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新卒からでも訪問看護師になれるの?将来のキャリアは?

就活
公開日

訪問看護に興味があっても、新卒からでは難しいと思っていませんか?近年では新卒で訪問看護師になることが以前よりも身近になってきています。

この記事では、新卒で訪問看護に進みたい方が知って得する情報を簡単に説明していきます。看護師としての第一歩をどこで始めるかの参考にしてみましょう。

新卒でも訪問看護師になれる!

新卒でも大丈夫!訪問看護師への道、わかりやすく解説します。

2010年ごろまでは、新卒で訪問看護師になることは難しいとされていました。しかし徐々に状況が変わり、現在では新卒でも訪問看護師になることは十分可能です。

高まる新卒訪問看護師のニーズ

日本の高齢化が進む中で、入院日数の短縮化が進み、訪問看護の利用者数が年々増加しています。特に、団塊の世代が75歳を迎える2025年以降は、高齢化による訪問看護のニーズが一層高まると予想されます。

では、訪問看護師の現状はどうでしょうか。必要とされる訪問看護師は約12万から13万人とされています。
しかし2020年の厚生労働省による「衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、実際には約6万人(准看護師含む)しかいないという状況です。
これは、訪問看護師の人数が大幅に不足していることを示しています。

訪問看護師が不足するなか、2016年に横浜市の訪問看護ステーションを対象に実施された調査結果に基づく、「訪問看護ステーションにおける新卒看護師の採用意向の実態とその関連要因」という論文によると、約4割が新卒の採用に前向きであることが明らかになりました。

また、令和元年にカリキュラム改正された看護教育では、在宅看護に関する教育時間が増加しており、国としても在宅看護に重点を置いていることがわかります。

このような背景があり、新卒看護師が訪問看護師としてのキャリアを追求する道が、以前に比べて広がってきています。

新卒訪問看護を取り巻く現状

実際に新卒で訪問看護へ進むことの可能性は広がってはいます。しかし訪問看護が最初の就職先として選ばれることはまだ一般的ではありません。

訪問看護のニーズがどんどん増えている今、国としては事業を展開していきたいところです。しかし、現実は看護師数が足りておらず、訪問看護ステーションの数は十分ではありません。
その上、新人教育をしっかり行う準備ができている施設となると選択肢が狭まるのは事実です。

新卒看護師は、職場環境の変化、複雑な人間関係、そして患者ケアなどさまざまな要因により、精神的および身体的ストレスを多く抱えています。
特に、新卒看護師が少ない職場や、新人教育の経験が乏しい施設では、これらのストレスがさらに増大する可能性があります。

そのため、職場での教育環境やメンタルサポートなど、ストレスを最小限にするような取り組みの有無を見極めることがとても大切になってきます。

新卒訪問看護師がぶつかる壁

なぜ、訪問看護は新卒には難しいとされてきたのでしょうか。

新卒の訪問看護師に足りないもの

訪問看護の仕事とは、基本的に単独で利用者さまの元へ行き、状態の観察やケアを行わなければなりません。

医師が常駐している病院と違い、必要時に看護師サイドから医師をはじめとするさまざまな職種へ連携をとることが求められています。つまり、総合的なアセスメント力と的確な判断力がとても重要になります。

多くの場合、これらの能力は実務経験を通じて培われるものです。さまざまな臨床領域での経験が豊富であるほど、アセスメント力や判断の幅も広がります。
実務経験がない新卒の訪問看護師は、アセスメント力や判断力が未熟なことから難しいとされてきたのです。
しかし、医療現場は常に進化しています。新しい医療情報や技術の進歩によって、以前は正しいとされていたことが覆され、過去とまったく違うものが良いとされることも少なくありません。

新卒の訪問看護師の強み

新卒看護師は過去の経験に縛られずに、新しい情報や技術を柔軟に受け入れられるとされています。この能力は、経験豊富なベテラン看護師よりも新卒看護師が勝る大きな強みとなります。

また、現場経験がない新卒看護師にとっては職場の教育プログラムの有無もとても重要なポイントです。病院と比較し、教育制度が十分に整っていない、指導経験が少ないというような事業所も多いため、就職先を選ぶ際には注意が必要です。

新卒で訪問看護師、将来のキャリアについて

新卒で訪問看護師のキャリアを始めた場合、最初は研修や他の看護師との同行訪問を通じて、在宅でのケアの方法を学びます。その後独り立ちし、アセスメントや判断力を高めるために経験を積み重ねていきます。

訪問看護で専門性を深める

さらに数年の実務経験を経て、訪問看護師としての専門性をさらに深めていくことも可能です。訪問看護では慢性疾患管理や終末期ケアなど、在宅医療における幅広いケアの提供を学ぶことができます。また事業所によっては全年齢の対象者に向けた看護の経験を積むことも可能です。

病院で訪問看護の経験を活かす

もし将来、病院勤務に興味が湧いた場合でも、訪問看護師としての経験は強みとなります。在宅ケアの経験は、患者さまが自宅に戻った際のケアまでを視野に入れることができ、病院における看護の質を高めることにつながります。

また経験を積むことで、将来的には訪問看護ステーションの管理者や教育担当者など、より上の役割を担うキャリア形成の道も開けてきます。

このように、新卒で訪問看護師としてスタートすることは、看護師としてさまざまな領域にわたるキャリアの可能性を持つことになります。

新卒で就職するときの訪問看護ステーションの選び方

新卒看護師が訪問看護ステーションを選ぶときに押さえてほしいポイントは以下の通りです。

就職先を選ぶときの5つのポイント

新人研修と教育プログラムの有無 在宅看護の基礎を身につけるため
プリセプター制度の有無 メンタルフォローを始め、さまざまな困難を乗り越えるためのサポート体制が重要なため
スタッフの職務満足度の高さ 職場環境の良さがスタッフの職務満足度に直結するため
専門性を高められるか 今後キャリアを形成するうえで、キャリアアップのための研修等への参加のサポートがあると長期的なキャリア形成も考えやすいため
ステーションの理念 理念が自分の価値観にあった場所で働くことは自身の満足度につながるため

職場見学やインターンシップなどでは、訪問看護ステーションごとの特色と合わせて上記のポイントをあわせて見ることをおすすめします。

訪問看護ステーション併設病院への就職も選択肢のひとつ

将来的に訪問看護に進みたいけど、新卒で病院に入職する選択肢も捨てきれない!という方は訪問看護ステーション併設病院も選択肢の一つです。

このような病院では入院時だけではなく、退院後も一貫してケアを提供していきます。また病院勤務と訪問看護の両方をひとつの経営グループの中で経験することができます。これは訪問看護に興味のある新卒看護師がアセスメント力やケアの基本を学ぶのに魅力的な環境です。

訪問看護ステーションを併設している病院はこちら

訪問看護師としての成功の鍵

訪問看護の需要が増大する中、新卒看護師が訪問看護ステーションでの看護師としてのキャリアを開始するハードルは、以前より低くなっています。

しかし訪問看護はアセスメント能力と判断力がとても重要なため、新卒看護師にとって容易な分野ではありません。

そのため、教育体制の整った訪問看護ステーションの選択が何より大切です。新卒看護師向けの教育プログラムがある、あるいは新卒の採用に積極的な事業所を選ぶことをおすすめします。これが訪問看護師としての成功の鍵です。

今興味を持っている方々が今後、新人研修やメンタルフォローなど、職場のサポートを十分に受け、訪問看護で力を発揮できるように応援しています。

参考文献

厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」 日本看護協会、全国訪問看護事業協会、日本訪問看護財団「訪問看護アクションプラン2025」 厚生労働省 令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 丸山幸恵・柏木聖代・叶谷由佳 :訪問看護ステーションにおける新卒看護師の採用・採用意向の実態とその関連要因

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