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小児看護学実習の事前学習

看護実習
公開日

小児看護学実習では、健康障がいのある小児と家族に対する看護過程の展開を行います。そのためには、対象理解のために事前学習をしておくことがとても大切です。ここでは、小児看護学実習の特徴と事前学習のポイント、実際の実習場面で役立つ資料や持ち物について解説します。

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小児看護学実習の特徴

小児看護学実習では、健康障がいのある小児と家族を対象に、小児の健康問題や発達段階をとらえるとともに、対象に適した看護を展開することが特徴です。

小児看護においては、対象となる小児の月齢や年齢によって健康問題や発達段階が大きく異なるとともに、保育や学校の場といった生活集団を背景にもつことが多くあります。
そのため、発達段階や生活状況に応じた看護介入を考えることが必要であるとともに、心理的ケアや意思決定支援をはじめとする、家族を含めた介入が重要なポイントとなります。

小児看護学実習前に勉強しておきたいポイント

小児看護学実習においては、対象となる小児の発達段階をとらえてアセスメントすることが大きなポイントとなります。そのため、まずは発達段階の基本について理解し、それぞれの段階に応じたコミュニケーションや、療養生活上の安全管理を基礎知識として持っておくことが大切です。

発達段階に応じたコミュニケーションのコツ

生後3ヶ月頃には「アー」「ウー」などの喃語、9~10ヶ月には他人の出す音を模倣し、1~1歳半には「マンマ」「ワンワン」など意味のある言葉を2~3語発するようになります。

2歳頃には「マンマ、チョウダイ」など二語文を話すようになり、過去、現在、未来の動詞の使い分けや助詞などの入った文章が言えるようになります。

幼児期前期においては、短く、具体的な言葉、生活の中で活用している言葉、擬音を使うことで伝わりやすくなります。

例:「注射→チックン」「血圧→しゅぽしゅぽ」など

また、ぬいぐるみや絵本など視覚的道具を活用することや、子どもが好きなもの、関心のあるものを使うことで、子どもが興味を向けることにつながります。

理由付けができるようになる幼児期後期には、説明する際に実際に物を見せてイメージができるようにすることや、励ましと期待を伝えることで、「やってみよう」という気持ちを引き出す言葉かけが大切です。

学童期には文字による理解が進み、非言語的なコミュニケーションもとらえられるようになります。話す環境に留意するとともに、対応に困るような質問がみられる場合も、質問の真意をとらえるために子どもと向き合う姿勢が大切となります。

危険因子と安全確保のコツ

危険の予測が難しく、また好奇心の強い小児期においては、危険因子の排除と安全管理が重要な課題となります。

新生児~乳児期においては、枕やクッションなどに顔をうずめてしまうことで窒息事故が起きることや、異物を口に入れてしまうことによって起こる誤飲などの危険があります。
病床の周囲には危険な物を置かないことはもちろん、処置の際に使用した物品やフタの置き忘れ、ぬいぐるみのパーツが取れることがないかなど、一つ一つ注意して環境を整える必要があります。

また、転倒やベッドからの転落事故にも注意が必要です。子どもの視線の高さは低く、周囲のものが見えづらいことに加え、部屋から急に飛び出すなどしてぶつかる危険もあります。
目を離したときにベッド柵を乗り越えることや、ベッド柵のストッパーが完全にかかっていないことにより、ベッドからの転落も考えられます。

子どもの療養環境には常に危険因子がないかをチェックするとともに、必要時はご家族の協力を得るなどして、安全管理に努めることが大切です。

確認しておいたほうがよい法律や指針

「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」

国民一人ひとりが健康を実現するために主体的に健康を増進し、その個人の主体的な健康づくりを社会全体が支援していくことだとしています。

「健やか親子21」

20世紀中の母子保健の取り組みを振り返り、残された課題や近年クローズアップされてきた課題を整理し、これらの課題を解決するために21世紀の母子保健の取り組みの方向性を示しています。

小児看護学実習で役に立つ資料

成長・発達の評価

カウプ指数乳幼児の発育状態の評価に用いられます。大まかな判定基準として、15~18が正常とされていますが、年月齢や身長の値による変動が大きいため、評価を行う際には注意が必要です。

ローレル指数学童の発育状態の評価に用いられます。ローレル指数の判定も、100~160が正常とされていますが、身長により変動がみられるため、評価には注意が必要です。

カウプ指数・ローレル指数・肥満度の計算式をみる

カウプ指数・ローレル指数・肥満度の計算式

カウプ(Kaup)指数=体重(g)/身長(cm)² ×10

ローレル(Rohrer)指数=体重(g)/身長(cm)³ ×10⁴

肥満度=[(実測体重-標準体重)/標準体重]×100

小児のバイタルサイン測定

小児のバイタルサインの基準値をみる
発達段階 新生児 乳児 幼児 学童 成人
呼吸数(回/分) 30~50 30~40 20~30 18~20 16~18
脈拍(回/分) 120~140 110~130 90~110 80~100 60~100
体温 腋窩温(℃) 36.7~37.5 36.8~37.3 36.6~37.3 36.5~37.3 36.0~36.5
血圧 収縮期圧
(mmHg)
60~80 80~90 90~100 100~110 110~130
拡張期圧
(mmHg)
60 60 60~65 60~70 60~80

小児のバイタルサイン測定の順番

小児のバイタルサインは、体動や啼泣による影響を小さくするため、基本的には「呼吸」→「脈拍」→「体温」→「血圧」の順で測定しますが、患児の発達段階や理解力、病状や機嫌などにより、順番を工夫することも大切です。

小児看護学実習に行く前に持ち物をチェック!

血圧計

小児の血圧測定の際には、年齢に応じたマンシェットの選択が必要です。測定の手技を確認し、必要時に備えて測定できるようにしておくことが大切です。

SpO2モニター

呼吸状態を観察する上で必要です。小児用のセンサーを使用する場合もあるため、年齢に応じた選択が必要です。

聴診器

おもに呼吸音の聴診時に使用します。体格に合った聴診器の選択が必要なため、事前に確認しておきましょう。

時計(ナースウォッチ)

バイタルサイン測定の際、呼吸数や脈拍を計測するのに使用します。また、輸液を使用している場合、点滴の滴下確認の際にも時計を使って、秒数あたりの滴下数から滴下速度を調整します。また、患者さまの症状の変化においては、いつから症状が出現したかなどを時刻とともに把握する必要があるため、常に時間を確認できるようにしておくことが必要です。

メモ帳

バイタルサインや観察した内容、調べておく必要があるものをすぐに書き留められるよう、常にメモ帳を携帯しておくことが必要です。個人情報保護の観点から、メモを取る際のルールやメモ帳の使用の可否については、学校や病院の規則を確認しましょう。

ポケットサイズの参考書

血液検査のデータの基準値や使用している薬の作用など、観察内容やカルテの情報をその場でアセスメントできるようにするために、検査値やスケールが載っているようなものがあると良いです。カードタイプやポケットマニュアルのようなものもあり、ユニフォームのポケットに入れて持ち運びができるものが便利です。

用意しておきたい項目

  • 血液データの検査値
  • 小児のバイタルサインの基準値
  • 小児のバイタルサイン測定の方法
  • 月齢、年齢別の発達段階の一覧
  • 輸液管理の観察項目、管理方法
  • よく使用される薬の作用一覧
  • おむつ交換や清潔援助などの手技の一覧

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