看護実習学びレポートの書き方「基礎看護学実習Ⅰ」
基礎看護学実習Ⅰは、看護学生が初めて患者さまと関わり、病院や看護師の仕事を実際に見学・体験する大切な実習です。基礎看護学実習Ⅰのレポートでは、患者さまとの関わりを通して感じたことや気づいたこと、教科書で学んだ知識と実際の看護の違いを振り返り、今後の課題につなげることが重要です。
この記事では、基礎看護学実習Ⅰで学ぶ内容や、学びレポートを書くときのポイント、テーマ例と構成について解説します。
基礎看護学実習Ⅰとは?
基礎看護学実習Ⅰは、看護学生が初めて医療・看護の現場に入り、患者さまや療養環境、看護師の役割について学ぶ実習です。実習の時期や内容は学校によって異なりますが、入学後の早い段階で実施されることが多く、看護学生にとっては「看護師になるための第一歩」となる実習といえるでしょう。
基礎看護学実習Ⅰでは、受け持ち患者とのコミュニケーションや病棟の見学、看護師の援助場面の見学などを通して、患者さまがどのような環境で療養生活を送っているのかを理解します。
実習では、まだ多くの看護技術を一人で実践できる段階ではないため、清潔援助や移動介助などの技術を実施するよりも、患者さまの様子を観察したり、会話を通して患者さまを理解したり、看護師の行動を見学したりすることが中心となる場合があります。
そのため、基礎看護学実習Ⅰの学びは、「何を実施したか」だけではありません。
- 患者さまはどのような思いで入院生活を送っているのか
- 看護師は患者さまの何を観察しているのか
- 病院という環境は患者さまにどのような影響を与えているのか
- 患者さまにとって安全で安楽な看護とは何か
このような視点を持ちながら、実際の看護を学ぶことが重要です。
基礎看護学実習Ⅰでは、看護師の仕事を間近で見ることで、講義や教科書だけでは理解しにくい看護の実際を知ることができます。患者さまとの関わりを通して、自分が考えていた看護師のイメージが変化することもあるでしょう。
基礎看護学実習Ⅰで学ぶこと
基礎看護学実習Ⅰでは、患者さまとの関わりを中心に、看護の基本的な考え方や看護師の役割について学びます。
実習で学ぶ主な内容は以下のとおりです。
- 患者さまとのコミュニケーションを通した患者理解
- 患者さまの身体面・精神面・社会面への関心
- 病棟や病室などの療養環境の理解
- 患者さまの個別性に合わせた看護の必要性
- 安全・安楽に配慮した看護
- 看護師の役割と専門性
- 看護師と他職種との連携
- 医療者としての態度や責任
- 守秘義務や個人情報保護の重要性
- 自分自身の看護に対する考え方や課題
患者さまとのコミュニケーション
患者さまとの会話を通して、患者さまの生活背景や入院生活への思い、病気や治療に対する不安などを知ることができます。
同じ病気で入院している患者さまであっても、年齢や生活背景、家族構成、価値観などは異なります。そのため、患者さまを理解するためには、疾患名や症状だけを見るのではなく、一人の人として関わることが大切です。
また、コミュニケーションでは「何を話したか」だけでなく、患者さまの表情や声の大きさ、会話の間、視線などから気持ちを考えることも重要です。
療養環境の理解
病室の構造やベッド周囲の環境、ナースステーションの位置、患者さまの移動経路などを観察することで、療養環境が患者さまの安全や安楽にどのように関係しているのかを学びます。
例えば、ベッド周囲に物が多い場合、転倒につながる可能性があります。また、ナースコールの位置が患者さまの手の届く場所にあることは、安心して療養するために重要です。
環境整備は単に「きれいにすること」ではなく、患者さまが安全かつ安楽に過ごせる環境を整える看護の一つです。
患者さまの個別性に合わせた看護
看護では、すべての患者さまに同じ援助を行えばよいわけではありません。患者さまの年齢、身体機能、生活習慣、価値観、病状、治療内容などによって必要な看護は異なります。
例えば、同じ「移動する」という行動でも、歩行が自立している患者さまと、ふらつきがある患者さまでは必要な援助が異なります。
患者さまを観察し、その人に必要な援助を考えることが、個別性を踏まえた看護につながります。
安全・安楽への配慮
看護師は、患者さまに危険がないか、苦痛や不快感がないかを常に考えながら行動しています。ベッドの高さ、点滴ルートの位置、患者さまの姿勢、周囲の物品など、看護師が何気なく確認していることにも、安全や安楽を守るための意味があります。
実習では、看護師がどのような場面で危険を予測し、どのように患者さまの負担を減らしているのかに注目してみましょう。
看護師の役割
看護師は、患者さまの身の回りの援助を行うだけではありません。患者さまの状態を観察し、変化を早期に発見し、必要に応じて医師や他職種へ報告・相談する役割があります。また、患者さまや家族に治療や生活について説明したり、患者さまの思いを医療チームに伝えたりする役割も担っています。
実習では、看護師が患者さまと医療者の間でどのような役割を果たしているのかを観察することが大切です。
他職種との連携
医療は看護師だけで行うものではありません。
- 医師
- 薬剤師
- リハビリテーション職
- 管理栄養士
- 医療ソーシャルワーカー
など、多くの職種が関わっています。患者さまの状態や生活を支えるためには、それぞれの専門職が情報を共有し、協力する必要があります。
実習では、看護師が他職種とどのように情報共有をしているのか、また看護師がチームの中でどのような役割を担っているのかを学ぶことができます。
基礎看護学実習Ⅰのレポートのポイント
基礎看護学実習Ⅰのレポートを書く上では、
- 実習で何をしたか
- そこから何を考えたか
- 今後どうしたいか
の3つが大切になります。単に見学した内容や患者さまとの会話を並べるだけでは、学びが伝わりにくくなります。
見学・体験した内容を具体的に振り返る
まずは、実習中に自分が見たこと、聞いたこと、体験したことを振り返ります。
「看護師の清潔援助を見学した」
「患者さまと会話をした」
「病棟の環境を見学した」
というように、事実を整理します。ただし、レポートでは「見学した」「話をした」と書くだけで終わらせないことが大切です。
例えば、「看護師が患者さまに声をかけながら援助を行っていた」という事実だけでなく、
「援助の前に患者さまへ説明し、途中でも痛みや疲労の有無を確認していた。患者さまが安心して援助を受けるためには、技術だけでなく、説明や声かけが重要であると考えた」
というように、自分の考えまで書くと、学びが伝わりやすくなります。
患者さまとの関わりで感じたことを考える
基礎看護学実習Ⅰでは、患者さまとのコミュニケーションが重要な学びになります。
患者さまと会話をしたときには、「どんな話をしたか」だけでなく、「患者さまはどのような様子だったか」「自分は何を感じたか」を振り返りましょう。
例えば、患者さまが自分から病気について話してくれた場合、「患者さまが話しやすい雰囲気をつくることの大切さを感じた」と考えることができます。
反対に、会話が続かなかった場合も、それは大切な学びです。
「自分が質問を続けることに集中しすぎてしまった」
「患者さんの表情や反応を十分に観察できなかった」
「患者さんの疲労を考慮した声かけが必要だった」
など、自分の関わりを振り返ることで、今後の課題が見えてきます。
教科書での学びと実際の現場の違いを考える
基礎看護学実習Ⅰでは、講義や教科書で学んだ知識を実際の現場で確認することができます。しかし、実際の看護は教科書どおりに進むとは限りません。
例えば、教科書では患者さまへの声かけの方法を学んでいても、実際には患者さまの表情や体調を見ながら、声をかけるタイミングや言葉を考える必要があります。
「教科書では患者さまへの説明が重要だと学んでいたが、実際の看護師は患者さまの理解度を確認しながら、わかりやすい言葉に言い換えていた」
というように、知識と実践を結びつけることで、学びが深まります。
今後の自分の課題につなげる
レポートの最後には、実習を通して明らかになった自分の課題を書きます。「もっとコミュニケーション能力を高めたい」というだけでは、やや抽象的です。
「患者さまに質問することに集中し、患者さまの表情や反応を十分に観察できなかった。そのため、今後は質問内容だけでなく、患者さまの非言語的な反応にも注目し、相手のペースに合わせたコミュニケーションを意識したい」
というように、実習中の具体的な経験と関連づけると、より説得力のある内容になります。
基礎看護学実習Ⅰのレポートテーマ例
基礎看護学実習Ⅰのレポートでは、実習目標や自分が特に印象に残った経験をもとにテーマを選びます。
例えば、以下のようなテーマが考えられます。
『患者さまとのコミュニケーションを通して学んだ患者理解』
『患者さまとの関わりから考える看護師に必要なコミュニケーション』
『療養環境の観察を通して学んだ安全・安楽への配慮』
『看護師の患者さまへの関わりから学んだ看護師の役割』
『患者さまの個別性に合わせた看護の必要性』
『患者さまの言葉や表情から考えた患者理解』
『病棟での看護師の役割と多職種連携』
『基礎看護学実習Ⅰを通して考えた自分の看護観』
『初めての臨地実習で学んだ医療者としての態度』
『実習で明らかになった自分の課題と今後の学習』
テーマを選ぶときは、実習中に自分が実際に体験したことや、強く印象に残っている場面を選ぶと書きやすくなります。
実習の学びを活かして、自分の考えを述べるレポート
テーマ例
『療養環境の観察を通して学んだ安全な環境づくり』
『患者さまの安全・安楽を守る看護師の役割』
『療養環境から考える看護の重要性』
『病棟環境と患者安全の関係』
『看護師の環境調整から学んだ安全・安楽』
構成(基本の流れの説明)
1.実習の学び
療養環境は患者さまの安全や安楽に大きく関係していることを学んだ、というように、レポートの中心となる学びを書きます。
私は基礎看護学実習Ⅰを通して、患者さまが安心して療養生活を送るためには、安全で安楽な療養環境を整えることが重要であると学んだ。実習前は環境整備は病室をきれいにすることだと考えていたが、実際には患者さまの身体状況やADLに応じて環境を調整し、転倒や転落を予防するための重要な看護であることを理解した。
2.関わった患者さまの情報と具体的なエピソード
患者さまの個人情報に配慮しながら、必要な範囲で患者さまの状況を説明します。そのうえで、実際にどのような会話や関わりがあったのかを具体的に書きます。「患者さまがどのような発言をしたか」「そのときの表情や様子はどうだったか」「自分はどのように対応したか」を振り返るとよいでしょう。
受け持ち患者は歩行時にふらつきがあり、点滴をしながら病室内を移動していた。看護師は患者さまが移動する前に点滴ルートの位置を確認し、足元に障害物がないかを確認していた。また、ナースコールを手の届く位置に置き、必要時にはすぐに援助を求められるよう環境を整えていた。この場面を見学し、患者さまが安心して生活できるよう細かな配慮が行われていることを学んだ。
3.自分の関わりと患者さまの反応、考察
自分がどのように関わったのか、その結果、患者さまにどのような反応があったのかを考察します。自分の関わりが患者さまにどのような影響を与えたのかを考えることが重要です。
また、「もっと患者さまの話を聴く必要があった」「質問を急ぎすぎた」など、自分の課題について考察してもよいでしょう。
私は患者さまと病室内を見ながら会話を行い、普段の生活で困っていることについて話を伺った。患者さまから「転ばないように気を付けている」という言葉が聞かれ、安全に対する不安を抱えていることがわかった。今回の実習を通して、療養環境は患者さまの安全だけでなく、安心して生活するための重要な要素であると考えた。また、環境整備は看護師だけが意識するものではなく、患者さま自身が安心して行動できるよう支援することも大切だと学んだ。
4.看護師の役割や看護師から学んだこと
実習中に観察した看護師の行動を振り返り、看護師が患者さまに対してどのような役割を果たしていたのかをまとめます。患者さまへの声かけや観察、安全への配慮、多職種との情報共有など、印象に残った場面を取り上げながら、自分が学んだことを記載しましょう。看護師の行動の背景や目的を考察することで、看護の専門性への理解が深まります。
看護師は患者さまの状態を観察しながら、その日の体調や活動状況に応じて環境を調整していた。患者さまが安全に移動できるようベッド周囲を整理したり、点滴ルートの位置を確認したりする姿から、危険を予測して未然に事故を防ぐことも看護師の重要な役割であると学んだ。また、環境を整えるだけでなく、患者さまへ「困ったことがあればナースコールを押してください」と声を掛けており、安心感を与えるコミュニケーションも看護の一部であると感じた。
今後の課題
実習全体を振り返り、自分に不足している点や、今後の実習・学習で身につけたいことをまとめます。「コミュニケーション能力を高めたい」「観察力を身につけたい」といった抽象的な表現だけでなく、実習中の経験を踏まえて具体的な目標を示すことが大切です。今回の学びを次の実習へどのようにつなげるかを意識して記載しましょう。
今回の実習では、看護師の環境調整には一つひとつ根拠があることを学んだ。一方で、私は環境を観察することに集中し、患者さまの表情や気持ちまで十分に把握できなかったと感じている。今後は患者さまの身体状況だけでなく、心理面にも目を向けながら、安全・安楽につながる環境を総合的に考えられるよう、観察力とアセスメント力を高めていきたい。
学びレポートの書き方のポイント
基礎看護学実習Ⅰの学びレポートでは、実習中の出来事を時系列にまとめるだけではなく、「その経験から何を学び、今後どのように成長につなげていくのか」を自分の言葉で整理することが大切です。患者さまとの関わりや看護師の行動を振り返り、自分の考えや気づきを具体的に記載することで、説得力のあるレポートになります。また、実習中にうまくできなかったことも、今後の課題として前向きにまとめることで、学びの深さを伝えられます。
以下の記事では、学びレポートの書き方をさらに詳しく解説しています。レポートの基本構成や書き方のコツを理解し、実習で得た学びをわかりやすくまとめられるようになりましょう。
