
新人看護師は病院へ入職後、1年間の新人教育プログラムを受けます。
厚労省が策定したガイドラインに沿った教育内容になるので、
病院によって大きく内容が異なることはありません。
それとは別に病院独自の教育内容があったり、グループ病院の場合は
そのグループ全体の研修があったりするので、病院ごとに異なる部分も出てきます。
新人教育も病院選びのポイントになりますので、
まずは内容を把握できるようにしておきましょう!
プリセプター制度

多くの病院で採用されている制度になります。
1人の新人看護師(プリセプティー)に、1人の先輩看護師(プリセプター)が付き、看護技術や看護現場にてフォローを行ったり、メンタル面でのサポートを行います。プリセプターは、プリセプティーと年齢の近い先輩が担当する場合が多いです。主にメンタル面で支えとなり、看護現場への早期適応を促していきます。病院によっては、プリセプター以外にも教育担当者や実地指導者が別で設定されている場合があります。いずれにせよ、プリセプターのみが新人看護師を育てるのではなく、看護部長をはじめ看護部全体でサポートしていく病院が多いようですので、そういった違いを見つけて、自分に合った病院を探してみましょう。
新人教育の年間スケジュール

新人教育は、通常年間スケジュールが組まれています。このスケジュールに沿って、集合研修や看護技術の練習を行うのと併せて、病棟での研修(OJT)を通じて一人立ちを目指していきます。
4月 | 入職オリエンテーション |
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5月 | 日常生活援助 看護技術の演習期間 |
6月 | |
7月 | 患者さまの受け持ちを開始 |
8月 | |
9月 | 複数の患者さまの受け持ちを開始 |
10月 | |
11月 | |
12月 | 特殊な検査・処置の準備 |
1月 | 介助が1人でできる |
2月 | |
3月 | 1年の振り返り&次年度の目標設定 |

- ●夜勤研修の開始時期
- ●患者さまの受け持ち開始時期
- ●看護技術研修の進捗
- ●病棟配属時期
クリニカルラダー

クリニカルラダーとは、日本看護協会が開発した看護師の能力開発・評価システムのことです。看護実践能力を段階的に表し、看護師の能力を把握することができる指標です。ラダー(ladder)とは、「はしご」を意味しており、一段一段キャリアを向上させていく仕組みを表しています。
今ではほとんどの病院でクリニカルラダーが導入されています。基本的な内容は日本看護協会が開発したものがベースとなっていますが、病院独自の研修やグループ病院共通の研修がある病院もありますので、看護部パンフレットの教育内容は細かく確認してみましょう。複数の病院を見比べてみると病院ごとの違いが分かりやすいので、パンフレットの内容はよく確認するようにしましょう。

- ●レベルⅠ
基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する - ●レベルⅡ
標準的な看護計画に基づき自立して看護を実践する - ●レベルⅢ
ケアの受け手に合う個別的な看護を実践する - ●レベルⅣ
幅広い視野で予測的判断をもち看護を実践する - ●レベルⅤ
より複雑な状況において、ケアの受け手にとっての最適な手段を選択しQOLを高めるための看護を実践する
レベルの説明
病院に入職した新人看護師はレベルⅠからはじまり、1年間の新人教育を受けます。2年目からすぐに一人前になれるわけではなく、個人の習熟度により段階的にレベルが上がっていきます。レベルⅤを終了したあとは、それぞれの希望や特性から、「スペシャリスト」「ジェネラリスト」「マネジメント」と、キャリアアップの道が分かれてきます。
どのように活用される?
クリニカルラダーは、師長や指導者と面談する時に使用されます。レベルごとに求められる課題が明確なので、目標を立て振り返りを行った時に、自分が今どこの段階にいて何を目指していけばよいのかを確認することができます。指導者のメリットとしては、到達目標に応じた適切な評価を行えることです。
病院独自の教育制度

独自の教育や研修を取り入れている病院も多くあります。特に、グループ病院や大学病院は、独自の教育制度がある場合が多いです。教育制度は病院を選ぶ際に重要なものになります。新人教育だけではなく、今後、どのようなキャリアアップができるか、それぞれの病院の特徴を病院パンフレットや病院ページの「新人教育ページ」を見ながら確認しておきましょう。
グループ病院
グループ全体で統一されたオリジナルのクリニカルラダーを取り入れている病院がほとんどです。ベースは日本看護協会のクリニカルラダーですが、グループ病院の理念や看護観を取り入れたものになっています。グループ全体の学会や、地域別で分けた研修などを行っているところもあります。キャリアアップに関しては、認定看護師が講師となる研修会や、資格取得の支援制度、管理職の育成など、教育・研修面で平均して充実しているのがグループ病院の教育の特徴です。
大学病院
大学附属の病院になるので、教育や研修面が特に充実しています。大学の図書館や看護技術を学べる施設・機器など環境面の充実度は大学病院ならではと言えます。教える側(教育担当者・管理者など)の教育も充実しているので質の高い教育を受けることができます。
さまざまなキャリアアップの道が用意されていて、スペシャリスト、ジェネラリスト、マネジメント以外でも、大学の教員や実習学生の指導員などを目指すことができます。大学院への進学や資格取得の際も、さまざまなサポートが用意されているので、継続したキャリアアップが可能です。
その他
各部署を体験できるローテーション研修や、訪問看護・介護施設などの研修がある病院もあります。