悪性リンパ腫とは、白血球のうちリンパ球(B細胞・T細胞など)が腫瘍化して増殖する血液のがんであり、リンパ節や脾臓・骨髄・消化管・皮膚など全身に発症しうる疾患です。大きく以下の2つに分類されます。
ホジキンリンパ腫(HL)
- ・比較的若年に多く、連続的にリンパ節が腫れる。
- ・化学療法・放射線療法に比較的よく反応しやすい(治癒率も高め)
非ホジキンリンパ腫(NHL)
- ・日本ではこちらが90%以上。
- ・60歳以上の高齢者に多く、B細胞型が大半。
- ・病型により治療の反応が大きく異なる(進行が遅い型〜超急性型まで幅広い)
悪性リンパ腫の原因は完全には解明されていませんが、免疫系の異常やウイルス感染、化学物質・放射線暴露などの生活背景、遺伝的素因などが関与すると考えられています。
主な症状には以下が挙げられます。
- 無痛性のリンパ節腫脹(首・腋窩・鼠径部など)
- 発熱・寝汗・体重減少(B症状)
- 全身倦怠感・食欲不振
- 脾腫や肝腫大による腹部膨満感 など
しかしリンパ腫には特徴的な症状があるわけではなく、まったく症状がなく健康診断のX線検査などで偶然見つかるケースも多くあります。
診断には、腫大したリンパ節、あるいは病変である腫瘍の生検が必須となります。血液検査・画像検査(CT/PET-CT)・骨髄検査なども併用し、病期分類を行った上で治療方針が決定されます。
悪性リンパ腫の病期分類は、基本的にホジキン・非ホジキン共通で“Ann Arbor(アナーバー)分類” を使います。
| 病期 | 分布 | |
|---|---|---|
| 限局期 | Stage Ⅰ |
単一のリンパ節領域のみ |
| Stage Ⅱ |
横隔膜の同じ側(上 or 下)の2カ所以上 | |
| 進行期 | Stage Ⅲ |
横隔膜の両側に病変あり |
| Stage Ⅳ |
骨髄・肝臓・肺などリンパ節以外の臓器に広がる |
さらに、B症状(発熱・寝汗・体重減少)がない場合は“A”、ある場合は“B”とつけます。
Stage IIIB(病期3期でB症状あり)
治療は非ホジキンリンパ腫では主に化学療法(3種類の抗がん剤とステロイドを併用するCHOP療法など)やCHOP療法に抗CD20抗体薬(リツキシマブ)を併用するR-CHOP療法が中心です。ホジキンリンパ腫では、4種類の抗がん剤を組み合わせるABVD療法などがあります。病型によって放射線療法・自家末梢血幹細胞移植が行われることもあります。
治療に伴い、脱毛・骨髄抑制(感染・出血リスク)、悪心・嘔吐・倦怠感、免疫力低下による感染症といった副作用が強く現れるため、支持療法およびセルフケア支援が看護の重要な視点となります。

