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看護学生向けプロセスレコードの書き方~日常生活・患者さまとの会話の例で解説!~

看護実習
公開日

「プロセスレコードって何のために書くの?」「どう書いたらいいの?」と悩む看護学生の方も多いのではないでしょうか?
この記事では日々の会話で練習する方法から、実際に実習で使えるプロセスレコードの書き方までを解説します。プロセスレコードで悩んでいる方はぜひこの記事を読み進めてください。

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プロセスレコードの書き方

プロセスレコードとは看護師と患者さまの会話を記録するものです。その時の患者さまが何を思って発言したのか、自分の発言や行動がどのような意図で行われ、正しかったのかを振り返ります。
プロセスレコードには、患者さまの気持ちがわかるようになり、コミュニケーション能力を高める効果があるのです。

プロセスレコードを書く時に必ず記載するものは以下の通りです。

  • 患者情報
  • この会話の場面を選択した理由
  • 患者の言動
  • 自分が感じたこと・考えたこと
  • 自分の言動
  • 分析 考察
  • この場面から学んだこと

患者情報は年齢性別疾患のほかに手術前であるなど患者さまが現在置かれている状況を記載しておくとその患者さまの気持ちや背景をイメージしやすくなります。

プロセスレコードの記載に選んだ場面について、どうして自分がこの場面を振り返ろうと思ったのか、どのように感じてどう介入しようとしていたのかを記載するのも有効です。
患者さまの言動、感じたこと・考えたこと、自分の言動、分析・考察は時系列で書きましょう。

プロセスレコード記載時には、患者さまの発した言葉や行動をそのまま書くことが大切です。記載内容に自分の価値観や先入観が含まれると、本来の意味を取り違える可能性があるため、その時の状況をありのままに記載するように意識しましょう。

自分が感じたことを素直に記載することも重要です。その時の素直な感情を記載すると自身の感情のパターンが分かるため、同じ失敗を繰り返さなくなり、次回から対処できるようになります。

【実践1】家族や友人との日常会話から書く

授業でプロセスレコードを学ぶ際、家族や友人との日常会話について課題を出されることが多いです。課題で使える家族や友人との会話の場面を選ぶ方法について解説します。

プロセスレコードに適した会話の場面例

身近な人との日常会話でプロセスレコードを書く場合、相手の感情が大きく変化する場面相手との会話でモヤモヤした気持ちになった場面を取り上げるといいでしょう。

プロセスレコードに適した場面例をみる
  • 相手が良い出来事の話をしているとき
  • 喧嘩になったとき
  • 何か隠し事をしているのではないかと思ったとき
  • 相手が思いもよらない行動に出たとき
  • 相手が不満な様子を見せていたとき
  • 違和感を覚えたとき
  • コミュニケーションがうまくいったと感じたとき
  • 焦ったり、気まずくなったりしたとき

相手がなぜそのような言動を取ったのか、それを受けて自分がどのように感じ、取った対応が適切だったのかを考えることができます。それが患者さまとの日々のコミュニケーションの練習につながるのです。

具体例

家族との会話でプロセスレコードを使った例を取り上げます。数分程度の短い会話を選択して、会話内でひとつの話題に絞って詳しく記入します。

家族との会話でプロセスレコードを使った例をみる
会話の相手 母  
この場面を
選んだ動機
帰りが遅くなって母が心配してくれていたが、厳しく言うためこちらも反抗してしまった。お互いに嫌な気持ちにならない方法があるのかを考えたい。
相手の言動 感じたこと・考えたこと 自分の言動 分析・考察


③「おかえり。遅かったのね、心配したんだけど。」声のトーンは低く、不機嫌そうな表情。

⑥「ちゃんと連絡してよ。あーあ、何のために携帯持ってるのかしら。」不機嫌さは変わらず、口調が強くなる。ため息をついている。
②遅くなっちゃったな。何か言われるかな。

④あーあ、やっぱりそう言うよね。もう少し優しく声かけてくれたらいいのに、怒ってるよね。

⑦わかってるけど、盛り上がってて忘れちゃうことだってあるじゃん。そんな風に言われると顔を合わせたくなくなっちゃうんだよな。イライラしちゃうなあ。
①帰宅する





⑤「ただいま。ちょっと友達とご飯で盛り上がっちゃって。」 顔を見られず、そっけなく返答する。

⑧「ごめんね。じゃあ、お風呂入ってきちゃうから。」と目を合わせずに返事だけしてリビングを出る。
帰宅時に連絡していなかった後ろめたさがあったが、自分からただいまと言えなかった。

母は連絡がないから心配して待っていたため、不機嫌そうにしてしまうのは仕方なかったと思う。
その時点でまず「心配かけてごめんね」と母の目を見て言えたら良かった。
母の言い方に左右されているが、自分が遅くなってしまったのが原因だ。

最終的に空気感に耐えられずにリビングから離れているが、きちんと会話ができていないため翌日以降も話しにくいのが続くだろう。
自分のイライラの前に、「次からは連絡入れるように気をつける」などの提案ができていれば良かった。
この場面から学んだこと
後ろめたい気持ちがある場合、まず自分から謝る方が相手も自分もそれ以降嫌な気持ちにならないで済むのではないかと思った。相手の機嫌によって自分の態度を変えてしまうため、何が原因で相手の機嫌が悪いのかなどをきちんと考えることが必要だ。また機嫌によって相手に与える印象が違うことにも気づいたので、今後自分の態度も気をつけていきたい。

口調や表情などが細かく記載できているとその時に感じたことを振り返りやすくなります。自身の行動や発言に対しての振り返りから次回に活かすポイントを記載しており、学んだことに反映されているのも良いところです。
言われたことに対して思ったことを記載できていますが、母の言ったことに対してどう思い、その時の自分の反応になったかという振り返りができるとさらに良くなるでしょう。

【実践2】患者さまとの会話から書く

患者さまが抱えているさまざまな不安や心配事が、感情として強い言葉で現れることがあります。患者さまの感情が強く揺れ動いたと感じた場面自分の言動によって患者さまとの気まずい空気感が生まれたと感じた場面を取り上げてみるといいでしょう。

具体例

患者さまとの会話でプロセスレコードを使った例をみる
この場面を
選んだ動機
認知症で理解できないと思ったが本人の困る気持ちに寄り添い、不安を軽減させる介入があったのではないかと思ったため。
場所 病室
登場人物 患者A氏、看護学生
状況 認知症の患者が家に帰りたいと叫んでいる。病院にいることが分かっているかもわからない。
日時 入院して間もない夕方
相手の言動 感じたこと・考えたこと 自分の言動 分析・考察
①「家に帰る」と繰り返し叫んでいる。


④「早く帰らないと。困っちゃう。」
顔面紅潮あり


⑦学生をチラッと見るが返答せず。
「困るの。困るの。」「家に帰らないと」
上記を繰り返す


⑩学生を再度チラッと見る。
「困るなあ」と言う。
興奮はしていない


②興奮しているみたい。
何があったんだろう。


⑤自分の状況が分かってないんだ。
見当識を確認しないと。


⑧全然話ができない。
認知症だし何も覚えてないのかもしれない。
入院していることを説明して治療していることを分かってもらおう。


⑪全然話ができない。
あーもうどうしたらいいの。
こっちの方が困るよ。
③訪室しゆっくり声をかける。
「Aさん、どうしましたか。」

⑥「Aさん、ここはどこかわかりますか。」
落ち着いた低めの声で。

⑨「Aさん1週間前に具合が悪くなって今入院中です。よくなるために治療してますからもう少し頑張りましょう。」

⑫「ここは病院で治療中なんです。」
強い口調で言い退室。
どうして家に帰りたいのかを確認する必要があった。本人の困ることが何かということにまず寄り添っていれば会話ができたかもしれない。

入院している事実や治療をしている事実を伝えることは必要だと思うが、この状況で伝えても理解はできないだろう。
本人が困っていることを解決するためという紐付けをすると入院や治療に協力できるかもしれない。

A氏にとっては何も解決しない数分になってしまった。
この場面から学んだこと
認知症のため失見当識があり、状況を把握できていない患者に対し、正当な理由を並べることが解決になることは少ない。本人が困っていることに焦点を当てることで不安の解消をする事が最優先だと感じた。

プロセスレコードの目的と重要性

プロセスレコードを実施する目的は、患者さまとのコミュニケーションに対して自身の言動を振り返り、看護として必要なコミュニケーションスキルを向上させ、次回以降に活かすことです。自分のことを客観的に見直すことにもつながり、自身の看護観を発見するきっかけにもなるでしょう。

患者さまの思いの表出に対する働きかけの面から考えると、何かを発言しなきゃという自身の発言に対する思いを記載するだけでなく、患者さまが何を考えているのかに目を向け、傾聴する姿勢も重要になります。

プロセスレコードを繰り返し実施することで、患者さまとの会話中の対応に困ることが出てきても、即時に対応できるようになっていきます。実習中はもちろん看護師になってからも、つまずいた時にはプロセスレコードを実施し続けることが重要です。

プロセスレコードが活用できるシーン

プロセスレコードは患者さまとの関わりで困った時に活用していきます。どの領域の実習でも使えますが、精神看護学実習で積極的に活用することをお勧めします。

精神疾患を抱える患者さまは、対人関係を苦手とする方が多いです。患者さまが何を考えているのか、何の沈黙なのかなど実習中もコミュニケーションで困る場面が多いでしょう。
そんな時にプロセスレコードを使うと振り返りの中で患者さまの思いや、症状による沈黙なのか、対人関係の苦手さからくる沈黙なのかなどが見えてきます。自身の言動に対しても振り返ることで、コミュニケーション能力の向上に繋がります。

プロセスレコードは、日々のさまざまな場面に活用できます。実践を重ねて自分が得意なコミュニケーションを知り、関係づくりや日々の会話に活かすことが大切です。そうしていくうちに周りの学生よりも一歩秀でる力を身につけられ、教員や指導者さんからも一目置かれる存在になることができるでしょう。

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