看護師の働き方は、病院や病棟の役割によって異なります。
その指標となるのが看護体制と看護方式です。
1つの病院でも、病棟ごとに異なりますので、
看護体制と看護方式について詳しく確認しておきましょう。
看護体制とは?
看護体制とは、病棟ごとの入院患者数に対して何人の看護職員が配置されているかを表します。2対1、3対1、4対1、7対1、10対1、13対1、15対1などの分類があります。7対1の場合では、入院患者7名を看護師1名が受け持つことを表しています。看護師の人数は、その病棟の役割と患者の状態から何人配置されるか決まります。
ICU(集中治療室)・HCU(高度治療室)などでは、重篤な症状の患者や、救急患者のうち継続的な状態管理が必要な患者など、急性期の重症患者を受け入れています。強力かつ集中的な看護が必要であるため、看護師1人が受け持つ人数は少なく配置されています。
SCU(脳卒中ケアユニット)の多くで取り入れられている看護体制です。急性期の脳血管障害の患者を受け入れる専用の病床で、専門的かつ、集中的に患者を治療する必要があります。
大学病院や、基幹病院、総合病院の急性期病棟では患者の病状変化や患者の入れ替わりが激しいため、1人の看護師が受け持つ人数を減らし、手厚く看護する必要があります。
慢性期病棟や精神病棟、回復期リハビリテーション病棟では病状が安定しており、入院期間も長く、入れ替わりも少ないため、1人の看護師が10名以上の入院患者を受け持つことが多くあります。
忙しさの指標の1つにはなりますが、
受け持つ入院患者の人数が「多い」・「少ない」だけで判断せずに、
その病院・病棟の役割をよく理解しましょう。
看護方式とは?
看護方式とは、看護師が病棟において、適切な医療や看護をどのように進めていくかを表すものです。看護方式の種類はいくつかあり、代表的なものとして挙げられるのが、「チームナーシング」と「プライマリーナーシング」の2種類になります。この2つをもとにした「固定チームナーシング」や「モジュールナーシング」「パートナーシップ・ナーシング(PNS)」といった看護方式もあります。
チームナーシング
1つの病棟に配置されている看護師を複数のチームに分け、チームごとに一定の患者さまを受け持つアメリカで開発された看護方式です。チームリーダーを中心とし、経験年齢、能力、専門分野などの異なるメンバーで編成され不足している能力はチームで補い、一定水準の看護を患者さまに提供することができます。経験が浅い新人看護師などはチームでフォローを受けながら、経験を積むことができます。チーム制のため1人にかかる責任や負担も比較的減らすことができます。
看護過程の展開もカンファレンスなどを通して、チームで情報共有ができ、協同意欲が湧きやすくなる方法です。自分には無い視点などにも気づき、患者さまにも多角的に関わることができます。
- 新人看護師など経験の浅い看護師を配置できるので、成長を期待できる
- 患者さまに一定水準の看護を提供できる
- 個人で不足している能力は、チームで補える
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プライマリーナーシング
1人の患者さまを1人の看護師が、入院から退院まで一貫して受け持つ看護方式です。担当ナース(プライマリーナース)が、看護計画を立案し、自らケアを実践します。プライマリーナースが休みの時は、プライマリーナースが立てた看護計画に沿って、サポートナースが代わりに看護を行います。
患者さま一人ひとりに合わせた看護を個別に提供でき、患者さまの細かい病状や心理変化にも気づき、質の高い看護が提供できます。患者さまを入院から退院まで支援するため、やりがいになります。主体性が最も発揮され、自分の看護観を反映させて仕事が行えます。
- 患者さま一人ひとりに合わせた看護を提供できる
- 看護師の責任感や自立心を養うことができる
- 入院から退院まで支援をするため、やりがいを感じられる
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固定チームナーシング
チームナーシングでは、メンバーを日や週単位で入れ替えることによって一定水準の看護を維持しますが、「固定チームナーシング」は、一定期間(半年~年単位)、メンバーやリーダーを固定する看護方式です。ある程度メンバーが固定されることによって、コミュニケーションがとりやすく、効率的に看護ケアを学ぶことができます。チームナーシングとプライマリーナーシングの両方の特徴を持つ看護方式です。
- 担当看護師がはっきりしているので患者さまが安心する
- 担当看護師が休みでも、チーム内で状況を把握しやすい
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モジュールナーシング
モジュールナーシングは日本独自の看護方式となります。
日本は欧米のように看護師の数を確保することが難しいため、チームナーシングとプライマリーナーシングの利点を取り入れてつくられました。モジュールナーシングでは、1つの病棟に所属する看護師を2つ以上のチームに分割し、そして、そのチームをさらに数名ずつのモジュール(単位)に分けるため、チームナーシングよりも少なくなります。患者さまに集中して関わることができ、入院から退院までを一貫して受け持つことができるため、やりがいを感じられます。
- チームナーシングより患者さま一人ひとりに合わせた看護を提供できる
- 個々の患者さまに合わせた看護計画を立てられる
- 個人で不足している能力は、チームで補える
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PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)
PNSは福井大学医学部附属病院看護部発祥の新しい看護提供体制です。2人の看護師がペアを組んで複数の患者さまを受け持ち、対等な立場でお互いの特徴や能力を活かしながら補完・協力し合う看護方式です。
パートナーとなった2人の看護師は、お互いに補い合って看護業務を進めていきます。経験の浅い新人看護師とベテラン看護師を組ませることができるので、成長を期待することができます。通常はPNSだけではなく、他の看護方式と組み合わせて実施されることが多いです。
- 看護の質を補い合うことができる
- パートナー同士の技術や知識の補完ができる
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