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ケアミックス病院とは?現役看護師に聞いた!特徴やメリット・デメリット

就活
公開日

幅広い看護を経験できる「ケアミックス病院」の魅力を実際にケアミックス病院で働く現役看護師がご紹介します。ケアミックス病院の特徴や働くメリット・デメリットを知って、就職先の病院を選ぶ参考にしてみてください。

ケアミックス病院とは?

ケアミックス病院とは、厚生労働省によって「一般病床と療養型病床または精神病床の混合型の病院」と定義されています。ひとつの病院の中に、一般急性期と療養型病棟・回復期リハビリテーション病棟を備えていることになります。

病棟の廊下

ケアミックス病院の大きな特徴として、急性期の治療を終えた患者さんが長期の治療を必要とした際、同じ病院の中で急性期病床から療養病床に転床できることが挙げられます。
療養病棟を持たない病院では急性期の治療後は遠方の療養型病院に転院するケースもあり、患者さんご本人やご家族にとっても大きな負担になってしまいます。急性期から療養までを担えるケアミックス病院の存在は、地域在住の患者さん、ご家族にとって大きなメリットです。

ケアミックス病院の成り立ちと役割

ケアミックス病院の成り立ち

ケアミックス病院は、人口減少や高齢化に伴う医療ニーズの変化から一般病床を療養型病床へ転換する過程で発展してきました。以前は慢性期や回復期といった機能に特化した病院が多く、「ケアミックス病院」という言葉を聞く機会もあまりありませんでしたが、最近ではケアミックス病院を標榜し機能面でもケアミックスを担う病院が増えています。

一般病床を療養型病床に転換する形態が主となりますが、急性期治療後の転院先病院がない状況から、病院内で治療を完結する目的で回復期や慢性期病棟を設置してケアミックス病院になるケースも少なくありません。
いずれにおいても、ケアミックス病院は時代の流れと地域の必要性に応じて発展してきたと言えるでしょう。

開設30年以上の野田病院も、当初は急性期中心で手術を行っていた時代を経て、亜急性期や療養病棟、回復期の機能が追加されました。2010年代後半からは社会的に地域包括ケアを強化する流れが生まれ、地域包括ケア病床も備えるようになっています。

野田病院の看板

ケアミックス病院の役割

社会や地域のニーズから生まれたケアミックス病院は、必然的に社会や地域の特性に応じた役割を求められます。
日本は超高齢社会のため、高齢の患者さんが多くなります。同じ高齢者であっても回復力は人それぞれのため、治療後すぐに在宅療養に移るのでは支援が足りません。そこで、ケアミックス病院が、急性期と在宅の間の支援を担うことになります。

例えば、千葉県野田市にある野田病院は、地域において回復期リハビリテーション病棟を備えることが一番の特徴であり、ケアミックス病院として市内にある総合病院の後方支援を担っています。

リハビリ室

野田病院の周辺は、特に高齢者が多い地域です。急性期の治療が終わってすぐご自宅に帰れる高齢者ばかりではなく、急性期の治療後も継続した支援が必要です。療養期間が長くなる場合も多く、療養病棟や在宅復帰支援に向けた地域包括ケア病棟の機能が求められていました。
社会や地域に貢献することがケアミックス病院の役割であり、ケアミックス病院である野田病院の使命でもあります。

ケアミックス病院の種類

ケアミックス病院の種類は3タイプ

「ケアミックス病院」と一言で表しても病院によって担う機能に違いがあり、3種類に分けられます。

・急性期病棟+回復期リハビリテーション病棟+療養病棟
・急性期病棟+地域包括ケア病棟+療養病棟+緩和ケア病棟
・回復期リハビリテーション病棟+療養病棟

病室

慢性期で療養病棟が主のケアミックス病院もあれば、緩和ケアに特化したケアミックス病院もあります。病棟機能の割合も一律に5対5などと定められているわけではなく、病院によって異なります。
入職先の病院を探す際は、どのような機能があり主となる機能はなにか、自分が関わりたい機能が備わっているかを確認しましょう。それぞれの病院をしっかり知ると、自分に合う・合わないが分かってきます。

ケアミックス病院と総合病院の違い

総合病院も、急性期のほかに緩和ケアや慢性期など複数機能の病棟を持っており、ケアミックス病院と同じように急性期と慢性期両方の領域を担っていることがあります。

ケアミックス病院と総合病院の大きな違いは、病棟の配置です。総合病院の場合、呼吸器病棟や消化器病棟のように病棟自体が診療科ごとに分かれていますが、ケアミックス病院では急性期病棟の中に複数の診療科が混合で入っている場合もあります。
病床数の割合も定められており、以下のような場合はケアミックス病院に該当しません。

・一般病棟の割合が80%以上あれば急性期病院
・療養病棟の割合が80%以上あれば療養型病院

総合病院は、救急的要素も強くなります。救急対応のほか、手術や高度な医療を提供し、対応する診療科も専門領域ごとに分かれていることが特徴です。

ケアミックス病院で働く看護師の仕事内容

ケアミックス病院で働く看護師

病院で働くという視点では、基本的にその他の病院と大きな違いはなく、患者さんの症状を把握してケアを行うという点で同じです。必要に応じて点滴、注射などの医療行為を実践することもあります。
野田病院の場合は中心静脈カテーテルの挿入や胃ろう造設など侵襲的処置も行います。大きな手術は行いませんが、高齢の患者さんが多いので、眼科で白内障の手術、整形外科で頚部骨折の手術にも対応しています。

違いがでてくるのは、一般急性期から療養、在宅に向けて、患者さんに最後まで関われるということです。総合病院とは違い、患者さん一人ひとりにじっくりと関われる業務内容になっていることが、ケアミックス病院で働く看護師の特徴です。

看護師がケアミックス病院で働くメリットと向いている人の特徴

ナースステーション

看護師がケアミックス病院で働くメリット

ここまでは、ケアミックス病院とは何かをお伝えしてきました。
次は、看護師がケアミックス病院で働くメリットをご紹介します。

幅広い看護を経験できる

急性期から回復期、慢性期まで、それぞれの領域の看護をひとつの病院で経験できるところが大きなメリットです。

幅広い看護を満遍なく経験することで、長い看護師人生の中で、将来どのようにステップアップしていくか、自分の中で選択肢が広がっていきます。
理想の看護師像を見つけるために、いろいろな看護を経験しながら、ステップアップして応用することも大切です。ケアミックス病院で働きながら将来のキャリアのイメージ像を固めることができます。

ライフスタイルに合わせた働き方ができる

特に女性はライフステージによって働き方を変えなければいけないときがあります。
若いうちは急性期で忙しい業務をこなせても、出産すると、保育園や幼稚園の送迎時間に合わせて勤務を終えて、お迎えに行かなくてはなりません。

体力面でも急性期病棟の業務を続けていくのが難しいと感じる可能性があります。働き方を変えるために、転職活動と家事育児を並行して行うことは容易ではありません。
そんなときでも、残業があまりない部署に異動することで、転職することなく働き方を変えることができます。

野田病院では子育て世代の方や、卒後しばらく経って次のステップに進みたい方が転職してきます。志望動機でよく挙げられている理由が「忙しさ」です。子育て中は仕事で帰宅が遅くなると自分の生活がまわらなくなるため、ゆったりとしたところで働きたい人が多くいます。

長く働き続けることで、地域に貢献できる看護師に成長できる

新卒看護師の場合、自分にあった分野が分からず、まずは急性期!と考えてしまう方が多いです。しかし、いざ急性期病棟に配属され実際に働いてみると自分には合わず、疲弊して辞めてしまうことがあります。
他の医療機能の病院に転職しようにも、新卒の場合は経験年数が短く、なかなか次の病院が決まらないこともあるため、辞めずに回復期や療養病棟に異動して働き続けられることはケアミックス病院のメリットです。

急性期で疲弊して配置転換したとしても、回復期や療養病棟の経験をきっかけに大きく成長し、また希望の急性期に戻る方もいます。幅広い看護を経験できる病院だからこそ実現できるキャリアだといえます。
長く働き続けることで幅広い経験を積み、地域を支える看護師に成長できることもケアミックス病院の大きなメリットです。

ケアミックス病院に向いている人の特徴

ケアミックス病院のメリットを踏まえると、次のような方はケアミックス病院に向いています。

患者さんとじっくり関わりたい人

「総合病院では業務に流されてしまうので、やっぱり患者さんにじっくり関わりたい」と希望される方がケアミックス病院を選ぶケースがよくあります。
急性期は本当に短期間で患者さんたちが入退院をしますので、長く関わっていくことができません。ケアミックス病院でも病棟によっては忙しい現場もありますが、総合病院や急性期病院よりも比較的ゆったりとした働き方を選びやすいです。業務の内容も患者さんにしっかりじっくり関われるような体制になっています。

急性期から慢性期まで、長期的な視点で看護を実践したい人

急性期の治療を終えた後、長く療養する患者さんや、在宅復帰に向けて回復されていく患者さんに自分が関わりたい方に向いています。
急性期治療後の転院がないため、急性期で受け持った患者さんがその後どうなったか見届けられるところがケアミックス病院の魅力です。

幅広い業務に対応できるジェネラリストとして働きたい人

幅広い看護を経験できるため、いろいろな看護を体験して手広くこなせるジェネラリストを目指したい方に向いています。

ひとつの職場で長く働きたい人

給料など福利厚生の面でも長く働いている方が有利ですし、キャリアを積んでいくという意味では、病院のキャリアは転職すると一からスタートすることになり、新しい環境になじむのも大変です。
ミスマッチがあるリスクを考えると慣れた病院で長く働き続けるには、異動ができるケアミックス病院が働きやすかったりします。実際に働き続けながら子育てや親の介護をしている人もいます。

プライベートの時間も大事にしたい人

ケアミックス病院はゆったりと働ける分、しっかり自分の時間を取れ、働きやすいです。
現在働いている方の中には、働きやすさや将来を見据えて入職を検討された方もいます。実習で慢性期や回復期を経験し、自分に合っていることを確認した上でケアミックス病院を選ぶ方もいます。

看護師がケアミックス病院で働くデメリットと向いていない人の特徴

待合室

看護師がケアミックス病院で働くデメリット

看護師がケアミックス病院で働くメリットがある一方で、幅広い看護ができるというメリットが次のようなデメリットに繋がる場合もあります。

特化した専門性がない

いろいろな看護を幅広く行うがゆえに、特化した専門性がない点がデメリットです。専門看護師や認定看護師、特定行為の看護師を目指していくには症例数が少ないこともあります。
働いていく過程で、専門性を突き詰めたい看護が見つかった場合に物足りなくなる可能性があります。

幅広い看護を経験するため学ぶことが多い

ケアミックス病院では1つの病棟内に複数の診療科が混在しているため、多くのことを学ぶ必要があります。新卒看護師は初めの頃は少し大変かもしれません。

苦手意識のある病棟へも配置交代がある

病棟間で定期的な配置交代があります。幅広い看護をこなせるジェネラリストになれる場合がある一方で、慢性期や回復期はやりがいをもって楽しく働けるものの、急性期には苦手意識を感じている方もいます。
病棟の医療機能により、病棟の雰囲気、患者さんとの関わり、医療行為を行う頻度に違いがあります。ケアミックス病院のなかでも、急性期病棟は入退院が多くありますので、比較的忙しい病棟です。急性期は医療行為を行うことが最も多くなり、回復期になると急変がほぼないため医療行為を行う機会もほとんどなくなります。回復期病棟で働いている間は医療行為を実践することや医療機器を扱うことが少なくなることから、急性期と慢性期・回復期の違いに慣れるのに苦労する方もいます。

療養病棟の場合、長く入院される方や寝たきりの患者さんも多く、当院(野田病院)で最期を迎える方の看取りをさせていただくこともあります。
病棟ごとに必要なケアは違いますし、回復期で在宅療養に向けて徐々にADLが向上していく姿を見守ったり、ご自宅に帰った後の指導やご家族への支援にも関わったりと、病棟によって仕事内容が少しずつ違うため自分に合わないとつらく感じることがあります。

ケアミックス病院に向いていない人の特徴

以下のような方はケアミックス病院に不向きといえます。

高度な救急医療に関わりたい方

高度な救命救急に関わりたい方は、ケアミックス病院ではなく、専門の救急病院の方が向いています。専門看護師や認定看護師についても、ケアミックス病院で経験を積んで取れる領域もありますが、がんや緩和ケアといった、突き詰めた専門領域に関しては、専門病院のほうが症例数も多いです。ケアミックス病院はスペシャリストを目指したい方には適しません。

患者さんとじっくり関わるよりたくさんの業務をこなしたい方

患者さんに関わる時間をとるより、たくさんの業務をこなしたい方には向きません。
ケアミックス病院では患者さんにじっくりと関わることが多いので、患者さんを良くしてあげたいという気持ちがあり、ケアをじっくり実践したいと思う方に向いています。

ケアミックス病院の新人教育

ケアミックス病院で実施する新人教育の一例として、ケアミックス病院の特徴を生かした野田病院の新人教育をご紹介します。

新人看護師は急性期病棟で経験を積むと良いといわれていますが、本人の希望で新卒から回復期病棟や療養病棟に配属されることもあります。回復期病棟や療養病棟では医療行為を体験できないことがあるため、新人教育の中で部署の垣根を越えて、実践される医療行為を体験しに行ってもらっています。

技術チェックリストはどの病棟の新人看護師も実施します。配属された病棟の関係で実施できていない処置がある場合でも、他部署で実施される際に一緒に経験を積みます。その他にも院内留学に行くなど、新人教育プログラムを通して、まったく経験がないまま何年も看護師を過ごさないようにしています。
これは回復期病棟や療養病棟のほかに急性期病棟を持っているケアミックス病院だからこそ実現できる教育です。

ケアミックス病院の今後

ケアミックス病院は、今後どのような役割を担っていくのでしょうか。

病院のロビー

現在の日本では、高齢者が増えていく中で医療の需要がさらに高まっていくと想定されています。国の政策として、医療機能の細分化が打ち出されており、現在急性期を名乗っている病院も、より専門的な急性期でないと生き残れないようになっていきます。急性期の病院は、本当に高度な医療を提供することになるため、少し具合が悪いだけではかかりにくくなるでしょう。
また、今後増え続ける高齢者が入院しきれなくなるため、地域包括ケアシステムでは、ほとんどの方をなるべく在宅で看ることを想定しています。

外来の受付と待合室

超高齢社会の現代において、体調を崩し入院治療が必要なときに入院ができ、その後の症状や退院後の介護サポートの必要性などを見据えて、療養病棟や回復期病棟を持っているケアミックス病院は、ますます必要とされてくるでしょう。

現に野田病院は、訪問看護や訪問診療とも提携しています。ケアミックス病院ならば在宅療養をされている方たちが体調を崩されても一時的に入院できることを思うと、地域を支える病院・地域に関わりやすい病院として、ケアミックス病院の役割は一層大きくなるだろうと考えています。

都市部でのケアミックス病院の需要

ケアミックス病院は、専門的な急性期病院から次の後方支援という形で患者さんを受け入れる病院ですので、人口が多い都市部での需要もやはり多いのではないでしょうか。

野田病院の送迎車

都市部にもケアミックス病院がまったくないわけではありませんが、患者さんのご自宅近くにケアミックス病院があっても病床数の事情で入院できず、急性期や療養病棟に入院するために都市部から野田病院まで来る方もいらっしゃいます。首都圏や都市部でも、ケアミックス病院の役割が求められています。

インターンシップに参加してケアミックス病院の看護を体験しよう

ケアミックス病院は、病院内で自分の特性を測り、自分にあった病棟に異動して働くことができるところが最大の特徴です。

新卒入職では、急性期ではなく慢性期や回復期、美容を選ぶ方も多いですが、一回の就職で自分の看護観が見つかるわけではありません。野田病院を選ぶ方の中には、今後の医療の需要を見ていろいろな看護を経験できることに魅力を感じる方や訪問・在宅の看護に興味がある方もいらっしゃいます。

野田病院では、いろいろな経験を積み知識を得るために、幅広い看護を経験していただけます。
少しでも興味がある方はぜひ一度、野田病院のインターンシップにお越しください。

野田病院のインターンシップ・病院見学会情報

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