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新卒看護師が中小規模病院で働くメリットは?病院選びのポイントを解説

就活
公開日

新卒看護師は大きい病院で経験を積んだ方がいいの?と思うことはありませんか?
中規模・小規模の病院で働くと看護技術が身につき、幅広い看護を学ぶことができるため 、専門性を高めたキャリアアップの実現も可能です。
この記事では新卒で中規模・小規模病院に就職するメリット・デメリットや、病院選びのポイントを解説します。

大きい病院と中規模・小規模病院の定義とは?

医療法においては20床以上の病床を有するものが「病院」、病床がない場合や19床以下の病床がある施設は「診療所」とされています。

よく見かける「総合病院」が大きい病院とイメージする人も多いでしょう。大きい病院・中規模・小規模病院の区分に関しては、かつては診療科数や設備に基準がありましたが、現在は法的な定義はなく、個人の感覚と見解にゆだねられます。

厚生労働省の「平成8年受療行動調査の概要」によると、 小病院(20床~99床)・中病院(100床~499床)・大病院(500床以上)と分類されていますが、調査書によっては分類が異なります。

大きい病院かどうかを判断する際に、患者さまが紹介状なしで受診すると特別な費用「選定療養費」がかかる点が目安の一つになるでしょう。紹介状がなければ7,000円以上、再診では3,000円以上の特別な費用を支払います。これは、厚生労働省が医療機関の機能分担を目的に定めた制度によるものです。

「特定機能病院」や「原則として200床以上の地域医療支援病院」を受診した場合にあてはまります。
なお、緊急の状態や公費制度の受給者などは選定療養費の負担が免除されることがあります。

用語の説明

【特定機能病院】高度の医療を提供する病院で、厚生労働省が個別に承認したもの。
【地域医療支援病院】地域医療の確保を図り、かかりつけ医を支援する能力を備える病院で、都道府県知事が個別に承認したもの。

なお、規模が小さい医院やクリニック、○○内科と呼ばれる医療機関は19床以下の病床数であるため「診療所」であり、小規模病院ではありません。

新卒看護師は中規模・小規模病院で働ける?

新卒から中規模・小規模病院で働き始めると看護師としてスキルアップすることができます。
ここでは、中規模・小規模病院で働くことのメリット・デメリットについて説明します。

中規模・小規模病院で働くメリット

新卒看護師が中規模・小規模病院で働くメリットについて解説します。

幅広く学べる

職場にもよりますが、採血や点滴などの基本的看護技術が身につき、さまざまな実践により幅広く看護を学ぶことが可能です。

業務は細分化されていないことも多いため、技師や事務職など他職種の仕事内容を知ることもあります。院内のスタッフと顔見知りになる機会も多くなり、仕事で頼りにされるとやりがいにつながるでしょう。
幅広い知識をもってさまざまな業務をこなす看護師は「ジェネラリスト」と呼ばれています。

専門的に働ける

大きい病院で働かなくても専門看護師や認定看護師の資格を取得し、専門性を高められます。
以下に方法の一部をご紹介します。

  • 救急体制が充実している病院で働き、急性・重症患者専門看護師やクリティカルケア認定看護師になる。
  • SCU(脳卒中集中治療室)、NCU(脳神経外科集中治療室)で働き、脳卒中看護認定看護師になる。
  • がんの専門病院で働き、がん専門看護師や緩和ケア、がん薬物療法看護、乳がん看護などの認定看護師になる。
  • 精神科病院で働き、精神看護専門看護師になる。
  • 透析を扱う病院で働き、腎不全看護の認定看護師になる。

専門的な資格を持って働く看護師は「スペシャリスト」と呼ばれ、キャリアアップの選択肢は多いです。

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自分の役割を認識できる

中規模・小規模病院で働くと地域に密着したケアが行え、身近な問題に関われる点がメリットです。世間で流行している病気に関しても素早く情報が得られ、自分の家族の健康相談にも対応できます。

また、規模が小さいと柔軟な対応により個人の意見が反映されることがあります。組織の中で自分の役割を認識でき、やりがいにつながるでしょう。

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中規模・小規模病院で働くデメリット

大きい病院と比べたときの違いに注目して解説します。

治療内容の違い

大きい病院には複数の診療科があり、それぞれが細分化されているため看護師の専門的な知識が深まります。授業では習わなかった難しい症例を担当することや、新しい検査や器具が導入されるなど最新の治療に関われます。一方で中規模・小規模病院では骨折や糖尿病などの一般的な治療が行われることが多く、大きい病院で対応するような患者さまの看護ができません。

病床数が少ない場合でも、脳外科や整形外科などに特化した専門病院で働くと専門性が高まります。興味のある領域専門の中規模・小規模病院で働くことにより看護を極めることができるでしょう。

専門領域を深めたい!専門病院特集

スタッフの数や年齢

人員が多いと比較的休みやすく長期休暇に海外旅行を楽しむ人もいますが、スタッフが少ないと休みが取りづらく、プライベートに影響が出るケースもあります。

また、スタッフが多いと幅広い年齢層の方が働いているため同年代の先輩看護師や医師がいますが、小さい病院はスタッフが少ないため、世代が異なる人に囲まれることも少なくありません。

多くの同期看護師がいると励みになる反面、自分と同期の仕事のでき具合を比べてしまうため 、小規模組織の方が向いている人もいます。
病院によっても違うため、病院見学会に行って働いている人の話を直接聞いてみることをおすすめします。

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給与や複利厚生面

日本看護協会の実態調査によると新卒の税込み給与総額は月額平均26~27万円程度で、病床数別にみても大差はありません。

出典:2022年病院看護・助産実態記録「病床規模別:看護職の給与」

しかし、勤務10年の看護師で見ると400床以上の病院の給料は月額平均34万~35万円であるのに対し、200床以下の病院では給与平均が月額31万円と3~4万の差があります。

出典:「設置主体別:看護職の給与」

給与額は夜勤手当や住居手当などでも変動し、病院が一定の設置基準を満たしていれば「診療報酬」で定められた加算が上乗せされる場合もあります。

大きな病院では育休・産休などの休暇制度、従業員やその家族への支援制度が充実しているなど、福利厚生面でも好待遇の場合が多いです。
職員への給与額は経営母体によって変わるため、中規模・小規模病院でも納得できる給料が受け取れる場合もあります。

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中規模・小規模病院選びのポイント

実際に病院を選ぶときのポイントをみていきましょう。

医療機能で選ぶ

急性期がメインであると急変時の対応力が身につき、慢性期はゆっくりと患者さまと関わることが可能です。回復期はリハビリテーションが中心となり、在宅へ向けた社会資源の活用についても学べます。
自分がどのような看護を行いたいのかしっかり考えてみてください。

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診療科で選ぶ

興味が持てる分野で選ぶこともポイントです。近年はインターネットの普及により、患者さまや家族も疾患や治療についての知識が豊富にあります。専門職として働く看護師は日々学習を深める必要があり、興味が持てる分野かどうかが重要です。

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新人教育が充実している

充実した新人教育が受けられる病院を選びましょう。多くの病院では施設ごとに定められたクリニカルラダーを使用しています。ラダーには「はしご」の意味があり、看護師のラダーとは一段ずつ登るようにキャリアアップする評価システムのことです。

マンツーマンで教育や指導を行う「プリセプター制度」や「メンター制」「エルダー制」など病院によってサポート制度は違ってきます。スタッフの年齢が近ければお姉さん的な存在として頼ることができ、経験豊富な看護師がいる病院では新人を温かく迎え育ててくれるでしょう。

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夜勤体制をチェック

入院施設のある病院では夜勤が避けられません。二交代制か三交代制、当直制などもチェックします。夜勤によりプライベートへの影響は必須で、自身の健康状態も考えて病院を選ぶことが大切です。

病院の体制を知っておく

経営の母体がグループ化されていると転勤が叶うことがあります。新卒で就職したものの仕事内容が合わない場合は、退職せずに済むでしょう。また、院内に病棟や外来など配属部署が多くあると異動で違った仕事内容に取り組むことが可能です。

グループ病院って働きやすいの?

中規模・小規模病院から始めるキャリアアップ

中規模・小規模病院で働くと幅広い看護を行うジェネラリストとして働くことや、学びを深めスペシャリストとしてスキルアップすることも可能です。

規模が小さい病院では柔軟な対応により、個人の意見が反映されやすい場合もあります。自分が社会に役立っているという充実感を味わうことができ、やりがいにつながるでしょう。
病院選びのポイントをチェックして、自分に合った職場を見つけてください。

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