浴は見守りが必要。
排泄 トイレ排泄。緩下剤を服用。
睡眠 疼痛のため夜間不眠。
移動 ふらつきや疼痛のため歩行器を使用。病棟外は車椅子護送。
服薬など 看護師管理で麻薬鎮痛剤を使用。「麻薬はボーッとするのであまり使いたくない」と使用に消極的。

看護問題(看護診断)

膵臓がん患者の看護診断は、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • ・がん性疼痛のコントロール不良
  • ・全身状態悪化に伴う症状コントロール不良
  • ・セルフケア困難
  • ・転倒・転落のリスク
  • ・せん妄のリスク
  • ・意思決定支援に関する問題
  • ・病状や予後に対する不安
  • ・家族の予期的悲嘆
  • ・スピリチュアルペイン
  • ・退院支援に関連した問題

その患者さまの病状や症状によって変わってきますので、その方に合わせた看護診断を作成してください。今回の事例での看護診断を挙げていきます。

腫瘍浸潤に伴う疼痛コントロール不良による苦痛

Y氏の場合がん性疼痛によって生活へ著しく支障がみられており、疼痛緩和への介入がもっとも重要です。疼痛は精神的苦痛や他の問題へ発展することがあるため、優先して取り組む必要があります。

今後も腫瘍が増大し疼痛が強くなるため疼痛緩和への援助は重要です。しかし、麻薬鎮痛剤を使用することへ消極的な様子があり、薬剤を効果的に使用出来ていません。薬剤の調整はもちろんY氏への教育的支援が必要になります。

今後の過ごし方に関する意思決定困難

Y氏は医師より自宅で緩和ケアに専念することを伝えられますが、「熱が下がれば治療できるのではないか。」と話しています。これは死が差し迫った事実を知って「否認」している状態だと考えられます。また「自宅に帰りたいが家族に迷惑をかけたくない。」という思いからも、自分の意思で今後の過ごし方を選択できない可能性があるでしょう。
その人らしい過ごし方ができるよう意思決定支援への介入は重要になってきます。

喪失に伴うご家族の予期悲嘆

この事例ではキーパーソンである妻が「つらくて夜眠れない」と話しています。大切な人と死別することはご家族にとってつらく悲しい出来事です。事例の場合、大黒柱であるY氏を失うことになるため経済的な不安もあるでしょう。さらに在宅療養となるとご家族の不安や緊張はより高くなります。

患者さま・ご家族がよりよい時間を過ごせるように、ご家族の不安の軽減や精神的支援を行うことは重要な看護介入です。

終末期に関連したスピリチュアルペイン

終末期の患者さまの多くは死を目前にして、自分自身の価値や意味を失うことに苦痛を感じます。Y氏は職場や家族内での役割を遂行できない状態に「情けない」と感じています。さらに急激なADLの低下も存在価値の低下へとつながっています。
スピリチュアルペインは解決が難しい問題です。だからこそ重要な看護介入となります。

せん妄のハイリスク状態

Y氏は電解質異常、麻薬鎮痛剤の使用によりせん妄のリスクが高い状態です。さらに不眠や発熱が続いていることもせん妄の誘発因子となっています。

今後病状が回復することは難しく、せん妄のリスクは高くなる一方です。終末期の症状は不可逆的(元には戻らない)なことが多いため、リスク因子を取り除くことが難しい場合もあります。そのため看護介入によってせん妄を予防していくことは重要です。

書き方のポイント

膵臓がんの関連図の書き方のポイントを説明します。

Point1 患者さまが大切にしていることを捉える

膵臓がんは予後が悪く病状が急激に進行することがほとんどです。終末期では「その人らしく最期まで生きること」を支える看護介入が求められます。患者さまの生活背景や、大切にしていること、価値観を知ることは個別性の高いアプローチにつながるでしょう。


Point2 トータルペイン(全人的苦痛)の視点で問題を捉える

終末期では死を身近に感じることでさまざまな苦痛を生じます。そのため、身体的な苦痛だけではなく、精神的、社会的、霊的(スピリチュアル)のトータルペインの視点から捉えることが大切です。


Point3 「その人らしさ」を阻害している問題は何か考える

トータルペインの視点で問題を捉えたら、患者さまの「その人らしさ」を阻害している問題は何か考えましょう。

例えばY氏の場合、「仕事をしたいができない」と話しています。麻薬鎮痛剤の量を増やせば疼痛は緩和されますが、眠気は強くなりさらに仕事に影響を及ぼすでしょう。この状況はY氏らしさを阻害していないでしょうか。同じ痛みでも患者さまの生活背景や価値観で看護目標やアプローチは変わります。症状だけではなく患者さまの思いを関連図に反映させることで「その人らしさ」が見える関連図になるでしょう。

膵臓がんの関連図をみてみよう

関連図の書き方は分かりましたか?一から自分で書いてみるよりも、膵臓がんの関連図をダウンロードして参考にしながら書いてみると、理解が早まります。​

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