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看護実習学びレポートの書き方「成人看護学実習」

看護実習
公開日

看護実習の学びレポートに何を書くか、悩んでいる方もいますよね。看護学生が成人看護学実習(急性期実習、慢性期実習、終末期実習)で学んだことを振り返り、学びレポートにまとめるサポートをします。ぜひ参考にしてみてください。

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成人看護学実習とは?

成人看護学実習は、15~64歳の成人期の患者さまを対象としており、急性期から慢性期の幅広い健康段階を扱います。
さまざまな健康状態にある患者さまを受け持ち、看護過程の展開を通して、アセスメント力と実践力の向上を目指します。成人看護学実習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲと3つの実習から構成され、トータルの実習時間が最も長い領域です。

成人看護学実習Ⅰ(急性期実習)で学ぶこと

成人看護学実習Ⅰは急性期実習で、急性期や周手術期の患者さまが対象です。健康の危機的状況にある患者さまのアセスメント、回復を支援する援助や合併症予防の援助を臨床で学びます。

急性期の患者さまには、術後や脳卒中、冠動脈疾患などの方がおり、呼吸や循環その他の状態が悪い状態にあるため24時間体制で管理が必要です。

急性期実習で学べる内容は8つあります。

  • 術前準備やオリエンテーション
  • 患者さまの身体的・精神的な苦痛の理解
  • 観察とアセスメント
  • 術後合併症予防
  • 早期回復のための援助
  • 退院指導
  • 多職種連携と看護師の役割
  • 家族のサポート

急性期の患者さまは、治療・ケア・検査など身体的・精神的苦痛が多いため、軽減を図る看護が重要です。また、異常の早期発見のための観察とアセスメント、合併症の予測と予防の看護も不可欠になります。

急性期実習の振り返りポイント

患者さまの身体的・精神的苦痛を取り除く看護」「合併症の予測と予防の看護」の2点において、印象に残っている患者さまの反応や看護師の行動はありませんか?

患者さまの苦痛を理解する上で、成人期の発達課題や、患者さまをとりまく社会環境も含めてアセスメントすることが大切です。術創の痛みや安静臥床による行動制限、飲食制限などの身体的苦痛だけでなく、患者さまの家庭生活や社会生活にも目を向けて全体像を理解しましょう。

呼吸状態や循環動態が悪い患者さんを管理することから、バイタルサインの観察は重要となります。看護師は、患者さまのどのような反応を観察し、どのようにアセスメントして看護に反映していたでしょうか。どのようなリスクがあると判断して、医師への報告や合併症予防の看護をしていたのかを思い出しましょう。

苦痛を取り除く看護も、合併症予防も早期回復には欠かせない看護です。具体的な患者さまとのエピソードや、看護師がとった行動について振り返って学びをまとめてみてください。

急性期実習の学びレポートテーマ例と書く際のポイント

下記のテーマでレポートを書くと仮定し、構成と内容をご紹介します。

テーマ例

『急性期看護における予測と予防の看護について』

【解説】
急性期看護において、状態変化を予測し予防する看護は重要で、実習目標にも「患者の経過の予測と回復を促進する看護の実践」が挙げられています。予測と予防によって、合併症予防や疼痛緩和、早期離床につながり回復促進が可能です。実際の看護師のアセスメントや判断、必要な知識と技術についてまとめ、今後の課題を明確にしましょう。

実習の特徴と学び

急性期の健康状態の特徴と、予測と予防の看護の必要性を述べます。始めは自分が体験して感じた予測と予防の看護の必要性を記載し、その後に「〇〇によると...。」と文献を使って、引用することをおすすめします。学んだことや考察も一緒に記載してください。

受け持ち患者さまの情報やエピソード

どんな患者さまを受け持ったのか、病名や年齢を始め身体的・精神的・社会的側面から必要な情報を記載してください。成人期の発達課題や、立案した看護問題に関連する情報を入れるとより良いです。患者さまが感じている身体的・精神的苦痛を表現している発言があればエピソードとして記載しましょう。

看護計画の内容や立案理由と、介入した看護と効果・考察

「患者の〇〇の様子や発言を受けて、~~と考察し#1の看護計画を立案した。」のように、立案の理由を述べましょう。実際に看護計画を実施して難しかった点や、実施して良かった点、患者さまの反応を記載し、考察をしてください。

看護師の役割や看護師から学んだこと

実際に看護を提供していく中で、看護師からもらった指導や、看護師はできていたが自分には難しかったエピソードを挙げ、急性期看護における看護師の役割をまとめます。
急性期看護には、レベルの高い観察力とアセスメント力が必要です。看護師が何に注意して観察してアセスメントしていたのか考察しましょう。急性期の看護師の役割や合併症予防の意義に関して文献を使用することをおすすめします。

今後の課題

実習を通して、自分が身につけるべきだと感じた知識や技術をまとめます。知識や技術を身につけるために今後どのようにしていくのか具体的に記載しましょう。

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成人看護学実習Ⅱ(慢性期実習)で学ぶこと

成人看護学実習Ⅱは慢性期実習で、慢性疾患を持つ患者さまが対象です。患者さまのセルフマネジメント能力を引き出すために、日常生活に合わせた指導や自己効力感を高める援助を学びます。

慢性期の患者さまは、呼吸器疾患、脳血管疾患や骨折などの疾患が多く、症状が持続し長期的なケアや管理が必要です。退院後も継続的に、受診、検査、内服、食事制限などができるように、入院中から支援していきます。

慢性期実習で学べる内容は6つあります。

  • 患者さまとのコミュニケーション
  • 病気と共に生活することへの患者さまの思い
  • 日常生活援助の看護技術
  • セルフマネジメント力を引き出し高めるための支援
  • 退院指導やセルフケアの指導
  • 慢性期における多職種連携と看護師の役割

慢性期の患者さまには、病気を受容し今後の人生を病気と共に生きていく方もいます。患者さまの思いを傾聴し寄り添う看護が必要です。退院後もセルフマネジメントができるよう患者さまやご家族とじっくり向き合いましょう。病状の悪化や合併症を防ぎ、日常生活援助などを通して患者さまの生活を支える看護を学べます。

慢性期実習の振り返りポイント

患者さまのセルフマネジメント能力を引き出すこと」において、具体的に介入した看護はありますか?パンフレットを作成したり、治療の重要性を説明したり、退院指導をした学生もいるかと思います。患者さまの病気や治療に対する意識は、学生や看護師の介入で変化したでしょうか。

治療の必要性を理解している患者さまばかりではありません。治療の必要性を理解していても、長期にわたる治療となると不安や悩みを抱える患者さまが多いです。
内服や治療が面倒、インスリン注射の方法が分からない、麻痺を抱えた生活が不安などの患者さまの思いを理解した上で、どのようなことに注意して声かけや指導、援助を行ったか振り返りましょう。

患者さまの健康状態や価値観、退院後の生活に応じて、日常生活援助の方法や指導方法が異なります。その人らしい個別性を重視した看護の重要性についても振り返ることをおすすめします。

慢性期実習の学びレポートテーマ例と書く際のポイント

下記のテーマでレポートを書くと仮定し、構成と内容をご紹介します。

テーマ例

『慢性期の患者さまのセルフマネジメント力を高める意義 』

【解説】
慢性期看護において、セルフマネジメント力を高める看護は重要で、実習目標に挙げられることが多いです。セルフマネジメント力を高めることで、退院後も健康状態の維持や向上、症状の管理、生活の質の向上を目指せます。

実習の特徴と実習での学び

慢性期の健康状態の特徴とセルフマネジメント力の必要性を述べます。実習で学んだセルフマネジメント力の必要性を記載し、その後に「〇〇によると...。」と文献を引用して根拠を入れましょう。学んだことや考察も一緒に記載してください。

受け持ち患者さまの情報やエピソード

どんな患者さまを受け持ったのか、病名や年齢を始め身体的・精神的・社会的側面から必要な情報を記載してください。成人期の発達課題や、立案した看護問題に関連する情報を入れるとより良いです。患者さまの病気や治療に対する思い、退院後の不安を表現している発言があればエピソードとして記載しましょう。

看護計画の内容や立案理由と、介入した看護と効果・考察

「患者さまの〇〇の様子や発言を受けて、~~と考察し#1の看護計画を立案した。」のように、立案の理由を述べましょう。実際に看護計画を実施して難しかった点や、実施して良かった点、患者さまの反応を記載し、考察をしてください。患者さまのセルフマネジメント力向上のために、意識した声かけや援助を記載します。

看護師の役割や看護師から学んだこと

実際に看護を提供していく中で、看護師からもらった指導や、看護師はできていたが自分には難しかったエピソードを挙げ、慢性期看護における看護師の役割をまとめます。
患者さんが治療の必要性を理解していない場合や、治療に否定的な場合の看護師の対応など、具体的なエピソードがあれば記載しましょう。

患者さまのセルフマネジメント力を高めるために、看護師が何に注意して対応していたか、どのような声かけや動機づけをしていたかを振り返り、セルフマネジメント力を高める意義考察しましょう。セルフマネジメント力や自己効力感についての文献を使用して考察することをおすすめします。

今後の課題

実習を通して、自分が身につけるべきだと感じた知識や技術をまとめます。知識や技術を身につけるために今後どのようにしていくのか具体的に記載しましょう。

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成人看護学実習Ⅲ(終末期実習)で学ぶこと

成人看護学実習Ⅲは終末期実習で、人生の終末を生きる患者さまが対象です。
人生の終末を生きる患者さまを受け持ち、より良い日常生活を送るための援助の実際や苦痛緩和について学びます。終末期の患者さまは、病気が治る可能性がなく人生の最期を迎える時が迫っている状態にあります。

終末期実習で学べる事は6つあります。

  • 患者さまとご家族の死の受容
  • 患者さまとご家族が抱えている全人的苦痛
  • 終末期にある患者さまの身体的特徴や病態生理
  • 患者さまへの意思決定支援
  • 苦痛緩和のための医療や看護ケア
  • 看取りの看護

終末期の患者さまが直面する苦痛は多岐にわたるため、患者さまやご家族と向きあい、全人的苦痛を理解することが重要です。苦痛緩和のための医療や看護ケアに加え、多職種連携の実際や看護師が抱く感情、意思決定のサポートについて深く学べます。

終末期実習の振り返りポイント

受け持ち患者さまが終末期に至った経過と現在の状況を、疾患や病態生理、医療の面から振り返りましょう。
患者さまの感じている全人的苦痛を、身体的苦痛精神的苦痛社会的苦痛スピリチュアルの痛みに分類し整理します。最も患者さまが苦痛に感じていることに焦点を当てて看護計画を立てたと思います。患者さまやご家族の発言、表情で印象的に残っていることはありますか?

少しでも苦痛を和らげるために、医療者はチームで協力しています。苦痛緩和に向けてどのようなカンファレンスが実施されていたでしょうか。
多職種で連携する上での看護師の役割や、患者さまとご家族と対応する看護師の姿を中心に振り返り学びをまとめましょう。

終末期実習の学びレポートテーマ例と書く際のポイント

下記のテーマでレポートを書くと仮定し、構成と内容をご紹介します。

テーマ例

『終末期ケアにおける全人的苦痛の理解と看護介入の重要性』

【解説】
終末期の患者さまが最期までより良く生きるためには、実習目標にもある、苦痛緩和の看護ケアが重要になります。患者さまの全人的苦痛や死の受容、意思を理解していないと、患者さまの求める苦痛緩和の看護ケアを提供することは困難です。患者さまの個別性に応じて、苦痛緩和のケアはさまざまあり、ケアの方向性を決めるカンファレンスも多職種間で頻回に行われます。受け持ち患者さまの全人的苦痛と、実施した看護計画をもとに実習の学びをまとめましょう。

実習の特徴と実習での学び

終末期の苦痛の概念と全人的苦痛の理解の必要性を述べます。受け持ち患者さまの抱える全人的苦痛を簡単に例に挙げながら、苦痛の概念や全人的苦痛を理解する必要性について文献を引用して記載しましょう。
苦痛を理解し、どんな看護を提供することが患者さまにとって大切なのかを、学んだことや考察と共に記載してください。

受け持ち患者さまの情報やエピソード

どんな患者さまを受け持ったのか、病名や年齢を始め、終末期に至った経過と現在の状況を簡潔に述べます。
受け持ち患者さまやご家族の死の受容について、キューブラ・ロスの死の受容過程と共に考察やエピソードを交えて書きましょう。受け持ち患者さまの全人的苦痛について、4つの分類に分けて記載し、最も強く感じている苦痛についてはエピソードも交えて詳しく記載します。
社会的苦痛に関しては、成人期の特徴やエリクソンの発達課題もふまえて記載してください。

看護計画の内容や立案理由と、介入した看護と効果・考察

「患者さまの〇〇の様子や発言を受けて、~~と考察し#1(苦痛緩和に関する看護計画)の看護計画を立案した。」のように、立案の理由を述べましょう。
多岐にわたる苦痛の中で、なぜその苦痛に焦点を当てたのか詳細を記載します。実際にT-P立案で看護師に相談したことや看護計画を実施して難しかった点、実施して良かった点、患者さまの反応を記載し、考察をしてください。

看護師の役割や看護師から学んだこと

死の受容について、全人的苦痛について情報を得るのは難しかったのではないでしょうか。実習を通して初めて死を身近に感じた学生もいると思います。
「なんと声をかけて良いのか分からなかった」「ただ頷くことしかできなかった」さまざまな思いを実習で経験したでしょう。

学生には難しかったことを、看護師はどのような声かけや対応をしていたのか振り返り、学びをまとめます。実は看護師も迷うことが多く、患者さまが亡くなった後には「こうしたら良かったのではないか」とたくさん後悔をしています。

患者さまにとっての最善のケアは何か、正解に近づくために看護師間や多職種とカンファレンスを頻回に開きます。看護師も試行錯誤している様子から、それほどまでに終末期看護が複雑であることが学べます。

実際に看護を提供していく中で、看護師からもらった指導や、カンファレンスの内容、苦痛を緩和する寄り添った看護を挙げ、全人的苦痛の理解と看護の重要性をまとめます。

今後の課題

実習を通して、自分が身につけるべきだと感じた知識や技術をまとめます。知識や技術を身につけるために今後どのようにしていくのか具体的に記載しましょう。

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学びレポートの書き方のポイント

レポートは、実習目標の内容に関連づけて、何を学んだのか明確に記載することが大切です。読み手が、最初から最後まで何について述べているのか理解できるように文章を書きましょう。
レポートに記載する内容は、事実でなければなりません。情報やデータに虚偽がないよう、正確な情報を記載してください。

文章の分かりやすさも大切なポイントです。複雑な表現は避けて、分かりやすい表現を心がけましょう。レポートを分かりやすくするためには、文章構成を意識します。序論(テーマや目的)、本論・本文(実習の具体的な内容)、結論(テーマに関する学び、今後の課題)に分けて流れを持たせることが大切です。

レポートには、必ず文献を使用する必要があります。学びや考察だけでなく、考察の根拠を教科書や参考書、文献から引用することで正確性や信頼性を示しましょう。指示通りに適切な引用方法で記載するように注意してください。

以下の記事では、学びレポートのポイントを詳しく説明しています。ぜひ参考にして、レポートをサクッと書き終えましょう!

学びレポートの書き方

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