求人票の給与はどう見る?病院の採用担当者に聞いた給与のしくみと比べ方
求人票に書かれている給与ですが、実は同じ「月給○万円」「賞与○ヶ月」でも中身は病院ごとに異なります。給与の仕組みを知らないまま、見え方だけで判断すると「思っていた給与と違う…」となりやすいです。
今回は病院のベテラン採用担当者の話をもとに、看護師の給与の仕組みと求人票の給与を見るときのポイントを解説します。
給与は基本給、手当、賞与に分かれる
看護師の給与は大きく分けて、以下の3つで構成されています。
- 毎月の基本給
- 毎月つく手当(夜勤手当、処遇改善手当、通勤手当など)
- 賞与
基本給は「毎月固定で支払われる土台」で、そこに手当が乗って毎月支給される「月給」になります。賞与は基本給を基準に計算され、一般的に夏・冬の年2回支給されますが、病院によっては年3回の場合もあります。

「賞与○ヶ月」は実際いくら?
求人票でよく見る「賞与○ヶ月」。多くの場合は「基本給×○ヶ月」で計算されます。つまり、同じ「賞与4ヶ月」でも、基本給が16万円なら64万円、20万円なら80万円と大きく差が付きます。賞与を確認する際は必ずセットで基本給もチェックしましょう。
「月給(基本給+手当)」と違い、賞与には病院に法的な支払い義務がありません。病院の業績や経営状況によっては、まったく支給されなかったり、大幅に減額されたりといった事例もあります。個人の評価によっても増減しますので、「賞与○ヶ月」は平均的な目安であると捉えておきましょう。
「賞与○ヶ月」は何回分なのかチェックしよう
「賞与○ヶ月」の記載が、実は1回分ではなく年2回の合計であるケースはよくあります。「賞与4ヶ月」を1回の支給額と思っていたら実は2回の合計だった場合、賞与額は想定の半分になってしまいます。年間の合計なのか、1回分なのかの確認はとても重要です。
支給回数が多くても合計額も多いとは限らない
賞与の支給は一般的に夏・冬の年2回ですが、年3回の病院もあります。年3回と聞くと魅力的に感じますが、年2回の総額を3回に分けていたり、3回目は数万円程度に留まったり、金額的には年2回と変わらない事例もあります。
回数だけで判断せず、各回でいくら支給されるのか、年間の総額はいくらかまで確認すると安心です。
新卒1年目の年収は求人票どおりになりにくい
求人票に書かれている年収は、賞与の満額支給を前提に書かれているため、新卒1年目は求人票どおりにならないケースが多いです。
理由は「賞与の査定期間」です。4月入職の場合、最初の賞与は夏(7月ごろ)ですが、夏の賞与の査定期間は入職前の10月から3月までの6ヶ月間であることが一般的です。新卒は査定期間にまだ働いていないため、賞与を満額受け取ることができません。
実際の支給額は病院によって異なりますが、勤務1年未満の賞与は勤務期間に応じて下がる規定などがあり、夏の賞与は5万~15万円程度になるケースもあります。

病院の給与は必ず項目を揃えて比較する
求人票は記載ルールが統一されていないため、同じ「月給」でも、住宅手当を含めている病院と含めていない病院、夜勤4回を含む病院と夜勤5回を含む病院など、病院ごとにバラバラです。金額の内訳が異なるため、自分で項目の内容を揃えて比較するようにしましょう。

計算に必要な情報を公表していない病院は、他の病院と比べて給与が高いか低いか判断できないため注意が必要です。
基本給だけ見比べることもおすすめしません。学生は基本給を中心に見比べますが、基本給の高い病院でもよく見ると賞与や手当が若干少なく、基本給の低い病院の方が総額は多かったということもあります。
基本給の比較は地域差を意識する
基本給は地域によって水準が異なります。例えば、埼玉県の病院は基本給20~21万円台が平均的ですが、群馬県は16~18万円台と低くなります。代わりに資格手当を厚くし月給を高く調整している場合もあります。
賞与の基準は基本給です。基本給が数万円違うと賞与の年間支給額にも大きく影響しますので、覚えておきましょう。
※基本給平均額は記事執筆時点(2026年5月)の情報です。
給与の質問は「聞き方」で印象が変わる
正直、質問しづらい給与の話題。質問したから不採用になることはありませんが、見学会や面接で最初に給与の質問をしてしまうと「お金だけで病院を選ぶ学生」といった印象を与えてしまいます。
教育制度や雰囲気など病院のことを知った上で給与も気になる気持ちを表すならば、給与の質問は最後の方に、念のため質問するといった聞き方が良いでしょう。
もっと控えめに質問したいなら、見学会が終わった後に「聞き忘れてしまったので…」とメールで質問する方法もあります。
給与は大切な要素ですから、聞くこと自体は悪いことではありません。給与の話題が前面に出すぎないような工夫をしてみましょう。
初任給だけでなく昇給や転職も意識する
初任給だけ高く、昇給しづらいこともある
看護師は勤続年数が短い傾向にあるため、新卒確保のため初任給を高めにし、昇給額を低めにする病院もあります。昇給額が低いと、勤続年数が長くなってもなかなか給与が増えていきません。
可能ならば、3年目・5年目・10年目あたりでどのような給与になっていくかチェックできると良いです。勤続年数ごとのモデル給与を記載している病院もあります。
前職の給与は転職後の給与にも影響する
転職時の給与の決め方は病院によって異なります。転職時に前職の給与明細を求められ、前職の給与を基準に新しい給与を決める病院もあれば、単純に病院の給与ルールに当てはめて、前職の給与は参考程度とする病院もあります。
新卒で選んだ病院の給与が転職後も影響するかもしれない点は覚えておきましょう。
覚えておきたい3つのポイント
今回の内容で覚えておいて欲しいのは、以下の3つです。求人票の給与を読み解いて、後悔しない病院選びを進めていきましょう。
- 給与は「基本給」「手当」「賞与」に分けて考える
- 賞与は基本給が土台で、1年目は想定通りの金額にならない
- 病院の比較は、同じ条件に揃える

