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看護実習でインシデント発生!インシデントレポートを書く際のポイント

看護実習
更新日 公開日

看護実習でインシデントが発生した場合に提出するインシデントレポートは、どのように作成すればよいのでしょうか。インシデントレポートの書き方やポイント、目的をご紹介します。
インシデントが起きた後の対処法も紹介していますので、インシデント発生時に落ち着いて対処できるように確認しておきましょう。

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インシデントとは?

インシデントとは、誤った医療行為などが患者さまに実施される前に発見されたもの、あるいは誤った医療行為などが実施されたが、結果として患者さまに影響を及ぼすに至らなかったもののことをいいます。同じ意味で、ヒヤリハットと呼ばれることもあります。

報告が必要なインシデント

インシデントは結果的に患者さまに影響が及ばなかった事例を指すことに対し、アクシデントは、不適切な医療行為が患者さまに傷害や影響を与えた事例を指し、医療事故とも呼ばれます。

アクシデントには、医療の内容に問題があって起こった過失による事故と、医療の内容に問題のない、不可抗力による事故の両方が含まれます。

インシデント・アクシデントは、患者さまへの影響度により分類されており、レベル0~3aはインシデント、レベル3b~5はアクシデントに分類されます。

インシデント・アクシデントの患者影響レベル引用:独立行政法人地域医療機能推進機構 医療安全管理指針
https://www.jcho.go.jp/wp-content/uploads/2017/07/20170728anzenshishin.pdf

インシデントレポートの書き方

実際にインシデントレポートを書くにあたり、書き方のポイントを押さえて作成していきましょう。

事実をありのまま書く

インシデントレポートを書く上で大切なのは、自分の主観や感情などを含めず、事実を淡々とありのままに記載することです。
インシデントが起きた場面を思い返していると、「あの時こうしていれば…」と反省や後悔の念が沸いてくることもありますが、インシデントレポートに必要な内容は反省文や個人の意見ではなく、実際に起きた事実の報告です。
自分の思いはひとまず置いて、第三者の目線になったつもりで一つ一つ整理してみましょう。

6W1H

まず、インシデントが起きた場面について「誰が・誰に・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように」の6W1Hをおさえて状況を整理します。レポートを書き始める前に、メモをして整理しておくのも良いでしょう。

インシデントレベル

実際のインシデントによって、患者さまにどのような影響が生じたか、または生じなかったかという点を、インシデントレベルと照らし合わせて記載します。

再発防止

インシデント発生時の状況の分析をもとに、インシデントの原因となった事柄は何かを考え、再発防止のための対策を記載します。その際、「今後、自分自身が気をつける」という内容のみにならないように注意が必要です。

インシデントレポートは当事者だけでなく、実習中であれば他の学生や、病院内の他の職員にとっても、今後の事故予防のために非常に有益な情報となります。そのため、自分以外の人も同じインシデントを起こさないための、具体的な対策を考えることが大切です。

憶測は書かない

インシデントレポートは、事実を忠実に伝えることで、インシデントの原因となった問題点を明らかにすることができるものです。そこに自分の憶測が入ってしまうことで、実際と異なる状況が読み手に伝わることもあります。実際に見聞きした内容や自分の行動を、客観的な目線で書くことが大切です。

よくあるインシデント

医療現場で多くみられるインシデントは、

  • 患者誤認
  • 与薬
  • 輸液ポンプ操作、管理
  • チューブ、カテーテル類の管理
  • 転倒

などが多く報告されています。

その中でも、学生の実習中に起こりやすいインシデントとして、

  • 転倒、転落
  • 針刺し事故
  • 患者の私物や施設の備品などの物品の破損
  • 個人情報保護に関する事故(実習記録の紛失など)

などがあげられます。

インシデントが起きた後の対処法

実際にインシデントが発生した際の対処について説明します。

安全確保と状況の確認

まず、患者さまの身の安全を確保するとともに、周囲や自分の安全を確認します。急な場面には誰しもびっくりするものですが、自己判断にて一人で行動することは避け、まず周囲の看護師や職員に声をかけることが大切です。安全面に問題がない場合は、落ち着いて状況を確認します。

報告

次に、事例の報告を行います。実習中であれば実習指導者や担当教員に報告を行いますが、この時に気を付けるべき点は、仮に実習指導者や担当教員が近くにいなくとも報告を後回しにせず、まずは近くの管理者に報告することです。

仮にその場では患者さまに被害が生じていなくても、内容によっては心理的な影響が生じることや、後に治療や入院生活に影響を及ぼす可能性も考えられます。そのため、できるだけ早く報告を行い、対策を講じることが必要となります。

インシデントの報告をすることは勇気がいりますが、その後の早い対応が、被害を最小限に抑える上でとても大切です。気持ちを落ち着かせて内容を整理することができたら、事実をそのまま伝えましょう。

その後、部署の責任者や患者家族への報告など、とるべき対応については実習施設や学校の指示に従います。

振り返りとインシデントレポートの作成

実習指導者や担当教員とともに、インシデントについての振り返りを行います。
インシデント発生時の状況について、自分だけでは十分に把握ができない場合は、その場にいた人に状況を確認することも大切です。

振り返りをしながら状況を整理することで、インシデントが起こった原因や、その背景にはどのような要因があるかが明確になります。難しい場合は実習指導者や担当教員、他の実習メンバーなどと相談しながら、そこから考えられる再発防止の対策について考えてみましょう。

インシデントレポートの目的

インシデントが発生したとき、事の重大さを一番身にしみて感じているのは当事者自身であり、落ち込むことや、後悔の念を抱くことも多いでしょう。怖い思いをして傷ついていることもあるかもしれません。
そんな時にインシデントレポートを書くことは、始末書を書かされているように感じるかもしれませんが、インシデントレポートの目的は、当事者を責めることや罰を受けさせることではなく、事故の再発を防止することです。

今後起こりうる医療事故の防止策を考える上で、最も重要なのが実際に起きたインシデントの事例であり、その大切な情報源となる報告書がインシデントレポートなのです。

インシデントレポートの提出期限については施設により異なりますが、記憶が新しいうちに正確に記載できるよう、できるだけ早く書き始めることが大切です。実習中であれば、担当教員(所属の学校)と実習施設に提出することが必要となります。

実習中の学生が経験したインシデントの事例は、他の学生の実習場面でも、同様に起こる可能性が高い事例であるといえます。そのため、提出したインシデントレポートは、学校や実習施設で情報共有を行い、今後の再発防止策として役立てられます。

インシデントレポートを書くことは気が重く感じるかもしれませんが、実際に身をもって体験したことの一つ一つが、看護師になってからもずっと自分を支える貴重な経験となります。
あなたの報告が、今後多くの人の安全を守る手助けとなるよう、まずは上記の書き方のポイントを押さえながら書いてみましょう。

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