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地域医療支援病院ってどんなところ?~入退院支援室で働く看護師の現状と課題~

就活
公開日

地域医療支援病院の役割や今後の課題について、実際に働いている看護師にインタビューしました。地域医療支援病院で働く魅力を知って、就活の参考にしてみてください。

地域医療支援病院とは?

地域支援医療病院とは、簡単にいうと地域医療を担うかかりつけ医を支援し、地域医療の確保を図る病院として相応しい設備がある病院を指します。いくつかの要件をクリアした地域の中核規模の病院が、都道府県知事から個別に承認を受けることで、地域医療支援病院になることができます。

代龍ケ崎済生会病院

地域医療支援病院の成り立ち

超高齢社会の日本において、限られた医療資源を効率的に提供するための一つとして、1997年の医療法改正によって地域医療支援病院制度は誕生しました。初期治療や投薬といった一次医療は地域のかかりつけ医が担当し、より専門的な検査や治療を地域医療支援病院が受け持つことによって、住み慣れた地域で希望する医療を受けられるよう、機能分化と連携をしました。

地域医療支援病院の役割

地域医療支援病院の主な役割は、より専門的な検査や治療の提供になりますが、他にも多くの役割を担っています。

紹介患者さまへの医療提供

基本的に紹介外来制になるので、地域の病院やクリニックから紹介された患者さまを受け入れています。逆に、症状が安定した患者さまは、かかりつけ医に紹介しています。

重症救急患者の受け入れ

24時間体制で、重症救急患者に必要な検査・治療を実施しています。集中治療室の整備、救急用自動車の配備、通常の医師や看護師のほかに救急救命士の配置や当直体制等を確保しています。

病院運営等の審議

地域の医療機関や都道府県・市区町村の代表、学識経験者等で構成する委員会を開催し、病院運営などについて審議しています。

地域医療支援病院である龍ケ崎済生会病院は、かかりつけ医を支援することで患者さまに身近な地域医療が提供されるよう取り組む一方、かかりつけ医ではできない医療を対応し、茨城県南部の地域医療を保つという大きな役割を果たしています。

地域医療支援病院の入退院支援室とは?

地域医療支援病院は、先に挙げたように地域医療の確保という重要な役割があります。地域のかかりつけ医から紹介患者さまの対応をしていくための病床の確保を行っています。

入退院支援室では、患者さまが入院から退院後までの療養生活を安心して送れるように、地域とも連携調整をしながらサポートしています。
入院前から入退院室看護師をはじめ、医療ソーシャルワーカー、栄養士、薬剤師など多職種が連携し、患者さまとご家族を支援します。患者さまの問題を医療的、看護的な側面から考え、住み慣れた地域で安心して療養生活が継続できるように取り組んでいます。

龍ケ崎済生会病院の入退院支援室の活動

入退院支援室

高齢化が進む龍ケ崎市や周辺の市町村では、高齢者世帯が増えてきており、在宅療養の継続が難しいケースが増えています。退院後に在宅療養の継続が難しい場合は、入退院支援室から、早い段階で患者さまに働きかけをします。地域包括支援センターやケアマネジャーにも早期から介入してもらい、連携を密にしながら退院を見据えた支援をしていきます。

高齢者の方はさまざまな慢性疾患を持っているので、疾病憎悪と合併症予防も含めた教育的な関わりを持ち、地域にも情報を共有しながら共に支援できるような体制をとっています。

入退院支援室で働く看護師の役割

龍ケ崎済生会病院の場合

入他院支援室で働くナース

龍ケ崎済生会病院の入退院支援室で働く看護師の役割は、患者さまの退院後に在宅療養が可能かどうかを早めに把握し、準備を進めることです。看護だけでは解決が難しいことは、医療や介護などの制度を理解したうえで、医師、リハビリ、栄養科、薬剤科と連携し、多職種で退院に向けた支援を協働して実施していきます。

「人と人」「制度と人」を繋ぐ

入退院支援看護師は、「人と人」「制度と人」を繋ぐ役割を担っています。たとえば、医療行為が必要な患者さまの場合、在宅でも継続できるように患者さまとご家族に指導することも役割のうちの一つとなります。

龍ケ崎済生会病院は急性期病院なので、さまざまな医療的な問題を持った患者さまがいます。「こうありたい」という希望を引き出し、その人らしく生きるために、患者さまとご家族の想いを繋げられるよう対応していく必要があります。慢性期病院のように入院期間が長い訳ではないので、短期間で患者さまとご家族の想いをしっかり繋げられるような関わり方を意識する必要があります。

入院前のアセスメントが大切!

医療を効率的に提供することを求められる入退院支援室では、患者さまが入院する前からアセスメントすることが求められます。

入退院支援室で働く様子

龍ケ崎済生会病院で入院が決まる前に通院していた、地域のかかりつけ医や担当ケアマネジャー、薬剤師、訪問看護師等、多職種から受け取った情報をもとにアセスメントしていきます。入院前に必要なアセスメントをすることで、入院後すぐに必要な医療を提供することが、多職種で連携して出来るようになりました。

入退院支援室看護師と病棟看護師との違い

病棟看護師は、主に入院中の患者さまとご家族を支援します。入退院支援看護師は、患者さまとご家族を、地域を含めた多職種につないでいくことが主な業務になります。患者さまとご家族の状況も変化しますので、週に1~2回は多職種カンファレンスを実施し、情報共有と目標を確認しています。

地域医療支援病院で働くメリット・デメリット

地域医療支援病院で、看護師として働くメリットとデメリットには何があるのでしょうか。メリットだけでなく、デメリットも確認しておきましょう。

4つのメリット

①新人教育や研修が充実している

幅広い診療科があり、高度な医療を提供する地域医療支援病院では、看護師の適切な看護の提供はもちろん、多職種にてチーム医療を提供する場合もあるため、新人教育が充実しています。
認定看護師などスキルを積んだ看護師も多く在籍しているので、学べる環境が整っています。

②継続的にスキルアップ、キャリアップできる

地域医療支援病院では、地域医療従事者を対象とした研修・講習会を定期的に開催しています。さまざまな分野の研修・症例検討会に参加することにより、日々の業務だけでは得られない知識を得られます。

③年間休日など福利厚生制度が整っている

地域の中核病院である地域医療支援病院には、多くの職員が勤務しています。
休日・休暇、職員寮や敷地内保育園など充実した院内施設などの働きやすい環境が整っています。

④行政や介護、さまざまな職種への理解・知識が深まる

入退院支援室などは、行政機関、介護施設など外部スタッフ、院内の多職種連携・情報共有を行うので、看護以外の知識が深まりキャリアアップできる。

デメリットもしっかり確認しておこう

二次救急・急性期医療を提供するため割り込み業務が発生することも

二次救急・急性期医療の提供であるため、患者さまの入退院が早い。
定時入院と緊急入院では緊急入院が多いため、定時入院のみよりも割り込み業務が発生する場合があります。

龍ケ崎済生会病院で働くメリット

龍ケ崎済生会病院

龍ケ崎済生会病院は各部署との距離が近く、院内の連携が密に取れています。地域のケアマネジャーや行政等とも密に繋がる機会が整っているので、龍ケ崎市一帯の地域医療を深く学べるところがメリットの一つです。地域住民の皆さまに、入退院支援室の取り組みに期待して頂いていると感じることが多くあり、やりがいを感じながら働けるところも大きなメリットと言えます。

高度な医療提供ができるように、5分野の認定看護師、特定行為に係る看護師が4名在籍している点もメリットとして挙げられます。訪問看護師さんから「こういう事例はどうしたらいいでしょうか。」と、皮膚ケアや褥瘡、感染、心不全や化学療法を行っている患者さまの症状等の相談がある場合があります。そういった場合は、認定看護師の方に教えていただき、専門的な説明をしっかりできるような体勢がとれています。

地域医療の課題 ~龍ケ崎市の場合~

支援に手を伸ばせない人への対応

今まで病院にアクセスできなかったのか、社会的な問題をたくさん抱えており、支援に手を伸ばせない人たちが多いことを毎日実感しています。
支援が届かない人たちをいかに見つけて支援していくか、龍ケ崎市主催の在宅医療介護連携推進会議にて問題を挙げて取り組んでいます。地域包括支援センターとも毎月一回の合同会議で情報を共有しながら、支援方法の強化に取り組んでいるところです。

龍ケ崎市以外でも支援できるようにしたい

龍ケ崎市ではケアマネジャーとの情報共有がより密にできるようになりました。情報共有が進んだことにより、地域で患者さまを受け入れてくださるような体制が整ってきています。
龍ケ崎市外との地域連携強化が課題です。今後は、龍ケ崎市外でも必要な支援が受けられるような環境を整えていきたいと考えています。

地域貢献に興味がある看護学生の皆さんへ

龍ケ崎済生会病院は、二次救急、急性期の看護を学べます。患者さまが在宅医療を希望されたときに多職種で在宅に向けて協働していきますので、多職種連携の力をつけたい方や、広域地域医療を学びたい方におすすめです。

多職連携では各職種の専門性を発揮しながら皆で話し合い、最適な方法を模索し取り組んでいます。病棟にケアマネジャーや行政の方々が来ますので、その都度、話し合いをしながら支援方法を考えています。今まで自宅に帰れなかった患者さまが地域に戻れるようになり、その表情・姿をみられるだけで嬉しく思いますし、やりがいを感じます。

今、「看護」は、多くの地域で必要とされています。看護師はさまざまな場所で医療と看護、福祉を繋いでいます。マネジメントしながら看護を活かし、私たちと一緒に自分の力を発揮してみませんか?

※龍ケ崎済生会病院の入退院支援室について、看護学生の皆さんが実習で来て頂いた際には、多職種カンファレンスを見学頂けます。

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