母性看護学実習の事前学習

母性看護学実習では、妊娠期から分娩期、産褥期における女性とその家族、胎児・新生児の看護を行います。それぞれの段階において必要な知識や技術が求められる一方、出産という人生の大切な節目に立ち会う場面でもあります。必要な事前学習をして、より実りある実習にしましょう。
母性看護学実習の特徴
母性看護学実習では、女性のライフサイクルの中でも特に周産期を中心とした臨床の場において、妊娠期から分娩期、産褥期における女性と家族および胎児・新生児の看護過程の展開を学びます。
対象は周産期の女性であり、学生と比較的年齢も近い一方で、妊娠~出産という人生の節目において、急激な身体的・精神心理的変化が起こる時期でもあることから、看護者として全人的な対象の理解が必要となります。また、胎児や新生児の看護も含まれるとともに、対象者の家族を含めた看護の視点をもつことが大切です。
母性看護学実習前に勉強しておきたいポイント
母性看護学実習においては、妊娠期、分娩期、産褥期それぞれの時期における身体的変化を理解し、観察する必要があります。また、胎児・新生児も看護の対象であることが特徴です。展開の早い周産期において、各期における観察やアセスメントのポイントをおさえて、整理しておくことが大切です。
母性看護学実習で役に立つ資料
妊娠期の区分
妊娠経過は、おもに妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期の3つの区分に分けられます。それぞれの経過における母体の変化と胎児の発育について理解し、アセスメントを行うことが大切です。
分娩経過
フリードマンは、分娩開始から完了までの時間経過と子宮口の開大、児頭下降度から分娩進行を示しています。分娩時の観察から、現在の分娩経過状態を判断する上で必要となります。
産褥日数と子宮底の高さ
産褥期においては、妊娠・分娩経過から子宮復古への影響の有無を評価した上で、子宮復古が順調に経過しているか経時的に観察し、異常の早期発見をすることが必要です。そのためには、子宮復古過程を理解しアセスメントすることが大切です。
アプガースコア
出生時の状態を評価する方法として、新生児の①心拍数、②呼吸、③筋緊張、④反射、⑤皮膚の色の5項目を観察・採点するアプガースコアが用いられます。5項目について0~2点の採点をし合計点を出します。正常(8点以上)、第1度仮死(7点以下)、第2度仮死(3点以下)とされています。
陣痛周期
陣痛発作と間欠の時間は、分娩の進行時期によって変化します。各期における陣痛周期の変化を理解し、アセスメントすることが大切です。
陣痛持続時間
母性看護学実習に行く前に持ち物をチェック!
血圧計
妊娠期から産褥期におけるフィジカルアセスメントを行う上で、血圧の変化を観察することが大切です。血圧測定の手技や方法を確認して臨みましょう。
SpO2モニター
血圧と同様に、呼吸状態の変動も重要な観察ポイントとなるため、いつでも酸素飽和度を観察できるよう準備しておくことが必要となります。
メジャー
実習施設のものを使用することもありますが、子宮底長計測の際に使用します。
時計(ナースウォッチ)
バイタルサイン測定の際、呼吸数や脈拍を計測するのに使用します。また、輸液を使用している場合、点滴の滴下確認の際にも時計を使って、秒数あたりの滴下数から滴下速度を調整します。
また、分娩経過や症状変化時において、いつから変化が生じたかなど、時刻とともに把握する必要があるため、常に時間を確認できるようにしておくことが必要です。
メモ帳
バイタルサインや観察した内容、調べておく必要があるものをすぐに書き留められるよう、常にメモ帳を携帯しておくことが必要です。
個人情報保護の観点から、メモを取る際のルールやメモ帳の使用の可否については、学校や病院の規則を確認しましょう。
ポケットサイズの参考書
バイタルサインの変化や血液検査のデータの基準値、使用している薬の作用など、観察内容やカルテの情報をその場でアセスメントできるようにするために、検査値やスケールが載っているようなものがあると良いです。
カードタイプやポケットマニュアルのようなものもあり、ユニフォームのポケットに入れて持ち運びができるものが便利です。
用意しておきたい項目
- 血液データの検査値
- バイタルサインの基準値
- 分娩経過の一覧
- アプガースコア
- 子宮復古の経過と観察方法
- 輸液管理の観察項目、管理方法
- よく使用される薬の作用一覧