看護師タイプ別!向いている診療科は?診療科の特徴と向き不向きを解説

就職活動において、「自分に向いている診療科を知りたい」と考える看護学生もいるでしょう。多くの診療科から自分に合った病棟を選ぶためには、各診療科の特徴を知ることが大切です。
この記事では、代表的な診療科の特徴と、看護師のタイプ別に向き不向きを解説します。あなたに合った診療科を見つけるために、ぜひ参考にしてください。
自分に向いている診療科を知ろう!
自分に向いている診療科を知ることは、やりがいや満足感を得ながら、楽しんで仕事をするために重要です。勉強で忙しい新人看護師の時期でも、体調を崩さずにストレスが少ない環境で成長していけるでしょう。
他にも、面接で何科で働きたいのか質問されたり、入職後に希望の病棟を聞かれたりすることがあります。診療科の特徴を知り、自分の性格や希望と合わせて考えることで、活躍できる診療科を選びましょう。
各診療科の看護の特徴は?
代表的な診療科の看護の特徴を解説していきます。自分に合った診療科を見つけるために、まずは特徴を理解しましょう。
外科
整形外科・循環器外科・呼吸器外科・消化器外科・脳神経外科などがあり、手術前後の看護、治療や処置の介助を行います。
急性期の患者さまが多く、病態が急速に変化するため緊急度や重症度の高さが特徴です。緊急入院や手術、多くの検査や処置に対応するため、迅速に複数の業務をこなす能力が求められます。
手術の合併症や急変のリスクを最小限にするために、幅広い専門的知識と看護技術を身につけ、予測と予防の視点から看護を提供します。
内科
循環器内科・呼吸器内科・消化器内科・脳神経内科・血液内科などがあり、主に薬物治療の介助や日常生活援助、セルフコントロール支援を行います。
慢性期の患者さまが多く、緊急の対応が少ないことが特徴です。入院期間が長く、高齢で複数の疾患を持つ患者さまが多いため、コミュニケーション能力やさまざまな疾患と症状の知識が求められます。
患者さまの個別性を重視し、病気と共にその人らしく生きられるよう看護を提供します。
救急科
救急看護師は、事故の怪我や急な病気などの緊急性の高い患者さまへ看護を提供します。
対象の患者さまは、すべての年齢とすべての疾患・外傷であるため、幅広い知識と高度な看護技術が求められます。看護学生に人気の高い診療科ですが、求められる能力は高く、学びの機会も多く得られます。
主な業務は、トリアージと心肺蘇生などの初期治療、医師の処置の補助、患者さま・ご家族への精神的ケアです。効果的な医療処置やケアを提供するために、緊張感を常に持ち、的確なアセスメントと迅速な看護を提供します。
小児科
小児看護の対象は、主に新生児から15歳の子どもです。日本小児科学会が診療の対象年齢を引き上げたため、場合によっては18〜20歳までが対象となります。
小児科看護師は子どもたちの成長と発達に寄り添い、病気や障害の治療や処置の介助、日常生活援助、精神的サポートを行います。
特に、子どもたちは環境の変化や医療行為に不安や恐怖を感じやすいため、精神的フォローが重要です。ご家族もまた、わが子の病気や怪我に対し辛く不安な気持ちを抱えています。付き添い入院しているご家族もいるため、精神的にサポートし労うことが大切です。
また、子どもに必要なケアを実施できるように、ご家族へ知識や技術を指導する必要もあります。
子どもたちが安心して治療や処置に臨めるよう、分かりやすく説明する「プレパレーション」や、不安や恐怖心を和らげる「ディストラクション」を取り入れます。
看護師には、発達段階に合わせたアプローチを行うことで、子どもの頑張る力を引き出す役割もあります。
精神科
精神科看護では、患者さまの心や精神の安定をサポートするため、薬物療法や精神療法の支援、服薬管理、日常生活援助を行います。他にも、採血や点滴、自傷・他害による外傷の看護も欠かせません。
生活習慣病など、さまざまな疾患を併発している患者さまもいるため、幅広い看護知識が必要です。患者さまの些細な変化を見逃さない観察力やアセスメント力も求められます。
患者さまと信頼関係を築くことが最も重要であり、コミュニケーションを深めながら、回復過程に寄り添い看護を提供します。
手術室
手術室看護師は、手術中の医師の介助や患者さまの精神的サポートを行います。手術成功のために、手術に関する高い知識や清潔操作のスキルが求められます。
主な業務は、「器械出し看護」と「外回り看護」です。
器械出しは、手術中の医師へ手術道具の手渡しや準備を行い、手術が円滑に進むようサポートします。
外回りは、医療機器の準備やバイタルサインのチェック、手術記録の作成などを担当し、患者さまの不安に寄り添う精神的援助も行います。
病棟看護師のように採血や、日常生活援助の看護を提供する機会はありません。さまざまな疾患の手術に対応するために、疾患の知識や術式、器械の扱い方法を覚える必要があります。
タイプ別でみる!診療科の向き不向き
性格や理想の看護師像、希望の働き方に応じて、タイプ別に診療科の向き不向きを解説していきます。自分がどこに当てはまるのか確認しましょう。
患者さまと深く関わりたい、コミュニケーション重視タイプ
この項目に当てはまる人は、以下の特徴があります。
- 患者さまとのコミュニケーションを大切にしている
- ひとり一人と丁寧に向き合って看護を提供したい
- 思いやりのある看護、寄り添う看護が提供したい
- 穏やかでおっとりした性格
- 他者を尊重し、傾聴・共感が得意
向いている診療科
患者さまと深く関わりたい・コミュニケーションを重視したい方におすすめの診療科は以下になります。
- 呼吸器内科
- 循環器内科
- 消化器内科
- 血液内科
- 神経内科
- 精神科
患者さまと深く関わるために、長期入院が多い慢性期病棟がおすすめです。慢性期病棟は、患者さまの病態が落ち着いていることから急な処置や検査が少ないです。
患者さまとのコミュニケーションの時間が確保でき、日常生活援助やセルフケア支援も丁寧に行えるでしょう。
神経内科においては、言語的コミュニケーションをとることが難しい場合が多いですが、患者さまに合わせたコミュニケーションを学べます。
患者さまの生活全体を支える看護が求められることが多く、ご家族とも連携をとる必要があります。患者さまの個別性を理解し、異常の早期発見が可能な観察力やアセスメント力が鍛えられます。
不向きの診療科
おすすめしない診療科は以下になります。
- 呼吸器外科
- 循環器外科
- 消化器外科
- 整形外科
- 脳神経外科
- 救急科
- 手術室
外科系の診療科や救急科は、治療が最優先の現場であり、迅速な対応が求められます。効率的なベッドの使用のために、入院期間が短いことが特徴で、患者さまの病態が安定すると退院や転院が決まります。
緊急入院受けや急変対応、術後管理など、時間に追われるため、コミュニケーションの時間をゆっくり確保することは難しいです。
手術室看護では、短期的に術前訪問や術後訪問で患者さまの精神的支援を行います。手術中の器械出しや外回りが主な業務であるため、コミュニケーションを通して患者さまと深く関わるには不向きでしょう。
どこでも通用する看護師になりたい、勉強熱心タイプ
この項目に当てはまる人は、以下の特徴があります。
- 多くの経験を積みたい
- 多岐にわたる医療・看護知識と技術を身につけたい
- キャリアアップに意欲的
- 負けず嫌い、強気な性格
- 病態生理やアセスメントが楽しい
- 患者さまの回復過程を見てやりがいを感じる
- 多重課題が得意でテキパキ働きたい
- ストレス耐性がある、ストレスに上手く向き合える
向いている診療科
どこでも通用する看護師になりたい勉強熱心な方におすすめの診療科は以下になります。
- 呼吸器外科
- 循環器外科
- 消化器外科
- 整形外科
- 脳神経外科
- 救急科
急性期看護は、さまざまな検査や医療処置の経験を積めるため、知識や技術を身につけたい人にはおすすめの環境です。患者さまの命に直結するケアが多く、常に緊張感を持って看護にあたります。
高度な専門的知識や技術と迅速な対応が求められるため、スキルアップが可能であり、どの診療科でも通用する看護師を目指せます。特に、循環器科は心電図や心不全の看護など、幅広い診療科で役立つ知識が身に付きます。
多重課題で時間に追われることから、マルチタスクでテキパキ動ける人向きです。勉強量と超勤の多さや、時間に追われるプレッシャーなど、ストレス要素が多いため、ストレスと上手く付き合える人におすすめです。
不向きの診療科
おすすめしない診療科は以下になります。
- 呼吸器内科
- 循環器内科
- 消化器内科
- 血液内科
- 神経内科
- 精神科
- 小児科
- 手術室
外科と比べると、内科や精神科は学べる看護技術や症例が少ない傾向にあります。理由として、患者さまの病態が落ち着いていることや長期入院が多いことが挙がります。
小児科と手術室は専門性が高く、どの診療科でも活躍できるほどの、幅広いスキルの獲得は難しいでしょう。
焦らず自分のペースで成長したい、ワークライフバランス重視タイプ
この項目に当てはまる人は、以下の特徴があります。
- 時間に追われず、自分のペースで業務にあたりたい
- 先輩から丁寧な指導を受けたい
- 仕事とプライベートをしっかり分けたい
- 帰宅後は育児や介護など、やるべきことがある
向いている診療科
自分のペースで成長したいワークライフバランスを重視する方におすすめの診療科は以下になります。
- 精神科
- 神経内科
- 手術室
比較的残業の少ない診療科であり、プライベートが確保できるのが特徴です。ただし、急変や緊急オペがあれば残業になるため注意が必要です。
神経内科において、「筋ジストロフィー病棟」「重症心身障害児者病棟」などの、難病の患者さまが対象の診療科がおすすめです。病院が生活の場であり日常生活援助が中心なため、1日のスケジュールがおおよそ決まっています。
ベッドに空きがでないため、緊急入院もなく、手術や急変もないため、落ち着いて業務にあたることができます。時間が確保しやすいことから、業務時間内の新人指導や自己学習、勉強会も可能です。
不向きの診療科
おすすめしない診療科は以下になります。
- 呼吸器科
- 循環器科
- 消化器科
- 整形外科
- 脳神経科
- 救急科
一般病棟は、外科・内科問わず緊急入院が多い特徴があります。外科と内科が併設されている場合は、状況に応じて内科担当者が手術対応に応援に行くこともあります。手術と緊急入院が多い診療科は、終日忙しく超勤も増えるでしょう。
診療科が決まらない場合はどうすればいい?
興味のある診療科が多すぎて決まらない場合や、特段希望がなく診療科が決まらない場合があるかと思います。 自分の特性から考えるだけでなく、看護体験や他者から意見をもらうことも効果的です。
診療科が決まらないときにおすすめの方法
- インターンシップで複数の診療科の看護体験に参加する
- インターンシップで先輩看護師から診療科の魅力を直接聞く
- 看護学校の先生や友人に、客観的にみた自分の特徴を聞いてみる
ぜひ上記3点を試してみてください。
どうしても決められない場合は、入職後に新人看護師が全病棟の看護を経験する「ローテーション研修」を取り入れている病院を選択する方法もあります。 ローテーション研修は、数日ごとに各病棟に回り、診療科の看護の特徴を学びます。求められる看護や、患者さまの様子、病棟の雰囲気を体感できるのは魅力的です。
診療科の向き不向きを就活に生かそう
「自分に合いそうな診療科」「興味を持った診療科」はあったでしょうか。
診療科が決まれば、次は病院選びが必要になります。希望の診療科で有名な病院や、希望の診療科のみ扱う専門病院に就職する選択肢もあります。各診療科の特徴や向き不向きを就職活動に活かすことで、自分らしく楽しく仕事ができる環境を手に入れてください。
自分の興味や得意分野を大切にして、理想の看護師へ成長しましょう。