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急性期病院とは?看護の特徴とやりがいを解説!

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急性期病院は、緊急度や重症度の高い患者さまに対し、専門的な医療を迅速に提供する場所です。患者さまの早期回復を促進するために、看護師には高度な医療知識や看護技術が求められます。

この記事では、やりがいのある急性期看護の特徴や働き方、将来のキャリア形成について詳しくお伝えします。急性期病院に興味がある看護学生は、ぜひ参考にしてください。

急性期病院とは?

急性期病院とは、緊急度や重症度の高い病状の患者さまに対し、状態の早期安定化に向けて医療を提供する機能を持った病院を指します。
不安定な病態の患者さまを治療するため、24時間体制で迅速かつ専門的な治療を提供する役割があります。

急性期にある患者さまの特徴

急性期の患者さまの症状や疾患は、突然発症し、病態が急速に変化する病気の初期段階であることが特徴です。病態の緊急度や重症度が高く、より高度な医療を必要とする患者さまが多く入院されています。

急性期医療の対象で多い疾患は以下になります。

  • 急性腎不全
  • 急性呼吸不全
  • 急性心不全
  • 心筋梗塞
  • 急性薬物中毒
  • 重症感染症
  • 脳血管疾患
  • 開放骨折
  • 交通外傷

特に意識障害やショックの症状が多く、緊急入院や手術を必要とする患者さまもいます。病状が不安定なため、24時間体制の症状観察や管理が不可欠です。

急性期病棟の年齢構成の特徴として、85歳以上の入院患者さまが年々増加しています。複数の慢性疾患を抱えている高齢患者さまが増加することで、合併症や急変リスクが上昇するでしょう。

適切なモニタリングを行い、異常の早期発見と合併症の予測・予防、家族との連携強化が一層大切になります。

急性期病院の入院日数は約14日

厚生労働省の令和4年度調査結果(速報)概要によると、急性期病院の患者さまの入院期間は約14日でした。他病床と比較しても圧倒的に入院期間が短く、患者さまの入れ替わりが激しいことが分かります。

迅速かつ高度な医療が求められる急性期では、効果的な治療を行うことで患者さまの早期回復を支援することが重要です。早期の退院や転院を目指すことで、多くの患者さまへの医療提供と、コストの削減が可能になります。

他にも入院期間が短い理由として、急性期充実体制加算の影響が挙げられます。急性期充実体制加算とは、患者さまが入院後、14日以内に退院や転院すると診療報酬が加算される制度です。
急性期医療の役割遂行と診療報酬加算のために14日以内の退院や転院を目指す急性期病院が多くあります。

急性期病院の看護の特徴

急性期病院の看護師には、患者の全身状態が安定せず治療が最優先される状況で、迅速かつ正確なアセスメントと対応が求められます。合併症や急変のリスクを最小限にするために、予測と予防の視点から看護を提供することが大切です。

主な業務内容には、全身状態の管理、手術前後のケア、検査や処置の介助、点滴や輸血、ドレーンの管理などがあります。患者さまの命に関わる業務が多いため、常に緊張感を伴います。

緊急入院や手術、多くの検査や処置に対応するため、常に時間に追われながらも複数の業務をこなす能力が求められます。限られた時間の中で、患者さまとご家族の感情や苦痛に寄り添い、情報提供や精神的なサポートを行うのも、看護師の重要な役割です。

さまざまな疾患に対応できる高度な知識と技術を持ち、患者さまへ安心感を与える丁寧なケアを提供することが重要になります。

急性期病院での看護師の働き方

急性期病院での働き方について、勤務形態や受け持ち患者数、残業、研修に焦点を当てて具体的にお伝えします。

急性期病院の勤務形態は2交代制と3交代制

急性期病院の勤務形態には、2交代勤務と3交代勤務のシフトがあります。「入院算定要件」において、看護職の勤務形態は「交代制をとること」とされているため、急性期だからといって勤務形態は決められていません。

日本看護協会は、働きやすい環境づくりのために、多様な勤務形態の導入を推進しています。病院や病棟によって、勤務形態や勤務時間はさまざまであり、2交代と3交代を個人で選べる病院も増えています。

勤務体系の例

2交代勤務 3交代勤務
勤務時間 日勤 8:30~17:30
夜勤 16:30~9:00
早番 7:30~16:30
準夜 16:30~0:30
深夜 0:00~9:00
休憩時間 日勤 1時間
夜勤 2時間
早番 1時間
準夜 1時間
深夜 1時間
夜勤回数 夜勤 約4回/月 準夜 約4回/月
深夜 約4回/月
特徴
  • 生活リズムが整いやすい
  • 勤務時間が長く、体に負担がかかる
  • 夜勤明けとその翌日は休み
  • 生活リズムが乱れやすい
  • 一回の勤務時間が短い
  • 夜勤回数が多い

働きやすい勤務形態は、病棟の業務内容やスケジュール、生活スタイル、個人の好みによって異なります。夜勤回数やシフトの組み方は、病院の人員不足や看護師長の方針で差がありますが、大幅に違いが生じることはありません。

急性期病院の受け持ち患者数は5~7人

ICUや救命センターの受け持ち患者数は少ない傾向にありますが、一般急性期病棟では5人~7人受け持つことが多くあります。受け持ち患者さまは、呼吸器管理にある重症の方や手術直後の患者さまであり、加えて予定入院や緊急入院にも対応します。

急性期病院の研修は多い?

院内研修は、病院ごとの新人育成研修に沿って学んでいくため、急性期病院や急性期病棟だからといって過剰に参加することはありません。
しかし、急性期病棟は多くの知識が求められるため、自発的に院外研修に参加している看護師も多くいます。

院内研修において、慢性期病棟では、業務時間内に研修課題や研修アンケートを実施する時間が確保できます。急性期病棟では、研修の参加時間を確保することに精一杯で、業務時間内に研修課題やアンケートを行うことは難しいでしょう。

急性期病院で残業が多い理由

急性期病院では、緊急入院や手術、患者さまの急な病状悪化やそれに伴う指示変更、検査、医療処置が常にあるため残業は多くなります。業務時間全てを患者対応にあてることも多く、看護記録の時間の確保が難しい傾向にあります。

日々の看護業務以外にも、委員会、係活動、研修、看護研究もあり、時間外で実施している看護師もいます。勉強すべきことが多いにも関わらず、残業も多いためプライベートや学習時間の確保に大変さを感じるでしょう。

急性期病院で積めるキャリア

急性期病院では、看護知識や技術は十分に身につけられ、どんな医療現場でも活躍できる看護師に成長可能です。急性期での学びを基に、救急医療や集中治療、外科領域などの分野でキャリアを築く看護師もいます。

以下の6つは、急性期医療と関連の深い資格になります。

  • 専門看護師(急性・重症患者看護、がん看護、感染症看護、家族支援など)
  • 認定看護師(クリティカルケア、腎不全看護、脳卒中看護、呼吸器疾患看護、心不全看護、感染管理、手術看護など)※新たな認定分野より紹介
  • 診療看護師
  • 特定看護師
  • 呼吸療法認定士
  • 急性期ケア専門士

急性期だけでなく、慢性期や回復期の看護を新たに学ぶこともキャリア形成の一つです。
まずはメンバーシップとリーダーシップを学び、新人教育担当や学生指導者として活躍を目指すなど、徐々に希望に沿ったキャリアプランを考えましょう。

キャリア形成の1つに転職もありますが、急性期看護師の経験は転職に有利です。急性期看護師は、高度な看護知識と技術を持っているため、即戦力として医療現場に求められます。転職先が病院、訪問看護、施設など、どこであっても急性期での学びは活かせるでしょう。

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急性期看護のやりがい

急性期病院の看護師は高度なスキルが求められますが、大変な分やりがいも多くあります。急性期看護のやりがいは主に以下の3つが挙げられます。

  1. 自分の提供した看護の成果を感じられる
  2. 患者さまやご家族から感謝や信頼が得られる
  3. 看護技術と知識、判断力と対応力が身につく

自分の提供した看護の成果を感じられる

患者さまが、生命の危機的状態から回復していく過程を近くで見ることで、自分の看護の成果を実感できます。医療を最も必要としている瞬間に、生命や健康に直結するサポートができることにやりがいを感じる看護師もいます。

責任感と緊張感を同時に、実践した看護によって患者さまの病状が安定することで達成感や嬉しさを感じるでしょう。

患者さまやご家族から感謝や信頼が得られる

患者さまや家族が抱える感情や苦痛に寄り添い、精神的なサポートをすることもやりがいの一つです。患者さまの不安が軽減し、治療に前向きになることで、精神的サポートの効果を感じられます。

信頼関係の構築を目指し、患者さまとご家族が安心して治療に臨めるようサポートしましょう。

看護技術と知識、判断力と対応力が身につく

多岐にわたる疾患や医療技術に触れる機会が多く、効果的な看護を提供するために、高度な知識と看護技術を身につける必要があります。継続的な勉強が必要ですが、得られるものが多く、自分の成長を実感できます。

緊急入院や手術、急変、指示変更に対応することで冷静な判断力と臨機応変な対応力が養われます。
日々時間に追われながら多重課題を解決していくため、スピードを意識してスケジュールを管理する能力も身につくでしょう。

忙しい環境にやりがいを感じる人も多く、どんな医療現場でも活躍できる看護師に成長できます。

急性期病棟がある病院一覧

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