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看護実習学びレポートの書き方「在宅看護学実習」

看護実習
公開日

在宅看護学実習では、生活の場での看護を初めて経験し、多くの学びを得たのではないでしょうか。
「学びが整理できない」「何から書いたらいいのか分からない」など、学びレポートの作成に悩む学生も多くいます。
この記事では、実習の振り返りポイントや、レポートのテーマ例・構成例を紹介しています。在宅看護学実習の学びレポートを書く参考にしてください。

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在宅看護学実習とは?

在宅看護学実習は、地域で暮らす療養者さまとその家族や、療養環境 、支援システムについて理解を深め、その人らしい生活を支える看護を学習します。
実習場所は、訪問看護ステーションや地域包括支援センターなどです。

訪問看護実習では、訪問看護の見学とともに、受け持ち療養者さまの在宅での看護過程の展開を行います。
地域包括支援センター実習では、シャドーイングを通して役割や事業内容について学びます。
担当する療養者さまは、パーキンソン病や認知症、脳梗塞、筋ジストロフィーなど多岐にわたる疾患をお持ちです。

看護を提供する環境が生活の場である点や、自転車や自動車を使用して訪問する点が特徴であり、病院での実習とは異なります。療養者さまの生活に沿ったケアの提供や、希望や価値観を尊重した看護が求められます。

在宅看護学実習で学ぶこと

治療が目的の病院とは異なり、訪問看護では療養者さまの生活の場にお邪魔させていただきます。療養者さまの生活に合わせたケアや、礼儀正しい態度が重要です。
在宅看護学実習で学べる内容は、以下になります。

  • 訪問看護ステーションの機能・役割
  • 訪問看護師に求められる姿勢や態度
  • 病院と在宅の医療現場の違い
  • 療養者さまと家族を支える多職種や社会資源
  • 地域包括支援センターや保健所の役割、事業内容
  • 地域で暮らす療養者さまと家族の生活の実際
  • 医療保険と介護保険について

医療機器や物品が全て揃っている病院とは異なる環境で、どのような工夫をしてケアを行っているのか学びましょう。療養者さまと家族の希望や生活リズムを尊重したケア、指導内容などもポイントです。地域で生活するために必要な社会資源と制度の活用についても学びます。

在宅看護学実習の学びレポートのポイント

在宅看護学実習の学びレポートを書く上で、療養者さまと家族の生活の実際や、在宅と病院の看護の違い地域包括ケアシステムと多職種連携は重要です。
レポートのテーマ例や内容のポイントをお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

在宅看護学実習を振り返ろう

実習を振り返ると、経験や学びを整理できるため、レポートが作成しやすくなります。受け持った療養者さまの疾患や、生活環境、ニーズを整理しましょう。ケアの工夫や多職種連携や社会資源の学びなど、大切なポイントを振り返ります。

療養者さまと家族の生活の実際とニーズ

療養者さまの家族構成、家族の介護力、生活リズム、希望、困っていることなどを振り返ります。療養者さまが安心して自宅で生活できるように、看護師はどのような点に注意して介入していたでしょうか。
訪問看護で関わる時間は、療養者さまの生活のごく一部です。療養者さまと家族の価値観を大切にしながら、暮らしに寄り添って健康管理を行います。
例えば、糖尿病を持つ認知症の方へ食事指導を行う際に、食事制限や運動指導を積極的に行っても効果は得られません。認知機能や、病識、生活習慣、希望に沿って、その人らしい現在の生活を支える関わりが重要となります。
健康の維持や異常の早期発見が求められますが、療養者さまを尊重し、信頼関係の上に看護の提供がある点を忘れずに学びを整理しましょう。

病院と在宅の医療現場の違い

療養者さまの自宅で看護を提供して、印象的な場面はありますか?
病院は治療を目的にした医療の場であるため、医療機器や物品がそろっており、多職種連携もとりやすい環境です。しかし、在宅看護の現場は生活を送るための住居になります。病院では使えるはずの物品がなく、あるもので代替えしてケアを提供することもあります。
介護する家族の使いやすい物品、コストに配慮した物品、自宅にある空容器や新聞紙を使用など、工夫していた点を思い返しましょう。

多職種や病院との連携のとり方や、療養者さまを24時間どのように支えているのかについて、訪問看護システムについても学びをレポートに記載します。

訪問看護師の役割と求められる態度

訪問看護師は、療養者さまと家族が自宅で安心して生活できるようにサポートする役割があります。具体的な役割には以下の内容が挙げられます。

  • 健康状態の評価
  • 必要な医療ケア(吸引、浣腸、経管栄養、胃ろう処置など)の提供
  • 介護予防
  • リハビリテーション
  • 褥瘡の処置・予防
  • 認知症・精神疾患のケア
  • ターミナルケア
  • 薬の相談・指導
  • 医療機器の管理
  • ご家族への介護支援・相談・指導
  • ケアマネジメント

療養者さまや家族と信頼関係を築くことが重要であり、人間性豊かで思いやりのある態度が求められます。医療従事者が主体である病院と違い、在宅では療養者さまと家族が主体になります。訪問させていただいている意識を持つことが大切です。
重要な役割を果たすためにも看護スキルや知識が必要であり、以下の能力も求められます。

  • コミュニケーション能力
  • 観察力
  • 判断力
  • 幅広い医療知識
  • 安全で確実な看護技術
  • 療養者さまと家族の主体性・個別性の尊重
  • 指導能力
  • 予測能力

限られた時間の関わりで、訪問のない間の生活も支えられるようにケアや声かけを行います。家族の健康や介護力にも配慮し、療養者さまの生活全体をサポートすることが大切です。

療養者さまと家族を支える多職種や社会資源

療養者さまに必要な支援は看護だけでなく、治療・家事・介護・教育・楽しみなど多岐にわたります。医師・薬剤師・理学療法士・保健師・ケアマネジャー・ソーシャルワーカーなどといった多職種の連携が必要です。

訪問看護ステーションの他にも、在宅診療、介護サービス、家事・買い物サービス、移送サービス、デイサービスなど、多くの社会資源があります。さまざまな社会資源を組み合わせ、療養者さまと家族が自宅で安心して暮らすための環境を整えることが大切です。

担当した療養者さまと家族は、どのような希望があって何のサービスを使用していましたか?
多職種連携が必要な場面を見学できた場合は、事例と学びをレポートに記載しましょう。

地域包括支援センターの役割

地域包括支援センターは、地域全体の健康と福祉を促進するために、専門職や地域資源と協力し、包括的なサービスを提供しています。
包括的な支援には、看護師や社会福祉士、介護支援専門員等各職の役割・協働・連携が欠かせません。医療職種だけでなく、民生委員や地域の人との関わりが大切であり、住民が住みやすい地域を作っています。
地域包括支援センターでは、多職種の働きを学ぶためにケアマネジャーや看護師に同行して活動を見学します。
以下は見学できる活動の一例です。

  • 地域ケアマネジャー連絡会
  • デイサービスにおける、新規利用者の情報共有
  • 介護予防サービス・支援計画表の確認の療養者さま訪問
  • 2次予防事業の教室
  • 認知症サポーター養成講座
  • 地域の高齢者配食サービスの調査

実際に同行して見学を行った活動や、学びをレポートに記載しましょう。
地域包括支援センターは、療養者さまと医療機関や施設とを結びつけ、安心して社会資源を利用しやすい環境に整える役割があります。
地域において、健康問題を抱える人々を継続的に支援する、また現在健康な方への介護予防・健康問題予防は重要です。看護師は医療的な役割だけを担うのではなく、業務の枠に縛られずに職種関係なく役割を果たし、人々が暮らしやすい地域をつくっています。

在宅看護学実習の学びレポートテーマ例

訪問看護実習と地域包括支援センター実習の学びレポートのテーマと簡単な構成の例を紹介していきます。学びが多く、実習目標を達成できたテーマを選択しましょう。

訪問看護実習の場合、役割や求められる支援、療養者さまと家族との信頼関係構築について学んだことをまとめましょう。療養者さまの生活を乱すことのないよう、看護師が配慮していた点や、ケアの工夫について書くことをおすすめします。

地域包括支援センター実習の場合、実際に見学した活動や療養者さまの事例をふまえて、地域包括センターの役割や事業内容の学びをまとめると良いでしょう。

学びレポートのテーマ例をみる

療養者さまを受け持って学んだ内容についてのレポート

テーマ例

訪問看護実習

『療養者の意思を尊重した在宅看護』
『療養者の生活を支える訪問看護師の役割』
『療養者と家族を支える多職種連携』

地域包括支援センター実習

『地域包括支援センターにおける多職種連携の重要性』
『地域における介護予防・健康問題予防の重要性』
『地域包括支援センターにおける看護師の役割』

構成

1.実習の学び

(例)訪問看護実習
訪問看護実習において、療養者と家族の意思を尊重し、個別性に応じた看護の提供を行うことが重要であると学んだ。在宅看護は生活の場で提供され、主体は療養者と家族である。その人らしい生活を支えるためには、療養者の人生の価値観や希望を尊重し、暮らしに寄り添うことが重要である。

文献や看護研究の結果を使用し、根拠を追加します。訪問看護の特徴や求められる姿勢、重要なスキルについて文献を使用しながら学びを記載しましょう。

2.関わった療養者さまや家族の情報とエピソード

(例)地域包括支援センター実習
子どもの不登校、祖母の認知症、母の鬱病、父の介護疲れといった事例があった。一つの家族内に多くの問題が併発している家族が地域には存在しており、病院では患者1人の治療、看護を行うことが多く併発している問題までは発見されないことが多い。この事例は、近所の方の連絡により発見できたと説明を受け、病院だけの関わりでは健康問題を抱えている人の生活全体の支援は不十分であることを痛感した。

年齢、疾患、生活背景、ニーズなど、療養者さまと家族の紹介をします。訪問を行っていて、印象に残るシーンや学びのあった場面を事例として記載します。療養者さまと家族の発言や反応、看護師とのやりとりについて具体的に記載してください。

3.介入した看護と効果・考察

自分が実際に見学・実施したケアと、入所者さまの反応を記載します。療養者さまの自宅でケアを提供する上で配慮した点看護師からの助言を記載しましょう。上手くいかなかったことでも、考察や改善策について記載します。文献や看護研究の結果、学者の理論を使用し、根拠を追加しましょう。
地域包括支援センター実習は、主に見学実習であるため、実施したケアがなければ記載がなくても問題ありません。見学した活動や、印象に残るシーン、学びのあった場面について、文献を使用して考察しましょう。

4.看護師の役割や看護師・他職種から学んだこと

看護師の対応や、考え方、看護師・他職種から指導を受けた内容について、学びを記載します。テーマに関する学びの重要性を再度明確にしてください。

5.今後の課題

実習での学びを今後の看護にどう活かしていくのか書きましょう。自分が身につけるべきだと感じた知識や技術の獲得のために、どんなことを実施するのか具体的に記載します。

学びレポートの書き方のポイント

実習の学びレポートを効率的に書くためには、特に学びのある内容達成した実習目標に焦点を当てて書くことが大切です。例に挙げた構成を使って、療養者さまの事例や自分の気づき、考察を詳細に表現しましょう。教科書や参考書、文献からの引用は、忘れずに行ってください。自身の成長と学びを伝えると同時に、レポートを書きながら学びを掘り下げていくことで、在宅看護学についての理解も深まります。

以下の記事では、学びレポートの書き方を詳しく説明しています。ぜひ活用して、学びの深いレポートを完成させましょう。

学びレポートの書き方

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